ジョン・ディクスン・カーのレビュー一覧
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購入済み
面白かった。
素直に読んでもひねくれて読んでも
どちらも楽しめると思います。
謎解きの前に
密室なんて存在しませんよと、
講義してくれるフェル博士の
なんと親切なことでしょう。 -
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ネタバレ2024年のベストミステリはこれかもしれません。面白かったー!と素直に言える本に、久々に出会いました。
翻訳ミステリを読むのが久しぶりなこともあり、正直序盤は誰が誰だ?と半ばうつらうつらしながら読んでいたのですが、
「スティーヴンズは自分の妻の写真を見ていた。」
の部分でハッと目が覚め、そこからグイグイ引き込まれていきました。
加賀山卓朗さんの訳もオシャレで、ザ・翻訳小説な雰囲気を味わえたのもよかったです。ストリキニーネ、ベロナールなどクリスティーでおなじみの薬品が出てきたのも。笑
この本については以前から”オカルト的要素”の足し方が秀逸、といったことを聞きかじっていたので、もしかしてラス -
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冒頭の掴み方がすごい。
この冒頭部分は裏表紙のあらすじには書いてないのでここでも書くのはやめておきます。
最初のたった20ページくらいでもうガッツリ掴まれて、先が読みたくてたまらなくなる。
登場人物と一緒に「えっ!?」と驚いて固まってしまった。
裏表紙あらすじから少し。
伯父の死に毒殺の疑いを持ったマークは、友人達と埋葬された遺体の発掘を試みる。
だが、密閉された地下の霊廟の遺体は…
全体的に不気味で仄暗い感じ。
読んでいると物語の中に入り込んでしまうような没入感があり、登場人物達と一緒にゾクゾクしながら体験した。
オカルトは好きではないんだけど、この作品はオカルトと本格ミステリーの配合 -
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「また罪を犯してしまったよ、ハドリー」博士は言った。「また真実を見抜いてしまった」
はい、このミス海外2024年版の1位『頰に哀しみを刻め』と同3位『処刑台広場の女』(こちらは未読)の翻訳者であり、現在ひまわりめろんの中でプチブレイク中の加賀山卓郎さん
なんとあのジョン・ディクスン・カーの翻訳も手掛けていらっしゃいました
翻訳者さんで選書するのを「通」だと思っているワタクシですので、早速かの有名な『三つの棺』を読んでみましたよ!
(『処刑台広場の女』はまだ読みません、焦らすね〜)
もちろん海外古典本格好きのワタクシが『三つの棺』を読んでないわけがありませんので、一応再読ということになりま -
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1937年に発表された小説ということで、もはや古典といっていい作品のようですが、まったく古臭さを感じることなく(もちろん新訳版ということもあるでしょうが)、グイグイと読み進めることができました。
情報は小出しにされ、些細な疑問ですら解決しないまま物語は進んでいきます。これ、どういうことなのかな?とモヤモヤが払拭されないまま、次々と新たな事態に突入。更なる謎や疑問が追加される展開に、もう翻弄させられっぱなし。うまい。この絡みあった糸をはやく解きたくて、頁を捲る手がとまりませんでした。
舞台は現代なるも、題材が近世フランスの魔女裁判、ということで、独特の雰囲気が醸しだされています。日本の怪談話の -
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ネタバレやたらと海外ミステリが並んでるエジンバラの本棚で見掛けて、密室講義だけ読んで満足していたのを思い出しました…はい…
有名すぎて、観てないのに見た気になっている映画、ドラマ、アニメとかありません?
