【感想・ネタバレ】戦略参謀のレビュー

あらすじ

紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組む姿を描くビジネスストーリー。

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戦略参謀
経営プロフェッショナルの教科書
著:稲田 将人
紙版

郊外型紳士服チェーン店の経営改善のストーリーです
理論と、その見本である、たとえがあれば、イメージが湧きやすい

気になったのは以下です。

■参謀機能

強引な販売
客単価が上がって販売員の売上実績が上がったとしても、お客様がいい印象を持たずに帰ることになるのはよくない

主要担当業務の範囲を明示することが、一般的に言われる組織というもののはじまりです

企画を行う人間は、2つの要素が求められる
 ①目的達成のための効果的な企画と言うアウトプットを行う能力
 ②PDCAを回す能力

企画とは、目的を明確にし、現状を把握し、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという一連の動作をいう

世の中で、組織論と言われるのは、分業のための方法論だ。会社の発展に伴い、規模や業態によって、適用すべき方法論は変化してくる
経営企画とは、言い方を変えると参謀機能ということだ

長期低迷状態を脱するためになすべきことは3つある
 ①飽和状態になっているレッドオーシャンで、勝ち抜く強みを習得する努力を始めること
 ②現在の会社の強みを活かして、まだ実現していない未開拓の新市場、ブルーオーシャンを実現できる力をつけること
 ③ビジネスを始めたころのように、謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢をもつこと

社長に残る役目、それは、リーダシップを発揮するという重要な役目です

■PDCAを回す

PDCAは、状況に応じた修正講堂をとるための基本動作でもあり、企業にとっての学習行動だ
PDCAを回せない会社は学習できない
つまり企業の能力が高まっていかないと言っても過言ではない

読みの精度アップだけでなく、調整の機動力の高さは、企業活動の生命線を太くするものだ
本来重要なのは、失敗を賞賛する文化づくりだ 
失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということだ

企業がずっと成長していくために、新しいことに挑戦し続ける必要がある。そして、新しいことへの挑戦には常に失敗のリスクがつきまとう

正しい問題解決のための思考ステップ
 ①現状把握
 ②真因の追究
 ③解の方向性
 ④具体策の比較検討
 ⑤実行計画の明示

成功した創業者は、自分が納得いくまで徹底的に情報をあつめ、どうすれば成功するかをとことん考える
考えた上で、自分でやるか、部下にやらせてみる
そして、その結果の検証を行い、よりよい結果を求めて、より成功確率の高いと思われる方向に改善していく

