戦略参謀
経営プロフェッショナルの教科書
著:稲田 将人
紙版
郊外型紳士服チェーン店の経営改善のストーリーです
理論と、その見本である、たとえがあれば、イメージが湧きやすい
気になったのは以下です。
■参謀機能
強引な販売
客単価が上がって販売員の売上実績が上がったとしても、お客様がいい印象を持たずに帰ることになるのはよくない
主要担当業務の範囲を明示することが、一般的に言われる組織というもののはじまりです
企画を行う人間は、2つの要素が求められる
①目的達成のための効果的な企画と言うアウトプットを行う能力
②PDCAを回す能力
企画とは、目的を明確にし、現状を把握し、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという一連の動作をいう
世の中で、組織論と言われるのは、分業のための方法論だ。会社の発展に伴い、規模や業態によって、適用すべき方法論は変化してくる
経営企画とは、言い方を変えると参謀機能ということだ
長期低迷状態を脱するためになすべきことは3つある
①飽和状態になっているレッドオーシャンで、勝ち抜く強みを習得する努力を始めること
②現在の会社の強みを活かして、まだ実現していない未開拓の新市場、ブルーオーシャンを実現できる力をつけること
③ビジネスを始めたころのように、謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢をもつこと
社長に残る役目、それは、リーダシップを発揮するという重要な役目です
■PDCAを回す
PDCAは、状況に応じた修正講堂をとるための基本動作でもあり、企業にとっての学習行動だ
PDCAを回せない会社は学習できない
つまり企業の能力が高まっていかないと言っても過言ではない
読みの精度アップだけでなく、調整の機動力の高さは、企業活動の生命線を太くするものだ
本来重要なのは、失敗を賞賛する文化づくりだ
失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということだ
企業がずっと成長していくために、新しいことに挑戦し続ける必要がある。そして、新しいことへの挑戦には常に失敗のリスクがつきまとう
正しい問題解決のための思考ステップ
①現状把握
②真因の追究
③解の方向性
④具体策の比較検討
⑤実行計画の明示
成功した創業者は、自分が納得いくまで徹底的に情報をあつめ、どうすれば成功するかをとことん考える
考えた上で、自分でやるか、部下にやらせてみる
そして、その結果の検証を行い、よりよい結果を求めて、より成功確率の高いと思われる方向に改善していく
人は失敗からしか学べない
PDCAがうまく行かない理由のねっこにあるのは、人、性善なれど、性怠惰なり、です
事業を成長、発展させるためには、言語化し、資料化しながら、的確に、トップ、部下、関連部署に情報を伝える能力を社内につけていくしかない
■経費削減と経費低減
かけるべきところに費用をかけないと、売上を伸ばす機会を逃してしまう
BPR:プロセスリエンジニアリング、業務フローをちゃんと描き出して、見える化をし、むだな迂回業務を排除したり、業務の流れの再構築を行う
号令をかけてにらみを利かせたら、経費が下がり利益がでたなんて喜んではいけない。管理が甘いから、いろいろなものが駄々洩れ状態だったというだけの話じゃないか。
味噌くそいっしょにしたように、経費を下げるのが、経費削減だ。
すべての経費支出とうものは、効果、効能を期待して行うものだ。つまり費用対効果についての読みがある
経費を分類する
使ったことによる効果を知るべき経費
減らしてはいけない経費
例外的な政策経費
3つの管理
売上管理
経費管理
利益管理
ROIReturn On Investment の略で投資利益率をいう 利益 ÷ 投資額
■人事制度
組織論には何がふくまれるのか、組織図、業務分担、その責任範囲、業務内容……
KPI:自分や、事業の業績を評価する際に鍵となる重要な指標をいう
組織は、現実には、業務フローにのっとって日々動いている
人事機能の役目としては、経営の観点からは、人件費の管理という役目があるが、使命ということでいえば、全社員が前向きにやる気になる状況づくり、これに尽きる
一番わかりやすいのは、個人のインセンティブに加えて、組織としても、売上計画に対してのインセンティブをつけることだろう
方向性を示し、がんばったら、よかった、よくやったと褒め、道を外したら、厳しく対応して正す。この2つの機能が反映された制度と、マネジメントが必要である
オーナシップ、事業トップの意志、リーダシップが重要である。
これがないと、企業は荒れてしまい、結果としては、不振、停滞状態に陥っていく
物事にはすべて前提がある、環境条件など前提が違えば調整が必要となる
課題が見つかれば、素早く修正をおこなうことはあたりまえだ
成功するためには、戦略や方法論の問題よりも、導入方法や、やり方の問題が大きい。これを執行力という
■経営不振の時にやることとは
当たり前のことをきちんとやる
①基本の徹底
②精度高く、PDCAを高速に回す
③短期策と、長期策とに分ける
④腹落ちしたシナリオをつくる
⑤経営の意志を反映させる
■海図をもとめる
自分が決める、リーダシップを発揮する
会社が大きくなったり、創業者以外が全体を見るようになった場合は、いろいろな技法、作法などの方法論が必要となる
社内の方向性を合わせて、ムダをなくし、効果、効率を最大化でいるようにする
すべての案、企画には、それを適用させる前提がある
その前提を正しく押えないままでの企画の提案はあまりにも危険すぎる
業と立ち向かうための4つのポイント
①現場に行け、自分の目で直接確かめよ
②社内の事業運営の状況を正しく把握する方法論を取り入れる
③常に成長を目指す
④改革文化づくり
目次
第1章 高山、最初の地雷を踏む―企業はなぜ成長、低迷を繰り返すのか?
第2章 「バケツの中身」が重要だ―PDCAを回せない企業には明日がない
第3章 経費削減と経費低減は違う―経費の効果最大化のためのノウハウを蓄積せよ
第4章 社員がやる気になる人事制度とは―一人一人が前向きなエネルギーを発揮できているか
第5章 起死回生の販促プラン―成功に向かって仮説を立て地道に努力する
第6章 混沌のなか、海図を求める―事業不振は「市場との乖離」から生じる
第7章 新業態を立ち上げる―トップの抑えが弱くなると、組織内にエゴイズムがはびこる
第8章 社内の「憑き物落とし」―戦略参謀は「成功した創業者」の精神にのっとって行動する
あとがき
ISBN:9784478024461
出版社:ダイヤモンド社
判型:4-6
ページ数:428ページ
定価:1600円(本体)
2013年08月29日第1刷発行