〇〇を観ずしてSFを語ることなかれ、とか
✕✕を読まずしてファンタジーを語ることなかれ、とか
そう云われるとじゃぁお前何を語れるんだい、ということになってしまうんだけど(スターウォーズは観てるからSFは語っていいの? ガンダム好きならSFは…いやそれは語っちゃダメだな…)、
こればっかりは、
三つの棺を読まずして、密室ものを語るなかれ、と云わしめる力があるな、と思いました。
トリックの力であると -
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カーの作品を読むのは18作品目だが、読後の印象がとても良く、個人的にはカーのベスト5に入れたい作品。
川沿いに建つ塔で起こった不可能犯罪の殺人事件1件と、その6年後に起こった殺人未遂事件1件。作者らしい不可能犯罪や、オカルト趣味の「空飛ぶ吸血鬼」の話を織り込んではいるが、どちらも比較的地味な内容。しかしながら、作中人物の人物造形や、ラブロマンスを織り込んだストーリー展開、登場人物の心理分析がすばらしい。とりわけ、行く先々で悲劇をもたらす、妖しく儚げなヒロインのフェイ・シートンが魅力的。
派手さはないし、すごいトリックが使われているわけでもないが、フェル博士の真相説明を読むと、様々な手掛かり -
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タイムスリップSF+冒険活劇+ミステリ。
冒頭から悪魔と契約して、さっさと過去へ飛び出します。悪魔はおしゃべりな案外紳士風です…
過去で乗り移ったニック卿。その妻リディアは、なぜ殺されたのか?どうやって殺されたのか?がメインに置かれ物語は進む。フーダニットにハウダニットは、それなりにインパクトはある。だが、この作品の魅力は、そんなところではない。
フェントンが我を忘れ怒ったとき、乗り移った先のニック卿が10分間蘇る。この設定が実にハマっている、全編とおして、ストーリーの盛り上げに買っているのだ。
ミステリの弱さなど、気にならない。
暴漢退治、執事との組手、夜間襲撃、ロンドン塔での決闘。手 -
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カーの歴史ミステリの中、いやカー全作品の中においても屈指の面白さを誇るのが本作。私的カーベスト5、いやベスト3に入る作品と断言しよう。
本書では『火よ燃えろ!』同様、現代の人間がタイムスリップして中世に行き、その時代の事件を解決するという手法が採られている。しかし、作品が書かれた年代から云えばこちらが先なので、逆に『火よ燃えろ!』が同様の趣向を取り入れたと云えよう。しかし本書のタイムスリップの仕方は一風変わってて、なんと主人公を務める歴史学者は300年前の殺人事件を調べるために悪魔と契約して、自身の魂と引換えに1675年のロンドンに送ってもらうのだ。悪魔と契約というところで、非常に読者を選ぶと -
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ネタバレ5-
導入部はやや唐突で、何が起こっているのか、何が起ころうとしているのかを把握するのに苦労させられる。何だかよくわからないまま、結局はリゴー教授の“6年前の事件の話”に引き込まれざるを得なくなるのだが、それはそれで良いのかもしれない。何しろそれ以降は、著者の卓越したストーリーテリングで、最後まで目が離せないことになる。真相が明かされるシーンでは、バラバラになっていたピースが、ピタピタとはまり込んでいく様が目に浮かぶようで、感嘆するほかない。
トリックについても、過去の事件の真相についてはさして驚きはないが、現在の事件の方は“おお、なるほど!”と膝を打つほどで、とても感心させられる。
吸 -
Posted by ブクログ
探偵小説の巨匠、ディクスン・カーの作品。
デスパード家当主マイルズ・デスパードが死亡した。かかりつけ医は自然死と判断したが、マークはマイルズの部屋の現状から、砒素による毒殺を疑う。果たして、確かにマイルズは砒素により殺されていたのである。
ヘンダーソン夫人がマイルズの部屋を隙見したときに見た、無いはずのドアを抜ける不思議な女性と思しき人影、霊廟に埋葬されたはずのマイルズの遺体が消失するという事件、そして、エドワード・スティーヴンズの妻マリーと19世紀初頭の毒殺魔マリー・ドブレーとの関係。オカルティックな雰囲気に包まれた事件は、意外な様相を呈し始める。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近のカーやたら面白いなあ。アイデア命のミステリー作品なのにシリーズ中盤からエンジンかかっていくって珍しいんじゃね。
殺人クラブに招かれたマイルズは、主賓の大学教授から6年前に古塔の頂で起こった不可解な刺殺事件の話を聞く。犯行時間にその塔には誰も入った者がおらず、塔の死角から上空20mをよじ登ることも不可能。動機を持つ容疑者として真っ先に浮かび上がったのが被害者の息子の婚約者フェイ・シートンだった…
【ネタバレ】
マイルズはフェイ・シートンを司書として迎え入れると、同じ家にいた妹マリオンが「囁く何者か」への恐怖で心肺停止する事件が起こり…と徐々に十八番の怪奇性が増していく。戦争が影を