森岡正博のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2023/10/08
二日酔いながら一気見してしまった。
おかえりアリスに衝撃を受け、そのあとがきからこの本の存在を知った。
中学生の時に、毛が薄かった自分の足について、友達から「綺麗な足、女みたい」と言われた。そのことがずっと誇りだった。胸筋が無いので胸に脂肪がすぐ付いてしまうが、その僅かなふくらみを見るとき、少しだけ誇らしい、倒錯した感情がある。リナとミサトから、お世辞だとしても、「綺麗な顔立ちをしている」と言われたことをずっと覚えている。本当に嬉しかった。その嬉しさは恐らく、褒め方に性別が関係ない言葉だから。
女になりたいと思っていた。それは思想の面だけでだと思っていた。女が女と -
Posted by ブクログ
学者である著者本人がまんがを描いている。
あとがきにもあったが、まんがという伝達手段でこそ伝わることを模索している。
3年かけて、絵もどんどん上手くなってるし、それだけですごい。
それだけでなく難しい言葉や専門用語は極力排除されているので予備知識無しでも深い思索まで行ける。
特定の哲学者の議論を纏めたものでもない。
後半の「あなたなのです!」は良かった!
昔、永井均の著作を読んだが、「自分が自分であることにびっくりするタイプの人はいる」といった話があって、確かにこのページで初めてびっくりする人は一定数いると思う。
そのくらい効果的な伝え方だと思う。
生きる理由を明確に宣言しているのが -
Posted by ブクログ
とても平易な文章で読みやすかった。
ベネターの誕生害悪論から反出生主義の変遷を古代ギリシャまで遡り、西洋から東洋へ、その横断を辿るのも面白かったし各章の論考も充実。最終的には誕生の肯定を目指す本なので、読み終える頃には気持ちが軽くなっていた。
個人的にはショーペンハウアーと仏教の章が特に面白かったのだけど多分それはショーペンハウアーの哲学をほとんど知らなかったからだと思う。逆にインド哲学が難しくてわかるようなわからんような…そしてこの文脈にニーチェを乗せると彼がいかにぶっ飛んだかが分かって面白かった。人を超えるのだ…
シリーズもののようだけどこれ一冊でも十分楽しめたかな。けど出産の同意不在 -
Posted by ブクログ
救いとは何か、にまつわる対談。宗教学者でもある山折さんに対し、宗教的な言葉を用いず、哲学的に語ろうと苦心する森岡さんの、ぎこちないながらも必死に言葉を探そうとする姿には感銘を受けた。
議論の内容も、結論がはっきりと出るようなものばかりではないが、倫理を育むのは結論ではなくむしろ過程だろうし、それでいいと思う。
最終的に森岡さんは「命を大切にしようがしまいが、命自体が尊い」という境地に至り、いつかそのことを哲学の言葉で、論理によって説明できるようになればいいと話す。
そうなればいいと僕も思うし、僕は僕の言葉でそれを見つけたいとも思った。
議論の途中、まさにこのことと対称的な森岡さんの言葉とし -
購入済み
一気に読みました
哲学ってむずかしくてよくわからないという人にオススメ。哲学的な考え方とは何かということについて素人が触れることができる。
とにかくわかりやすい。 -
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時間論や存在論などについて、対話形式による議論が展開されている本。
まんが哲学入門というタイトルのとおり、一応漫画の体裁は保っているのだが、非常に気の抜けるデザインのゆるゆるキャラが跋扈する謎の世界観なので、最初は何故わざわざ漫画の形式にしたのか疑問を感じてしまった。
しかし、読み進めていくうちに、漫画であることの利点をうまく利用していることに気づかされる。図解をとにかく多用するため、直感的なイメージをつかみやすいし、言語では表現不可能な概念(永井均が言うところの<私>みたいなの)も力技でなんとか?表現してしまっている。著者は漫画と哲学は相性がいいと主張していたが、こういった技法をみると確 -
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うん、これが「哲学」。
世の中の哲学と呼ばれるものは哲学ではなくて「哲学」学。過去の哲学者がああ言ったこう言ったという解説。本書は「哲」学。
また、新書の入門書にはときどきすさまじいクオリティのものがあって、入門書でありながら同時に最終奥義の書であるような深みに届いている。本書もそのひとつと言っていい。
本書は、生徒と先生の対話という形をとっているが、それは知っているものから知らないものへ知識を伝達するためではなく、対話という形式でしか到達できない扉のむこうを目指しているから。そしてさらにマンガという形式をとることで、言葉で(書き言葉だけで)哲学する時のあの厄介な頭痛の種が緩和されている。ゼロ -
Posted by ブクログ
生命学という現代文明を顧みるための新たな学問を提唱するその軸として、エコロジー思想や生命倫理にフォーカスをあてて新しい生命観を模索する意欲作。筆者自身も最後に書いているが、この本はそういった壮大なテーマに立ち向かうための準備体操としての位置付けであるため、繰り返しが若干多い。そのおかげでとてもわかりやすくなっている。読みながらそんな考え方があったのかと驚くと同時に、自分はデカルト哲学に端を発する近代文明に期せずしてどっぷりと浸かってしまっていたことに気づかされる。個人的にディープエコロジーをどうやって自分の中で処理するか苦しんでいたところ、この本と出会い、仏教的に話を展開する刺激的な論調に出会