33個めの石 傷ついた現代のための哲学

33個めの石 傷ついた現代のための哲学

792円 (税込)

3pt

3.7

報復の連鎖の時代における、かすかな希望は確かにある。
人は傷つけ合う、その先を見つめた、柔らかな哲学エッセイ。

米国・バージニア工科大学で起こった銃乱射事件。
32人の学生、教員が殺され、犯人の学生は自殺した。
キャンパスには犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。
33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。
石は誰かによって持ち去られた。学生はふたたび石を置いた。それもまた、持ち去られた。
すると、別の誰かが新しい石を置いた。
「犯人の家族も、他の家族とまったく同じくらい苦しんでいるのです」。
犯人も現代社会の被害者であるという追悼を、われわれは出来るだろうか。
敵と味方の対立を無効化し、「やられたらやり返してやる」という報復の連鎖を超越していく物語を紡げるだろうか。

単行本刊行後、東日本大震災を経て発表された5編と書き下ろしを加えた文庫特別版。

社会は変わりようがない、人々が傷ついたとしても仕方がないというのっぺりとした社会意識を、食い破ることのできる希望。
それはまだ小さな流れではあるけれども、世界のあちこちで少しずつ開こうとしている柔らかなつぼみなのだ。

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33個めの石 傷ついた現代のための哲学 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2023年10月09日

    人は規律正しく生きていくことができるのか。否、時折私たちは間違いを犯す。自省し謝り改心していこうと努める。そして周囲はその過ちを許すことが大切であると筆者森岡正博は述べる。そこに宗教は介在しなくてもよい、怒りや苛立ち、憎しみがもたらす排除や復讐には平穏は訪れない、負の感情がエスカレートして分断や衝突...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年09月07日

    哲学とありますが、エッセイのような文章がテーマごとにまとめられてあり、読みやすかったです。

    題名の33個目の石の話は知りませんでした。アメリカの銃乱射事件(被害者32人)の犯人(自殺)の分も追悼の石を置こうとする人、それは認められないとして排除する公的機関。何だか考えさせられました。許すとはどうい...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年06月20日

    「正当防衛ならば、人殺しの興奮と快楽を味わってもよい」という自由なのではないだろうか。 殺戮と流血を密かに欲しているからだろうということになるだろう。 教団の拡大に明け暮れる宗教は貧しい。地上に跋扈する、これら貧しい宗教たちを私は軽蔑する。 彼等は、無痛化の道を突っ走る現代物質文明と、裏側でこっそり...続きを読む

    0

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