ジョン・ディクスン・カーのレビュー一覧
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ひまわりめろんさんから「読まねばなりません」とお勧めされたので読みました(^O^)
探偵役はギデオン・フェル博士。私は本作で始めてなのですが、どうやら巨体で髪はもじゃもじゃふさふさ、皮肉さといたずらっぽさを感じされる雰囲気。いろんな博士号を持っていて、著作とか講演とかしていて、その知性だとか観察眼だとかを買われて警察の顧問??なのかな、名前は知られているようだし堂々と捜査してるので。
このフェル博士が友人から話を聞く。数日前に神秘研究家のグリモー教授が仲間と酒場でワイワイやっていると、奇術師のピエール・フレイという男が割り込んできて「棺の中から抜け出すことのできる人間もいる。自分か、弟に気をつけろ」と告げたという。そしてフェル博士が話を聞いたまさにその晩が、グリモー博士が襲撃予告された日のようだ。
フェル博士はたちがグリモー教授の屋敷に駆けつけると、家の人達が騒いでいる。「仮面をつけた男がグリモー教授を訪ねてきて書斎に鍵をかけた。さっき銃声が聞こえた」というのだ。みんなで書斎の鍵を壊すと胸を撃たれたグリモー教授が倒れていた。だが部屋に一緒に入ったはずの男はいないし、外の雪には、男が訪ねてきた足跡も出ていった足跡もない。だがフェル博士は撃たれてたグリモー教授がつぶやいた言葉や、教授の部屋の書籍や小物からたちどころにしてグリモー教授の過去を言い当てる。
ええ、すごい!状況から読み取りる早さでいったら歴代名探偵のなかでもトップでは!?
警察は酒場でグリモー教授を脅したピエール・フレイを探す。だがフレイも同じ夜に道で射殺したいで見つかった。しかも雪に犯人の足跡はないのだった。
どうやら鍵はグリモー教授の過去にある。教授と二人の弟は、故郷で刑務所から脱獄したことがある。抱き込んだ医師に死亡証明書を書いてもらって、三つの棺で埋葬され、抜け出すことにした。だが抜け出したのは…。
読者としては前半は推理小説のヒントの範囲が広過ぎで状況把握が難しかった。グリモー教授が「襲撃予防のために絵を買った」とか、いつのまにかコート掛けに掛かっていた血まみれのコートだとか、そのコートの色が証言者によって違うとか、探偵趣味の若者とか、奇術師の小道具だとか…、えええ、読者に示されるヒントが脈絡なさ過ぎる(^_^;)
しかも第17章の「密室談義」でフェル博士が「探偵小説における密室の抗議を始めよう。我々は探偵小説の中にいる登場人物なのだからな」と言い始め…、…、えええー、今で言うメタ小説ですか、ディクソン・カーお茶目だな、そんなお茶目ができるフェル博士という人物像か・笑(ポアロやホームズが言ってはいけない・笑)
その密室談義では、いわゆる推理小説で読者に対して情報を全部出した密室のパターンを語る。まあ「実は自殺でした」とか「鍵に仕掛けをした」とか「目撃者が誤認するようにした」だとか「時間をごまかす」とかそういったものですね。
読者は読みながら「あの小説はこのパターンだな」なんて連想していくわけです。
しかしフェル博士の話を聞いた人たちは「でも今回のグリモー教授とフレイの殺人には当てはまりませんよね」という。
…まあ結果的にいうと。ディクスン・カーは読者に大変フェアで、脈絡がないと思われたヒントも見事に繋がりました。正直言って「できるか!?」という気もするけれど、解き明かされてほぐされる物を読むのは楽しいですね。 -
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コナン・ドイルを、ジョン・ディスク・カーが2年間費やし書いた伝記本
ドイルが死んで19年後に出版され、
1962年に翻訳された本です
コナン・ドイルの「シャーロックホームズ」っておもしろいよなと思ってる、ごく一般的な一ファンですが、伝記を読むと凄い人物だったんだなと、初めて知りました
