ジョン・ディクスン・カーのレビュー一覧
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ネタバレ初カー。なんだろう、ミステリなんだけどオカルト要素が多くて新鮮だった。
今思い返せば、語り手となる主人公が冒頭職場で上司に指示をもらう場面があるんだけど、読者が実感を持って読める場面ってそれくらいかもしれない。もうそこにクロスという怪しい影が滑り込んでいるんだけど…
休日を過ごす別荘地に向かう電車で、自分たちが普段生活している現実世界から遠ざかって、もう後戻りできないんだろうなという感覚がすごくある。
事件現場は由緒ある家族の屋敷、霊廟、消えた死体、壁をすり抜ける幽霊…オカルト要素満載なんだけど、トリックは超現実的で、男女が起こしたくだらない殺人事件だった。
なんだろう、ただのミステリをオカルト要素でデコレーションしたという感じではないんだよな…主人公も含め全ての登場人物や環境がきれいな舞台装置になっているというか…なんか不思議な読み心地の小説だった。
また気が向いたらカーのミステリ読みたいな。 -
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ネタバレ序盤は毒殺の罪で逮捕された無実の女性を救う王道の法廷ミステリー。弁護士である冷笑系・ナルシスト・自己中心的で自惚れの激しい弁護士・バトラー(情にアツい一面もある!)が主人公である。その女性にしか機会のなかった殺人事件を、バトラーの機転で無罪判決を勝ち取る。
ここまでは文句なしに面白い。二つ目の事件でもバトラーは第一容疑者の別の女性の潔白を証明しようとする。フェル博士が登場し、なにやら事件の背景には悪魔崇拝教団が深く関わっているという展開に…ごろつきや教団達とのバトル描写で露骨に失速。
典型的な竜頭蛇尾作品で星2が妥当だと思っていたところ、終盤に物語は急展開を迎えて、竜頭蛇体竜尾となる。
【完全にネタバレ】
最初に疑われた(投獄された)者が結局は黒幕で、時間差によるアリバイトリックという展開。これはアレですよねアレ。共犯者によるアリバイトリックなのでいくらでも貶すことはできる…が、バトラーの「ぼくは決して間違わない」というセリフの信憑性が"彼女は無実である"という地の文を上回るというミスリードが最終盤まで効果的であった。犯人とバトラーの二人だけのオトナな世界でアクセル全開、劇的なクライマックスを迎える…好み。
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ネタバレ諜報機関に属していたため、都合上4んだ事にされていた語り手ホールデンが復員し、数年ぶりに旧友ソーリィと恋人シーリアに再開する場面から始まる。「なにか特別な任務で遠くへいらしていたのね。」恋人の第一声に込められた思いは後に如何ほどのものであったか分かる。
ホールデンは旧友の妻であり恋人の姉であったマーゴットが脳出血で4んだと聞かされる。旧友ソーリィは病死と説明するが、恋人シーリアはソーリィの虐待を苦にしての自死であると完全に意見が食い違っており、ホールデンは旧友と恋人のどちらを信頼するか悩んだ挙句に殺人という結論を出す。
物語の核となるのが二者択一の苦悩。旧友が正しければ恋人は精神異常者であり、恋人が正しければ旧友は殺人犯となる。ホールデンが大切な人が狂っているかもしれないと悩み続けながらも、事件を推理していく展開が実に面白く三気読み。そして、この二者択一の決着の付け方は流石だと思った。
他の方も書いているように納骨堂の密室のカラクリは特に本筋とは関係ないので、とってつけたようでもったいない。一つ目の事件の方も、浴槽水浸しの論理などはよく出来ているが、過去作の使い回し感もあってミステリーとしては微妙かな。
石橋を叩いて渡る善人よりも向かうみずな犯罪者の方がなんて…女心はわからんね。カーおじさんもそんな経験あり? -
