ジョン・ディクスン・カーのレビュー一覧
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ネタバレ5-
導入部はやや唐突で、何が起こっているのか、何が起ころうとしているのかを把握するのに苦労させられる。何だかよくわからないまま、結局はリゴー教授の“6年前の事件の話”に引き込まれざるを得なくなるのだが、それはそれで良いのかもしれない。何しろそれ以降は、著者の卓越したストーリーテリングで、最後まで目が離せないことになる。真相が明かされるシーンでは、バラバラになっていたピースが、ピタピタとはまり込んでいく様が目に浮かぶようで、感嘆するほかない。
トリックについても、過去の事件の真相についてはさして驚きはないが、現在の事件の方は“おお、なるほど!”と膝を打つほどで、とても感心させられる。
吸血鬼だ何だと騒がれる怪奇要素については、添え物程度と考えて良い。結局は、不可思議な出来事に遭遇した村人Aが「ありゃ幽霊の仕業ぢゃ!天狗様ぢゃ!河童ぢゃ!」と喚いているのと大差ない。ただし著者の巧みな筆致によってその怪し気な雰囲気は増幅されている。
人間関係にご都合主義的な要素はあるものの、巧みなストーリーテリング、秀逸なプロット、驚きのトリック、意外な犯人、そして戦後という時代背景など、様々な要素が渾然一体となり、かつ絶妙なバランスで成立している本作は著者の傑作の一つと言って差し支えないだろう。
ただ、そもそもフェル博士は“何故”マイルズを〈殺人クラブ〉に招待したのだろう? 〈殺人クラブ〉は通常、会員以外は講演者しかゲストに呼ばないというし、その日はリゴー教授が講演をする予定だった。フェル博士はリゴー教授の話をマイルズに聴かせたかったのだろうか、何のために? マイルズが所用でたまたまロンドンに来ていて、単に会いたかったから? だったらわざわざ〈殺人クラブ〉でなくても良いだろう。わからない。どこかにそのことに関する記述があっただろうか。ありそうなところをざっと読み返してみたが見つけられなかった。(ちなみに“リゴー教授の話を聴かせたかった”説を突き詰めていくといろいろと妄想できて楽しい。)
まあマイルズがそこを訪れなければ話は始まらないので、プロットのためにはそれは必然、故に理由まで気にしなくても良い、という気もしなくもないのだが、やはりどうにも腑に落ちない。 -
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探偵小説の巨匠、ディクスン・カーの作品。
デスパード家当主マイルズ・デスパードが死亡した。かかりつけ医は自然死と判断したが、マークはマイルズの部屋の現状から、砒素による毒殺を疑う。果たして、確かにマイルズは砒素により殺されていたのである。
ヘンダーソン夫人がマイルズの部屋を隙見したときに見た、無いはずのドアを抜ける不思議な女性と思しき人影、霊廟に埋葬されたはずのマイルズの遺体が消失するという事件、そして、エドワード・スティーヴンズの妻マリーと19世紀初頭の毒殺魔マリー・ドブレーとの関係。オカルティックな雰囲気に包まれた事件は、意外な様相を呈し始める。 -
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ネタバレ最近のカーやたら面白いなあ。アイデア命のミステリー作品なのにシリーズ中盤からエンジンかかっていくって珍しいんじゃね。
殺人クラブに招かれたマイルズは、主賓の大学教授から6年前に古塔の頂で起こった不可解な刺殺事件の話を聞く。犯行時間にその塔には誰も入った者がおらず、塔の死角から上空20mをよじ登ることも不可能。動機を持つ容疑者として真っ先に浮かび上がったのが被害者の息子の婚約者フェイ・シートンだった…
【ネタバレ】
マイルズはフェイ・シートンを司書として迎え入れると、同じ家にいた妹マリオンが「囁く何者か」への恐怖で心肺停止する事件が起こり…と徐々に十八番の怪奇性が増していく。戦争が影を落としていることもあって雰囲気は暗め。
何番煎じかの○○○○○トリックも6年前の事件と現在の事件の間に戦争を挟むことで見事に決まっている。塔の上での不可能犯罪はあの作品を思い出したが、レインコート・胸壁の岩・ブリーフケースなどの小さな謎の集積でとびきりの謎を創出する趣向や登場人物の細かな描写に伏線を忍ばせる(伏線の数が尋常じゃない!)手腕に恐れ入った。マイルズが美人薄命のフェイ・シートンに魅了され、彼女の潔白を信じ、闇雲に追い続けるという儚いロマンス要素もこの薄暗い雰囲気とマッチしている。 -
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悪魔と契約して タイムスリップして ミステリ を解く、みたいな設定は面白いし ダルタニアンの冒険 みたいな、チャンバラと女と政治 等を絡めた冒険活劇 みたいなのは面白かった
ワクワクするような感じだし 助手がなんと!みたいな設定もいいんじゃないでしょうか
ただし 最後、 あらそういう解決になるのっていう感じです。悪魔との契約についても、、、、なるほど派とオイオイ派が分かれそうですね。
おまけの4かな
楽しいのは楽しい。ミステリーとしてはてなで冒険 としては good っていうところじゃないでしょうか。毒を何やかんやするくだりのところは かなりいいと思いました。あと、タイトルも、読み終わりでなるほどと思う -
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ネタバレ密室のレジェンド、カーの代表作ひとつ。
『白い僧院の殺人』の伏線回収の手腕に度肝を抜かれたので未読だった名作に手を伸ばす。