一作家と言う枠に収まらない、実際的な実行を伴った人間と言うのは中々居ないものです
戦地に行くし医者であるし、クリケット、ボクシング、ビリヤードでは相当の腕前で、机上の空論んを吐くちょっと売れた作家とはレベルが違う
凄いな〜と凡人が思いました。
ps、現実でも有罪とされた冤罪事件をそれまで無かった再審制度を制度化させ無実を証明したそうです。
実際のシャーロック・ホームズでも有るわけです。 -
購入済み
面白かった。
素直に読んでもひねくれて読んでも
どちらも楽しめると思います。
謎解きの前に
密室なんて存在しませんよと、
講義してくれるフェル博士の
なんと親切なことでしょう。 -
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ネタバレ2024年のベストミステリはこれかもしれません。面白かったー!と素直に言える本に、久々に出会いました。
翻訳ミステリを読むのが久しぶりなこともあり、正直序盤は誰が誰だ?と半ばうつらうつらしながら読んでいたのですが、
「スティーヴンズは自分の妻の写真を見ていた。」
の部分でハッと目が覚め、そこからグイグイ引き込まれていきました。
加賀山卓朗さんの訳もオシャレで、ザ・翻訳小説な雰囲気を味わえたのもよかったです。ストリキニーネ、ベロナールなどクリスティーでおなじみの薬品が出てきたのも。笑
この本については以前から”オカルト的要素”の足し方が秀逸、といったことを聞きかじっていたので、もしかしてラストも”超自然”で片付いてしまうのかしら……と密かに心配していました。
ところが、探偵役の登場で「幽霊の正体見たり……」とばかりにそれまでの超自然現象に説明がつき、立派な本格小説だ、と満足して本を閉じようとしたところにあのラスト5ページですよ。
99%クロな容疑が晴れていく『杉の柩』を思い出していただけに、このエピローグによってみるみる世界が信じられなくなるのを感じました。
クセ強な名探偵として華々しく登場し、去っていったゴーダン・クロス。
カーの他の作品では、どんな名探偵が現れるのでしょうか。
ミステリにひと匙の怪奇要素を求める方には、ぜひオススメしたい一冊です。 -
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冒頭の掴み方がすごい。
この冒頭部分は裏表紙のあらすじには書いてないのでここでも書くのはやめておきます。
最初のたった20ページくらいでもうガッツリ掴まれて、先が読みたくてたまらなくなる。
登場人物と一緒に「えっ!?」と驚いて固まってしまった。
裏表紙あらすじから少し。
伯父の死に毒殺の疑いを持ったマークは、友人達と埋葬された遺体の発掘を試みる。
だが、密閉された地下の霊廟の遺体は…
全体的に不気味で仄暗い感じ。
読んでいると物語の中に入り込んでしまうような没入感があり、登場人物達と一緒にゾクゾクしながら体験した。
オカルトは好きではないんだけど、この作品はオカルトと本格ミステリーの配合が絶妙!!
オカルト好きも本格ミステリー好きも両方が楽しめる最高な作品だった。
冒頭もグッと掴まれて面白いけど、ラストはもっと掴まれてしまった…。さすがディクスン・カー。
今までオカルトは胡散臭さが苦手だったけど、ディクスン・カーの描くオカルトはそれを感じずに楽しめた。 -
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「また罪を犯してしまったよ、ハドリー」博士は言った。「また真実を見抜いてしまった」
はい、このミス海外2024年版の1位『頰に哀しみを刻め』と同3位『処刑台広場の女』(こちらは未読)の翻訳者であり、現在ひまわりめろんの中でプチブレイク中の加賀山卓郎さん
なんとあのジョン・ディクスン・カーの翻訳も手掛けていらっしゃいました
翻訳者さんで選書するのを「通」だと思っているワタクシですので、早速かの有名な『三つの棺』を読んでみましたよ!
