森岡正博のレビュー一覧
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「正当防衛ならば、人殺しの興奮と快楽を味わってもよい」という自由なのではないだろうか。 殺戮と流血を密かに欲しているからだろうということになるだろう。 教団の拡大に明け暮れる宗教は貧しい。地上に跋扈する、これら貧しい宗教たちを私は軽蔑する。 彼等は、無痛化の道を突っ走る現代物質文明と、裏側でこっそり手を結ぶ。そのことによって、彼等の宗教から、現代社会批判の力が削ぎ落とされていく。宗教の持つ最も大きな可能性が、こうやって失われていくのである。 自分達に対しては、これ以上ないほどの快楽と心地良さを。自分達に刃向かう者に対しては、耐え難い程の痛みと苦しみを。そして降伏してきた兵士には、苦しみからの解
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環境問題から脳死問題まで、現代は生命にまつわるさまざまな問題に直面しています。しかし、これらの問題を生み出したのはわれわれ自身であり、われわれの「生命」の本性の奥深くに、他のいのちを犠牲にしてまでも生きたいという欲望が根を張っていると著者は指摘します。そのうえで、生命を「調和」や「共生」などといった美しいことばで語るのではなく、生命の奥底に存在するさまざまな矛盾に向きあい、解明しなければならないと主張しています。
著者はこうした観点から、生命にかんする具体的な問題に切り込んでいきます。たとえば、リサイクル型文明の提唱が資本主義システムと結びつき新たな南北問題を生み出すのではないかという指摘が -
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「私はこうだ」という姿勢でもって フェミニズム=女性学 セクシュアリティ アイデンティティ 新宿二丁目 妄想から幻滅へ 「嫌がるか嫌がらないか」に拘るレイプ犯と、「隠されているのか、あからさまに見えているのか」に拘る私との類似点 サブリミナルなメッセージを私達の脳髄に染み込ませる 牛乳を飲む少女 縦笛を咥えた少女の視線 親が承諾する理由は推測するしかない 仕掛け 仮面を被った少女ポルノ 第二次性徴 平均初潮年齢 ユニセックスな(性がまだ未分化な状態の)体 ひとつの思いが沈殿 大人の体へと大きくカーブを切る瞬間 何度も意識の底で反芻 思春期の分岐点 追体験 ロリコンの原因は、ロリコンの男が自分の
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一時期、テレビや新聞で著者の名前をよく見かけた気がする。
生命倫理の専門家だそうだ。
この本は、エッセイ集なので、それほど難しい話ばかりではない。
ただ、どの文章でも、自分を棚上げにしないという立場を貫いているのが印象的だ。
例えば、原発問題とエネルギーを大量消費した快適な生活への私たちの執着という矛盾。
著者は自分自身を例外的な立場に置かない。
それはすごいことだけれど、その先に何が見えてくるのかが知りたかった。
この本では、そういった諸々の矛盾がどう解決していくのかが見えなかった。
この本は元の本が1997年なので、その後著者はどういう考えを持つようになったのだろう。 -
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本書の「草食系男子」というのは一般的な意味から少しズレていて、恋愛に奥手な男子というくらいの意味で使われています。
巷に出回っているモテるためのテクニック本とは異なり、相手を一人の女性として尊重する「誠実さ」を、まっすぐに説いた本です。一人の「女性」として、というところに著者の森岡氏の一方的な決めつけを見てしまう向きもあるかもしれませんが、恋愛指南本である以上、この程度の一般化は避けられないように思います。
ただ、恋愛に奥手な男たちの多くも、この本に書かれていることの多くは、それなりに理解しているのではないか、という気がします。知ってはいるけれども、ここに書かれているようなことを実践するの