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ネタバレ手持ちの文庫本は表紙がクラシカルな雰囲気の女性のポートレートで登録されている表紙より好きだが、もはやポップとも言えるようなどんでん返しの本書には多少アニメっぽいイラストの方が合ってるのかもしれない。本作より後のクリスティ「蒼ざめた馬」がかなり好きで、本作もヘンダーソンが引用する昔の知人バリンジャーさんの「死んだ人間などちっとも怖くない、注意しなきゃいかんのは生きたろくでなしどもだ」という名言通り、怪奇現象を科学的に解明する話だろうと思いながら読み進めて説示までなかなか面白かったが、いきなり探偵役が倒れるあたりから収拾のつかない展開に。評決と言う短い終章でガラッとオカルトに揺り戻され、ここが本作の最大の魅力なんだろうけど、魑魅魍魎を斬る蒼ざめた馬のさっぱりとしたラストとは対照的。ツッコミを入れながら楽しむ作品のようです。鏡の前で手持ちの服をとっかえひっかえする若い女の子みたいにお洒落好きなおじいさん、殺されてかわいそう!「アクロイド殺し」で犯人が犯行当日あれだけの行動をとるのは忙しすぎて時間が足りず無理、との指摘を読んだことがあるが、本作の死体消失トリックも相当際どい短時間決戦。看護師は確かに正妻に罪を着せようと試みたり人が悪いかもしれないけれど過去の経緯は気の毒なところもあるし、「本当は罪を犯していない」のに終身刑ってかわいそう。いつの間にかゴーダン・クロス殺人事件にすり替わってしまっているが、これ結局真相不明だし、その前の毒殺のドレスの謎とか警察が深追いしなくてよいのかなあ…マークが急いで金が必要な理由どこかに書いてましたっけ?事件後行方不明になった、で終わるのは省略の美?何世代も放置していたにもかかわらず、この物語の時点から過去世の復讐話になるなら、あの「奥様は魔女」はマークだけでなく妹や弟(珍しい性格設定だけど知人で似ている人います)も亡き者にしてその際に夫を仲間に引き込む展開が想定されているのか。マイルズは図らずも死後に火刑に処されており、八つ墓村(映画しか見てないけど)なら被害者の子孫が復讐という形になっていたが、こちらでは犠牲者の甥が無意識のうちに自ら手を下すのが凄まじい。
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ネタバレ良くできているが、面白くはない。
事件パートが密室パズルを出題するために用意されているようで魅力的ではないし、探偵役のキャラもただ不可能状況を提示するために動いている。
密室談義の部分で、「現実感がないといってミステリを批判するな」といった話が出てくる。それはそのとおりだと思う。ミステリにはあっと言わされるようなものを求めてる。ただ、現実感のなさにも2通りがあると思う。1つは、有り得そうもない奇抜なトリック。つまり「思いついてもやらんやろ…」。もう1つは、必然性が薄いために起きえないと思うもの。つまり「そんなんよう起きんやろ…」というやつ。この作品はそれで言うと後者だ。密室殺人という不可能を可能にするために「目撃者が頼りにした時計がズレてた」「撃たれてからもあるいていて偶然であって撃ち返した」「撃たれてからもしばらく大丈夫だったが、密室に入ったあとにはずみで死に至った」といった偶然を重ねていく。今回のような事件が起きない、とは言わない。起きたから小説になったのだ、と言えるから。不可能状況を可能にするために多種多様な仕掛けの部品を用意して、それらで一つの密室という機械を作り上げる執念には感心する。ただ面白いかというと別だ。私は手品の種をきいてなーんだと思うよりも、手品の種をきいてなお魔法の世界に居続けられるようなミステリのほうが好きだ。 -
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ニューヨークの出版社の編集部員であるエドワードが週末を過ごす別荘へ向かう車中で出版予定の小説原稿に添えられた写真と名前は別荘で待つ妻マリーだった・・・小説は事実を基にした70年前の毒殺事件でマリーである筈がないがエドワードの心にはシコリが残る。。。
時期を同じくして別荘近くの大地主でデスパード家の当主が病死するが甥で友人でもあるマークから砒素を使った殺人の疑いがあり容疑者探しを行う。
妻似の70年前の砒素毒殺事件犯人は魔女で”不死者”といわれ時代を超越した幽霊が犯人なのか?
霊廟に安置された筈の当主の亡骸は何処へ?
唯一の目撃情報である”古いフランス様式のドレスを着た女性”は誰なのか?
デスパード家の一族・使用人とエドワード夫妻及び友人医師の怪しい人間関係と隠されたトリックは予測出来ない驚きです!
火刑法廷とは毒殺犯罪者(主たる犯罪者は女性が多い)が処刑として生前や死後に焼かれる事。
特に毒殺は魔術とされ火刑で罰せられた女性を”不死者”として魔術信仰された。