過去の事件への言及なんかがそこここにあり、シリーズものの途中であることを伺わせるが、まあ普通に単体として楽しめる。
ただ、フェル博士のクセ強ぶりが前置きなしに出てくるので博士慣れしてない自分は何だこいつ、、と思ってしまった。
終始はぁはぁぜぃぜぃしていたり、ことあるごとに、はぅっ!とかへっ、へっ、へっ!とか言っちゃったりして正直キモいw(でも嫌いになれない)
それはさて置き、この全体の雰囲気が意外だった。
もっと何か王道本格探偵物っぽい想像をしていたのだが、殊の外オカルト風味が強い。
起こり得ないはずの超常現象的な事件は果たしてどの様にして起きたのか、犯人と目されるのは遠い過去に墓に埋められたはずの人物、姿形がふわふわと掴めない、、みたいな感じなのだ。
とは言え気になる引っ掛かり事象もいくつか散りばめていて、この伏線を回収しつつ、ここから論理で抑えにくるのかな、だとするとこの怪異&論理の形は京極夏彦っぽいななんて思っていたところから始まる「密室講義」の章。
急にメタフィクションを挟み込んできて、何とも凄まじいギアチェンジ。
やっぱり持ってきた理屈っぽさ。
「結果が魔法のようだと、原因が魔法のようなものだという期待が高まる。それが魔法でなかったことがわかると、くだらないと一蹴する。これはどう見ても公平ではないね。」
一般論と思わせつつ、結末への予感が詰まりに詰まった神章。
さて次は何読もうかな。
巻末の著作リストの邦訳履歴が目を見張る。
『皇帝のかぎ煙草入れ』15パターンも出版されてるんですけど。。。 -
購入済み
面白かった
犯人は消去法でなんとなく予想はできるが、
動機と手段はまったくわからなかった。
嘘をついてなくても事実とは限らない証言やらなにやら。
つくづく自分には人を見る目がないなと思いました。
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ディクスン・カー2冊目。
こちらも難しいのかと思いきや、とても読みやすかった。
勝手に1人で『十角館の殺人』登場人物フェアをやってるので、海外古典ミステリーにだいぶ慣れてきたのか?はたまた新訳版のおかげなのか?
はい、間違いなく新訳版のおかげです(^.^)
全体的に古典ミステリーの仄暗い雰囲気を感じつつ、新訳版のおかげで普通に読めるなんて本当にありがたい。
冒頭から「人は棺から抜けだすことができる。自分もやったことがある。」と話す謎の男が出てきて、すぐに惹き込まれる。
三つの棺の謎や、密室の部屋から消えた謎の男が知りたくて一気に読んでしまった。
予想外の真相で、さすが不朽の名作。
作中で密室講義が聞けるとは!
フェル博士のありがたい密室講義は勉強になった。
クリスティーだけではなく、やっぱり海外古典ミステリー好きだなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレエドガー・アラン・ポーの早すぎた埋葬モチーフを本歌取りしたらしい、墓場から土をかき分けて這い出す手、という雰囲気満点のつかみが気になりすぎて、真相がわかるまで一気に読んでしまった(これ、真相あてられる人いますかね?MIT白熱教室で複雑な数式を用いて再現実験してもらいたいような…)。東欧出身の三兄弟が絡む骨肉の争い、という点でエラリー・クイーンの某国名シリーズに通じるものがあり、どちらも「仲が悪すぎじゃない...?お母さん泣くよね」と突っ込みを入れたい。ただし本格推理のため(だけ)にホラー並みの血みどろ惨劇が淡泊に展開されてまったく怖さを感じないとぼけた味わいの某作に対し、本作は主人公のろくでなしなハチャメチャぶりに人間臭さを感じる。また練られた犯罪をほぼ完璧に遂行する犯人を綻びとも言えない極微細な違和感から突き止める鮮やかさが魅力だった某作も好きだが、やたら凝った計画を出だしで大失敗しながらど根性の力業で乗り越え...ようとして周囲の人々を謎だらけの困惑に陥れたドタバタ劇-結局何がやりたかったのか博士の説明にあまり納得できない、むしろ命取りなパニック状態?-には妙な愛着を覚えてしまった。「2発目はお前だ」、そりゃそうよね!そこそこ顔の知られた人物が派手な服装で街中の近所を歩いたら誰かの目につくリスク高そうだけど…人の好い居候のお爺さん、助かったのかな、あなたが善意で助けた人物は高邁な思想の政治犯ではなく銀行強盗でしたよ。。。
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Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭から奇妙な符合がたて続き、それら全てが主人公の妻が犯人であることを示唆しており肝をひやす、というところまではよくできたミステリにおける、一種の定型だが、それだけではなくその奇妙な符合は全て彼の妻がすでに処刑された魔女であることを暗示しているように思われる、となっていて読者の心を掴む。
中盤では推理合戦が繰り広げられ、その過程でタイトルを意識したような、法廷尋問のようなくだりもあって、遊び心がある。
クライマックスで、探偵が謎解きし全てが実現可能なトリックとして解き明かされなーんだと思うのも束の間、最終的な結論としては、やはり魔女だったのか…?と思わせるようなものになっている。そんなことありえるか?と思い返す。彼の妻にはやはりアリバイはなく、しかし部屋の鍵はどうしたんだ?と考えたとき、作中の魔術に関する本の記述に思い至る。過去に不死者が鍵をすり抜けたというくだり。斯様に本作は、以前のところでサラッと出てきた一見無関係ながら興味深い記述が、読み進めると突然再浮上してピッタリと鍵穴におさまるような、奇術のような仕草が至るところに仕掛けられている。