(『処刑台広場の女』はまだ読みません、焦らすね〜)
もちろん海外古典本格好きのワタクシが『三つの棺』を読んでないわけがありませんので、一応再読ということになりますが、前回は三田村裕さん訳でした
今回は「新訳」と銘打ったものだけあって、いや〜読みやすかった!ちゃんとは覚えてないけど三田村裕さん訳はもっと難解だった気がするな〜
今の子たちはほんと幸せよね
この幸せを活かしてどんどん読んでほしいわ古典ミステリー
もうすごいから
本作『三つの棺』も、もうすごいです
カーが生み出した名探偵のひとりフェル博士が活躍する密室殺人ものなんですが
マジで、マ!ジ!で!教科書です
あらゆる意味で密室殺人の教科書と言える作品で、これ読んだことない人は本格ミステリオタクとは認めてもらえません
本棚にこれない人は神保町にある社団法人本格ミステリオタク協会の会員資格を得られません
受け付けで追い返されます「こちとらボランティアじゃないんだよ!」とガチギレされます「非営利違うんかい!」言っても「税金払っとるわ!」とさらにキレられます
もう読むしかないわな『三つの棺』こうなる前に
次は加賀山卓郎さん訳何読もうかな〜(『処刑台広場の女』違うんかい!)
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1937年に発表された小説ということで、もはや古典といっていい作品のようですが、まったく古臭さを感じることなく(もちろん新訳版ということもあるでしょうが)、グイグイと読み進めることができました。
情報は小出しにされ、些細な疑問ですら解決しないまま物語は進んでいきます。これ、どういうことなのかな?とモヤモヤが払拭されないまま、次々と新たな事態に突入。更なる謎や疑問が追加される展開に、もう翻弄させられっぱなし。うまい。この絡みあった糸をはやく解きたくて、頁を捲る手がとまりませんでした。
舞台は現代なるも、題材が近世フランスの魔女裁判、ということで、独特の雰囲気が醸しだされています。日本の怪談話のように、不気味で、刺激的で、興味が駆り立てられる。先述のモヤモヤした展開と非常にマッチしていて、この独特の雰囲気を楽しむことができました。
そして何より、わずか5頁の最終章の存在感。こりゃ名作ですわ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやたらと海外ミステリが並んでるエジンバラの本棚で見掛けて、密室講義だけ読んで満足していたのを思い出しました…はい…
有名すぎて、観てないのに見た気になっている映画、ドラマ、アニメとかありません?
〇〇を観ずしてSFを語ることなかれ、とか
✕✕を読まずしてファンタジーを語ることなかれ、とか
そう云われるとじゃぁお前何を語れるんだい、ということになってしまうんだけど(スターウォーズは観てるからSFは語っていいの? ガンダム好きならSFは…いやそれは語っちゃダメだな…)、
こればっかりは、
三つの棺を読まずして、密室ものを語るなかれ、と云わしめる力があるな、と思いました。
トリックの力であるとか、その語り口、見せ方はもちろんなのだけど、何よりも密室やミステリというものに対する態度、矜持? 気の持ちよう、というか(笑
あーこういうのを金字塔って云うのだな、と納得。
そういう部分を別にしても、プロットとそれを劇化するプロセスと展開と、長編を読ませる個性とウィット。
素直に☆5です。 -
Posted by ブクログ
カーの作品を読むのは18作品目だが、読後の印象がとても良く、個人的にはカーのベスト5に入れたい作品。
川沿いに建つ塔で起こった不可能犯罪の殺人事件1件と、その6年後に起こった殺人未遂事件1件。作者らしい不可能犯罪や、オカルト趣味の「空飛ぶ吸血鬼」の話を織り込んではいるが、どちらも比較的地味な内容。しかしながら、作中人物の人物造形や、ラブロマンスを織り込んだストーリー展開、登場人物の心理分析がすばらしい。とりわけ、行く先々で悲劇をもたらす、妖しく儚げなヒロインのフェイ・シートンが魅力的。
派手さはないし、すごいトリックが使われているわけでもないが、フェル博士の真相説明を読むと、様々な手掛かりが1つの線となって上手くつながっていき、すべての状況がきちんと説明されていて、納得できる。また、手掛かりや伏線の盛り込み方の見事さには感心せざるをえない。