人は失敗からしか学べない

PDCAがうまく行かない理由のねっこにあるのは、人、性善なれど、性怠惰なり、です

事業を成長、発展させるためには、言語化し、資料化しながら、的確に、トップ、部下、関連部署に情報を伝える能力を社内につけていくしかない

■経費削減と経費低減

かけるべきところに費用をかけないと、売上を伸ばす機会を逃してしまう

BPR:プロセスリエンジニアリング、業務フローをちゃんと描き出して、見える化をし、むだな迂回業務を排除したり、業務の流れの再構築を行う

号令をかけてにらみを利かせたら、経費が下がり利益がでたなんて喜んではいけない。管理が甘いから、いろいろなものが駄々洩れ状態だったというだけの話じゃないか。

味噌くそいっしょにしたように、経費を下げるのが、経費削減だ。

すべての経費支出とうものは、効果、効能を期待して行うものだ。つまり費用対効果についての読みがある

経費を分類する
 使ったことによる効果を知るべき経費
 減らしてはいけない経費
 例外的な政策経費

3つの管理
 売上管理
 経費管理
 利益管理

ROIReturn On Investment の略で投資利益率をいう 利益 ÷ 投資額

■人事制度

組織論には何がふくまれるのか、組織図、業務分担、その責任範囲、業務内容……

KPI:自分や、事業の業績を評価する際に鍵となる重要な指標をいう

組織は、現実には、業務フローにのっとって日々動いている

人事機能の役目としては、経営の観点からは、人件費の管理という役目があるが、使命ということでいえば、全社員が前向きにやる気になる状況づくり、これに尽きる

一番わかりやすいのは、個人のインセンティブに加えて、組織としても、売上計画に対してのインセンティブをつけることだろう

方向性を示し、がんばったら、よかった、よくやったと褒め、道を外したら、厳しく対応して正す。この2つの機能が反映された制度と、マネジメントが必要である

オーナシップ、事業トップの意志、リーダシップが重要である。
これがないと、企業は荒れてしまい、結果としては、不振、停滞状態に陥っていく

物事にはすべて前提がある、環境条件など前提が違えば調整が必要となる
課題が見つかれば、素早く修正をおこなうことはあたりまえだ

成功するためには、戦略や方法論の問題よりも、導入方法や、やり方の問題が大きい。これを執行力という

■経営不振の時にやることとは

当たり前のことをきちんとやる
 ①基本の徹底
 ②精度高く、PDCAを高速に回す
 ③短期策と、長期策とに分ける
 ④腹落ちしたシナリオをつくる
 ⑤経営の意志を反映させる

■海図をもとめる

自分が決める、リーダシップを発揮する
会社が大きくなったり、創業者以外が全体を見るようになった場合は、いろいろな技法、作法などの方法論が必要となる
社内の方向性を合わせて、ムダをなくし、効果、効率を最大化でいるようにする

すべての案、企画には、それを適用させる前提がある
その前提を正しく押えないままでの企画の提案はあまりにも危険すぎる

業と立ち向かうための4つのポイント
 ①現場に行け、自分の目で直接確かめよ
 ②社内の事業運営の状況を正しく把握する方法論を取り入れる
 ③常に成長を目指す
 ④改革文化づくり

目次
第1章 高山、最初の地雷を踏む―企業はなぜ成長、低迷を繰り返すのか?
第2章 「バケツの中身」が重要だ―PDCAを回せない企業には明日がない
第3章 経費削減と経費低減は違う―経費の効果最大化のためのノウハウを蓄積せよ
第4章 社員がやる気になる人事制度とは―一人一人が前向きなエネルギーを発揮できているか
第5章 起死回生の販促プラン―成功に向かって仮説を立て地道に努力する
第6章 混沌のなか、海図を求める―事業不振は「市場との乖離」から生じる
第7章 新業態を立ち上げる―トップの抑えが弱くなると、組織内にエゴイズムがはびこる
第8章 社内の「憑き物落とし」―戦略参謀は「成功した創業者」の精神にのっとって行動する
あとがき

ISBN:9784478024461
出版社:ダイヤモンド社
判型:4-6
ページ数:428ページ
定価:1600円(本体)
2013年08月29日第1刷発行

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2024年10月21日

Posted by ブクログ

マッキンゼー出身のコンサルタントによる企業変革に関するビジネス小説。

よくある小説仕立ての書籍と同様に、全能の先生が登場し、この先生に教えを乞う若手社員がヘマをしながらも改革を進めて行くという話で、さほど目新しい感じも受けない。小説としての出来は普通、という印象。

それでも、この本が素晴らしいのは、「経営企画部」とはどういうことをする部署なのか、その内容ではなく、その仕事をするにあたっての心持ち、気構えといったものを、厳しい言葉で述べてくれている点である。こういう本は今までなかった。

[more]
(目次)
紳士服チェーン「しきがわ」の営業マン高山昇は、陰謀家の阿久津専務の逆鱗に触れ、新設の経営企画室に異動に。だが、高山は持ち前の正義感と行動力を武器に、室長の伊奈木とコンサルタントの安部野の助力を得ながら、社長の補佐役として成長。社内の地雷を踏みまくりながら経営改革に取り組姿を描くビジネスストーリー。

第1章 高山、最初の地雷を踏む
第2章 「バケツの中身」が重要だ
第3章 経費削減と経費低減は違う
第4章 社員がやる気になる人事制度とは
第5章 起死回生の販促プラン
第6章 混沌のなか、海図を求める
第7章 新業態を立ち上げる
第8章 社内の「憑き物落とし」

