森岡正博のレビュー一覧
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面白かった!
誕生肯定とニーチェの運命愛の概念が特に好きで、自分の人生観を変えてくれたと言っても過言では無い。
ブッダやショーペンハウアーの考え方も分かる。
(数年前まではうつ病もあり他者には強要しない反出生主義の立場だったので、辛い時人間はこうなっていたかもしれない平行世界の存在を考えてしまうというのも嫌という程当時は実感した。)
そして歴史的に苦悩を抱える人間達が存在したこと自体も自分にとっては凄く救いになったので反出生主義の人達も存在はしていて欲しい。
だがやはり何が実現可能かを考え続けない限り無駄に苦しむだけという事も理解しているので今の精神状態でこの本が読めて良かったと思う。
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Posted by ブクログ
「草食系男子」と言う言葉が流行ったのは、もう随分前の事だ。
今の若い世代には通じるのだろうか?
この言葉が生まれた当初、自分のことじゃ無いか!と衝撃を憶えつつ、同じ様な人が沢山いるんだと安心した記憶がある。
それに甘えるかのように、もう歳を取り、彼女いない歴=年齢のどうしようもない人間になってしまった。
あの時、こんな言葉に甘えずに、安心せずに行動していたら今と違った未来もあったんだろうと。
と、これだけ草食系男子の話をしたが、内容はそれほど草食系男子とは関係がない。
あとがきに書かれているように、本書は草食系男子という言葉か出る前に書き出され、その言葉が流行り始めた時期に刊行され -
Posted by ブクログ
初めて反出生主義に触れた時、「感覚的にわかる気がする」と思った。現代の病理、はしかみたいなもの、誰もが生きてりゃ思うことをそれっぽく言ってみた露悪的なもの、と「見做したい」欲望を感じた。
が、反出生主義こそ逆説的に生を考える契機となっていることを評価しなければならない。優生思想然り、わたしたちは克服できるのか、人生にYESと言える言えるのか。
著者が指摘するまでもなく、原始仏教やユダヤ、キリスト教のように現世を超えた世界に理想を見る考え方は広義の反出生主義だ。
この意味で言えば、反出生主義は決して現代思想ではない。ただ、科学技術が進歩して人間が生命の在り方に介入できる余地がどんどん膨らんできた -
Posted by ブクログ
哲学とありますが、エッセイのような文章がテーマごとにまとめられてあり、読みやすかったです。
題名の33個目の石の話は知りませんでした。アメリカの銃乱射事件(被害者32人)の犯人(自殺)の分も追悼の石を置こうとする人、それは認められないとして排除する公的機関。何だか考えさせられました。許すとはどういうことだろうか。。。
森岡先生はすごく誠実で素直な方なんだろうなぁ。自分より年上の男性でこういう思考をしている方はほとんどいない気がします。
最後の方の章で書かれてましたが、先生が哲学的思考をするとき、それは言葉で練り上げるというより色や形などのイメージを組み上げるらしいです。予想外でした。哲学 -
Posted by ブクログ
反出生主義本が新聞で特集されていたので気になって。
生まれてこなければよかったと考えるのは確かにそうで、ベネターの著作によって反出生主義が注目されていることに対する考察本。
単に「生まれてこなければよかった」一言で片付けられてしまいがちだが、その思考をヨーロッパ哲学や仏教を紐解きながら整理していく。7章で言及されているように、「生まれてこなければよかった」という思想は綿密に紐解けるものであり、そもそも比較不能なものであり議論としては不完全なものである。(ここが肝なのだがちょっとその辺りの議論を理解するのに骨が折れて流し読みしてしまった…)
作者も述べているように、「生まれてこなければよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ男の「不感症」「制服フェチ」「ロリコン」がテーマであり、これらを著者の実際と照らし合わせて考察する。したがい、答えではなくひとつの仮説である。
男の射精そのものは快感を感じずに空虚感を感じる(男は自らの射精を語りたがらない)。感じる女への復讐がポルノに反映される(実際には女もそれほど感じているわけではない)。ポルノでよく制服が用いられるのは、背後に学校(=洗脳)を感じるため。男の自分勝手な論理で女を内面的に支配し、セクシャリティの自閉世界を作り上げることに帰結する。精液はその架け橋である。
ロリコンというと一般的に初潮前後の少女を対象としたものであり、社会全体がロリコン化しつつある。感じ