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2018年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てるという一連の動作のこと

・言葉にして、時には分析もし、何がポイントなのかを抽出して人に上手に伝え、全社視点での動きをつくっていかなければいけない仕事

・戦略的な方向性に沿った実践力と、素早く的確な方向修正能力

・戦略的な方向性は正しくても、それを真摯に謙虚に実行できていない状況が低迷を招く

・判断がなされた時の、判断の前提を明確にしておくべき

・本来重要なのは、失敗を称賛する文化づくり。失敗することがいいわけではない。失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということ

・経営というのは、正しい企業文化づくりでもある

・PDCAが回っていない理由は、いくつも挙げられるが、その根にあるのは、「人、性善なれど、性怠惰なり」ということ

・実証主義の場合に、気をつけるべきは、それが因果なのか相関なのか、その混同を起こさぬように気をつけねばならない

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2017年07月23日

Posted by ブクログ

改革を成し遂げる新参者と、それを阻む者。それを囲む社長以下の従業員達。小説仕立ての企業改革ストーリで、各章末に経営論をポイント化しています。
引き込まれる様に、一気読破してしまいました。
本書では、改革を成し遂げるためには、相当の覚悟と行動力がなければならないということ。さらには、抵抗勢力に対する対処能力が必要とも。
ストーリの中では、"人の業"というものを感じます。人はその極めて高い危険予知能力故に、今まで生き長らえてきた。ただし、その能力は、時として改革を妨げる。
危険予知能力が高い
保身、責任回避、自己への利益誘導、などという業(エゴ)にカタチを変えて。
やはり、企業経営の肝は人であるということを痛感しました。

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2017年05月07日

Posted by ブクログ

経営企画部の心得、依って立つところがよくよく理解できた。決して大上段に構えるのではなく、課題を見つけ、解決策を考え、それを実行する、というシンプルなPDCAを確り回すに尽きるということ。
ただ、いかにして回りを巻き込むか?というところがさらに大切とも感じた。
2013/12/1

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2014年03月14日

Posted by ブクログ

・主要担当業務の範囲を明示することが組織のはじまり。
・創業者がやってきたことを分業していかないといけなくなり、そこでの分担決めこそ、組織のはじまり。
・企画を行う人間には、効果的なアウトプットをする才能とPDCAが必要。
・議論を展開する前に必ず前提を確認し、同意を得ておく。
・組織論は上手な分業推進の技術論。マネジメントはその分業体制の運営技術。
・PDCAを適正に回していく企業文化つくりこそ、経営。
・正しい問題解決のための思考ステップ
現状把握→真因の追究→解の方向性→具体策の比較検討→実行計画の明示
・最初のPの精度をできるだけ高めておく。
・電車賃よりも車が安いので出張は車を使って経費削減!と謳っても、電車に乗ってる間にいろんなことができてかえって効率いい、という観点を忘れるな。
・会議体の機能は、意思決定、ブレスト、伝達と周知徹底のどれかかそれらの組み合わせ。
●使命、職務分掌を明確にし、進む方向性が明確になり、業務フローによって手順、やり方も明確になり、目的地と線路が決まったときに残るのは、そこを走るよう社員を促す人事制度である。
・アメリカ由来の戦略論などをダイレクトに導入するのではなく、前提を確認しろ。
●経営不振のときに行うべきことは、
基本の徹底、精度高く高速にPDCAを回す、長期的視点を保つ、自分たちで腑に落ちたシナリオを作る、リーダーシップを発揮する。

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2014年03月12日

Posted by ブクログ

購入したものの読む前に人に貸したり、気持ち的に読み終わるまで時間かかってしまった。経営素人の人や、人事で悩む人、経営企画って何?と思ってる人にはとっても優しいビジネス小説です。ストーリーの流れはまるで漫画だけど、著者のメッセージは伝わるんじゃないでしょうか。専門人事戦略のようで管理会計系とは全然違うので数字やフローは出てこずひたすらにPDCAサイクルについて書いている。そして人は煩悩であるということを書いている。著者の思いに非常に共感できることがある。サラッとした薄い本に感じながらも良いメッセージは沢山ある。実務書にはなりませんが、経営において実務書はただの参考書であり教科書じゃないし、自分で考える能力は結局違うところからしか得れないと思う。だから歴史や哲学など分野問わず勉強し続けるわけだと思う。A3ノートパッドを使う阿部野のモデルは大前研一なのかな?と想像しながら読んだけど、本当にカリスマなんだろうな。大体どのマッキンゼー出身者の本でも登場するもんね。でもノートパッドの使い方は違ったみたいだけど、どうなんだろう。

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2014年02月06日

Posted by ブクログ

いつも余計な一言を言ってしまう、高山。上司の目の前で“地雷”を踏んでしまい、新設の経営企画室へ異動させられるが、彼はそこで会社を改革していくこととなる…。マッキンゼー出身、日本を代表する企業のコンサルティングを行ってきた著者がリアルに描く、組織のあり方。

ビジネス書としても、小説としてもとても面白かった。組織はなぜ行き詰まるのか、改革が進まないのはなぜか、そうしたことの本質がわかりやすくまとめられていたと思う。小説とはいえ、とてもリアル。こういう企業、たくさんあるのだろうな。たくさんの企業が同じようなところで行き詰まる。社長が代替わりした時や、リーダーに迷いがある時。ありふれた状況なのに、抜け出せない。だから、やはり「本質」を学ぶことは大切なのだと感じた。本質は誰もが通る道だから。

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2013年12月31日

Posted by ブクログ

フィクション仕立てで書かれた経営の指南書という立て付けが面白い。著者の実践的なコンサルタント経験も生きている。

人、性善なれど、性怠惰なり
自分たちを律して行く真摯な姿勢が必須になります。

経営プロフェッショナルの教科書と副題があるように、経営企画室が担当する業務の教科書とも言える内容であることが興味深い。

起業から小さな事業が大きくなってくると、組織も大きくなり、経営企画という社長業務のサポート体制が必要となる。組織が大きくるなると腐敗する輩も出てくるので、社長は最後までリーダーシップを発揮するとともに、社員が働きやすい適切な場を作ることが必要。

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2013年12月30日

Posted by ブクログ

お勧めします。
本書は、ビジネス書でありながら、小説スタイルで内容が進むため斬新で読みやすいです。
また、社内の政治的な側面も書かれており「ある、ある」と思えることも多数あります。
さらに、「人、性善なれど、性惰性なり」は本質をつく言葉で心に落ちました。企業組織の発展、衰退はまさに先の言葉にあると思います。
逆に、それに気がついた人間が1人でも一歩を踏み出すことが大切だと思いました。明日から、自分の組織でその一歩を踏み出せるように、日々努力します。

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2013年11月04日

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経営者視点でビジネスを考えるということがどういうことかが分かる。経営企画部門が求められていることが分かる。コンサルタントがどういうシーンで活躍するかが分かる。問題解決のあるべき思考ステップが分かる。会社で「ありそう!」って思える悪役が登場する(ちょっと半沢直樹みたい)。
ビジネスマンとしての生き方について考えさせる内容で、のめり込んで読める!

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2013年11月07日

Posted by ブクログ

経営企画の人向けの本。

社長の最後の仕事はリーダーシップを発揮すること。

問題解決は、現状把握、真因追求、解の方向性、具体策の比較検討、実行計画の明示の順で行う。

PDCAを回せれば、すべての企業は経営できる。ちゃんとやるところまでみる。

小説形式なのでスラスラ読める。
会社は一人の創業者から始まり、徐々に社員に業務を委託し、最後に委託するのが経営企画。会社のことを考えること。

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2024年05月11日

Posted by ブクログ

発行から7年遅れで読んだが全く色褪せることなく読めた。

印象深いフレーズ 
P254
「企業は、働く者がそこで力を高め、自身の力を発揮して事業に貢献し、そして企業が市場に貢献する。結果としてその存在自体が意義のある会社として発展していく。こう考えるのが一番収まりがいいと思う。市場も企業も、そしてそこで働く者も皆が幸せなれるからだ。」
P255
「世の中に足跡を残してきたのは、保身に走った人たちではなく、道を開こうとあがいた人たちだ。どういう人性にするかは、自分で選ぶことだ」

経歴が華々しいので、すかした感じかと思いきや、日本向けの共感しやすい内容で、小説としても結構楽しめた。(社長秘書が誰の味方か、については読み誤った。)

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2021年01月31日

Posted by ブクログ

書店にて、大前研一『企業参謀』を彷彿させる刺激的な表題につられ、思わず手に取り著者の略歴を眺め驚愕した。〜早稲田大学大学院理工学研究科修了〜中略〜マッキンゼーアンドカンパニーに入社〜おいおい、これは本当に大前氏の正式な後継者が現れたのではないか?しかも本書が処女作品だって??←ここから購入決断の思考に至るまでおそらく一秒も掛かっていないだろう。これが本書との出会い。これで期待を裏切られたら、そのショックは計り知れなかった事だろう。だが心配無用、おかげさまでショック死せずに済んだ。あまりにも満足してFBで著者に直接感想メールを送った程だ。

本書には複数の登場人物が出てくる。通常、読者が自らの意識を投影させることが出来る人物は主人公一人。しかし本書では、五人ほど意識投影が可能な人物がいた。それぞれの立場から見る個々の物語は、彼ら自身の経済合理性の下にしっかりとしたロジックを構築しており、書籍としての空気を乱す輩は一人も出てこない。その彼らが織り成す経済活動を通じての日常は、きわめて目まぐるしく、また生々しく、いち企業の歴史を紡いでゆく。思惑の異なる登場人物が織り成す企業ストーリーをそれぞれの視点から楽しむ事が出来る書籍はそうあったものではない。

物語りも然ることながら、さらには各章の最後にある『解説』、これが何にもまして面白い。以前、『ストーリーとしての競争戦略』の著者である楠木健氏が、著書『戦略読書日記』の中で頻繁に使うフレーズがあった。『“スキル”ではない“センス”という何か』それは、「世の中の成功している社長は、スキルではなくセンスで事業を行っている。」という趣旨の話しだ。そして楠木氏は、「この“センス”という概念を言葉で説明することは困難である。」としていた。ところが、本書はこの辺りをさらりと説明してのける。二代目の持つなんとも言えない“代表取締役担当者としてのセンスのなさ”そして、成功した創業者が行っていた“センスとしか言いようのない卓越した経営手腕。”この難解な二者間の関係性を、高速で回すPDCAで説明するあたり、著者には学問では無いなにか傭兵的な臨場感を感じずにはいられない。

著者の作家としてのキャリアはこれから益々磨かれていく事だろう。しかし、物語としての完成度を求めてしまえば、それは池井戸潤氏を追いかけなければならなくなる。正直、著者にはそんなドラマチックジャンルを求めてはいない。いや、内容についても十分に面白いのだ。だが、それ以上にこの『解説』の価値観の殴り書きが矢鱈と僕の共感スイッチを点けて回る。ではなぜ★4つなのか。それは、「続編のほうが面白いですよ!」という著者からのFBメールが所以である。自ら上げたハードルを見事に飛び越える事ができるか否か、続編が待ち遠しい。

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2018年07月12日

Posted by ブクログ

『戦略プロフェッショナル』や『ザ・ゴール』と同様、小説形式のビジネス書。著者はビジネスコンサルタントの稲田将人氏。過去に紳士服のアオキや日本コカコーラなどの大手企業に携わった経験を元に、企業経営のノウハウを分かりやすく解説されています。

舞台は、大手紳士服チェーンの「しきがわ」。中規模から大規模に当たる企業で、創業者が引退、社長は二代目。いわゆる「成長の踊り場」で低迷中。こんな中、周りが見えないが会社を良くしようとする思いが強い中堅社員の高山の成長と奮闘がストーリーの主軸です。

とにかく印象に残ったのは、何度も出てきた「人、性善なれど、性怠惰なり」というフレーズ。確かに自分の経験からも頷けることで、全ては、ここが根っこなんだと思います。人の心をマネジメントする、というところでしょうか。
今、自分が携わっているプロジェクトでも、「大企業病」に「幼稚なプライド」が邪魔をして、改革が進まず、PDCAもなかなか回らない。せっかく新しいことしようとしているのに、残念です。自分が高山みたいに行動できればいいんですが、なかなか・・・。

本書は「経営視点」という新たな視野を自分に与えてくれました。
企業の組織化の成り立ちから、経営は「現状把握、仮説、実行、分析、改善」の繰り返しであること、企業の問題にはパターンがあり、経営戦略にもパターンがあること、でもそれはあくまでもバケツ(フレームワーク)であること、など、ぼんやりしていたことも、再び気づくことができたし、これからも時々「経営視点」で物事を見ていきたいと思います。

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2015年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語になっていて先が楽しみになるくらい面白かったです。

経営企画室の仕事はどういうものかや、企業が大きくなった時に抱える問題などが描かれていました。

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2014年07月31日

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【選んだ理由】
雑誌でおすすめされてたから

【読んだ感想】
企業変革のリアルが描かれていて、非常に楽しく読めた。

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2014年07月21日

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三枝三部作を読んだのはもうはるか昔だけど、そのときの感動再来、といった感慨ある本だった。続編も即購入。

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2014年07月17日

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•企業の経営企画、事業計画などに携わっている人には非常に有効な本であると思われる。
•少し冗長にすぎるところが有るが、我慢して読んでまとめ、日々の業務へ落とし込めれば得られるものは有る

問題解決のステップ
①現状把握
②真因の追求
③解の方向性
④具体策の比較検討
⑤実行計画の明示

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2014年03月22日

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経営視点での仕事の進め方について、簡単に理解できる言葉・ストーリーで書かれていた。特筆すべきような新しい知識・知見を得られたわけではないが、考え方の整理ができた。

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2014年03月09日

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マッキンゼーとかにいたコンサルタントが書いたコンサル小説。会社の状況がリアルな感じの設定でとても面白かった

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2014年01月03日

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経営企画部の位置づけが社長の分身、特に頭脳の分身という整理、それも、組織を運営する上で最後に分業する組織という整理が非常にしっくりときた。
ともすれば、経営企画や戦略企画という組織は社内の報告書類の取り纏めや新しい管理業務を作る組織に思っていて、本当に何をするべき組織なのかがしっくり来ていなかったが、この本を読むと位置づけがすっきりと整理されている。
その上で、著者がコンサル等で実際に苦労たこと、取り組んだ経験がしっかりと書き込まれており、ビジネス小説として読みやすいし、頭の整理もできてとても良かった。
あと、経費削減と経費低減の部分では、非常に気に掛かっていることが指摘されており、経費削減を進めると「攻めの経費使われなくなる」というのは身につまされる指摘だ。

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2013年10月16日

Posted by ブクログ

成長が止まって衰退局面の企業の立て直し。そ小説と教科書的な二本立てで並行して読める本。企業だけでなく国や各種団体活動にも参考になる。

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2013年09月28日

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400ページを超える本を一気に読み終えるのは久しぶりです。
内容はかなりリアル。よく企業内で起きることを、嫌味なく解説を加えていくスタイルで読みながら勉強になります。
途中、ちょっとテレビドラマっぽくなってしまうところはありますが、これもあり得ること。
そして、最後、会長を交えてのラストに至るところは一気にのめり込みます。
読み物としても面白い。そして、若手、ミドルには参考になる人間模様、人間力学読本ですね。

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2013年09月16日

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論旨はまあまあだけど、小説としてはダメ。先が読める伏線の浅さ、登場人物の頭の悪さ。ビジネスラノベ。三枝さん大好き。

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2015年04月11日

Posted by ブクログ

主人公である高山が紳士服店(おそらくモデルは青山)に新設される経営企画室に配属され、外部のコンサルタントの力を借りながら経営者の視点に立ったさまざまな戦略を実行し成長していく物語。
戦略を考える、実行する際の注意点や企業が成長するためにあるべき姿、リーダーシップの発揮する方法などを物語形式で学べる。また各章末にはまとめがあるので考え方を整理できて非常によい。本を読み終わってからまとめだけでも読み返すとさらによさそう。
残念な点は、次作の経営参謀と内容が似ている点。物語としては楽しめるが著者が言いたいことはほぼ同じようにみえた。

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2015年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上司から薦められて読んだ本。

物語形式で企業成長のための考え方、会社員の人事模様を描いている。

・成功した創業者はPDCAを回している。ユニクロの柳井社長が1勝9敗という著書を書いているように、優れた経営者であっても事業が計画通りにうまくいくことはなかなかない。しかし成功した創業者は事業を振り返り修正することで成功に繋げている。
うちの会社は振り返りをしていない。だから同じ失敗を繰返す。

・経費削減ではなく経費低減。優れた企業は急に経費をバッサリ切るのではなく、日頃から費用対効果を見たり相見積もりをとったり、細かな工夫を重ねて経費低減に努めている。

・人事制度、組織はモチベーション。全ては役割は創業者の分業であり、各自のベクトルが一致していないと企業はバラバラの方向を向いてしまう。

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2014年03月30日

Posted by ブクログ

企業トップの参謀役である経営企画室を舞台に、企業改革の在り方を描いた、小説風のビジネス書。経営企画的な仕事がどの様なもので、どの様に在るべきで、どの様に考えるべきか、が描かれている。
第一章は企画機能、参謀機能について、端的に語られている。大きく頷けた。その後の章もPDCAの回し方、経費削減のありかた、人事制度、マーケティング、新規事業の立ち上げ、など様々な内容を小説風に語りながら説明している。なかなかに解りやすい。
ただ、小説風の体裁をとったストーリーのほうはいただけない。ちょっとリアリティがなさすぎだと感じました。ビジネス小説としては全く評価できません。もっとも、私も現職以外における経営の現場は知りませんので、本書のストーリー部分にリアリティがあるのか無いのか、判断できない面もありますが。
とは言いつつも、私自身はあまりお目にかかったことの無い、参謀機能、経営企画に関する本質を描いた作品ですので、思うところも多かったと言えます。
気になったフレーズは、「分業のなかで『考える仕事』が企画業務」、「企画というのは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、そこから、目的達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組立てるという一連の動作」、「経営の意志としてやらなければならないが、それを任せられる部門がない課題や仕事を請け負う、あるいは推進するのが、参謀機能」、「人、性善なれど、性怠惰なり」、「成功した創業者」、「会社の憑き物」、など。あとは、働く意義や在り方について少しだけ語られているところがありましたが、そこも印象に残っています。

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2014年01月03日

Posted by ブクログ

「半沢直樹」が好きな人は、きっと好き。
副題 経営プロフェッショナルの教科書 の言葉通り、著者の豊富な経験をもとに、経営視点からの企業改革の推進を、ストーリーを読み進めながら共感する仕組み。
おもしろかった。組織には、いろいろな役割の人が必要なのだ。

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2014年01月01日

Posted by ブクログ

スーツ会社を舞台に企業戦略のノウハウを小説仕立てで書いた本。私取りも若い人が読むといいかも。深く感動したのは「目先のことに右往左往し全体を見られない稚拙な社員」というくだり。ドキッとしました。納得の星3つ

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2013年11月13日

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