フェル博士は、非常に細かい手掛かりをいくつも拾い上げて推理しているので、読者がこの真相を推理をするのは難しいのではないだろうか。
冒頭の殺人クラブでの出来事から話を始めていく手法に、カーのストーリーテラーとしての巧みさを感じた。
また、最後の方で判明する、ある人物の正体に関するサプライズも面白いと感じた。 -
Posted by ブクログ
タイムスリップSF+冒険活劇+ミステリ。
冒頭から悪魔と契約して、さっさと過去へ飛び出します。悪魔はおしゃべりな案外紳士風です…
過去で乗り移ったニック卿。その妻リディアは、なぜ殺されたのか?どうやって殺されたのか?がメインに置かれ物語は進む。フーダニットにハウダニットは、それなりにインパクトはある。だが、この作品の魅力は、そんなところではない。
フェントンが我を忘れ怒ったとき、乗り移った先のニック卿が10分間蘇る。この設定が実にハマっている、全編とおして、ストーリーの盛り上げに買っているのだ。
ミステリの弱さなど、気にならない。
暴漢退治、執事との組手、夜間襲撃、ロンドン塔での決闘。手に汗握る戦いの数々。
17世紀の風俗、貴族の立ち振る舞い、召使たちとの絆、裏切り、報復、激情的なロマンス…小説の楽しみが贅沢に詰まっている。
主人公フェントンの人間性、正義の推進力、実に知性に溢れる発言(独り言が多い)、尊敬に値する教授である。
なにからなにまで設定が生かされた大傑作で、感動的なシーンが盛りだくさん。必読の作品です。 -
Posted by ブクログ
カーの歴史ミステリの中、いやカー全作品の中においても屈指の面白さを誇るのが本作。私的カーベスト5、いやベスト3に入る作品と断言しよう。
本書では『火よ燃えろ!』同様、現代の人間がタイムスリップして中世に行き、その時代の事件を解決するという手法が採られている。しかし、作品が書かれた年代から云えばこちらが先なので、逆に『火よ燃えろ!』が同様の趣向を取り入れたと云えよう。しかし本書のタイムスリップの仕方は一風変わってて、なんと主人公を務める歴史学者は300年前の殺人事件を調べるために悪魔と契約して、自身の魂と引換えに1675年のロンドンに送ってもらうのだ。悪魔と契約というところで、非常に読者を選ぶと思うが、これを深く考えず、単なる物語の設定と寛容に捉えていただければ、後は目くるめく物語世界が眼前に広がることになる。
歴史学者ニコラス・フェントンは300年前に自分の家の近くで殺人事件があったことを知り、そのときの家主が同姓同名の人物であること、当時の事件の詳細を記した文書が秘書ガイルズ・コリンズによって書かれていたが、抜けがあり犯人が解らなくなっていることに好奇心を書き立てられたニコラスは悪魔に魂を売り渡し、当時のロンドンへタイムスリップする。
ニコラスはニコラス・フェントン卿になりすまして毒殺された妻リディアの治療に専念する。その甲斐あって、リディアは回復し、そして犯人であった女中を追い払うことに成功する。しかしリディアが死ぬ6月10日にはまだ日があり、しかも悪魔の話では歴史は変えられぬという。そんな中、ニコラスは国を揺るがす陰謀に巻き込まれていく。果たしてリディアの命は救えるのか、そしてニコラスは窮地を見事に脱することが出来るのか。
数多くの密室トリック物はじめ不可能犯罪を取り扱ってきたカーはその作品性からトリック重視の作者と捉えられがちだが、実は物語作家としても定評がある。ただカーの場合はトリックを成立するために人物を配置させたような意図が見えてしまうのと、過剰なまでのサービス精神でドタバタ喜劇を展開してしまい、その濃度の高さから好き嫌いが分かれてしまっているのは認めざるを得ないだろう。しかし本書は歴史ミステリということでフェル博士シリーズ、HM卿シリーズとは趣を変え、不可能趣味よりも娯楽小説としての側面を前面に押し出しており、なおかつサプライズもあるというカーにしては稀有なまでの出来栄えとなっている。
『火よ燃えろ!』では過去に戻ることでの読者への先入観を利用した錯誤をトリックにしており、歴史ミステリである必然性があったが、本書も同様に現代の人物が過去にタイムスリップすることが最後のサプライズに大きく寄与している。あまり詳しく書くと未読の方にヒントを与えてしまいがちになるので、この辺で止めておくが、策士としてのカーの側面が活かされた内容だ。
そしてそれに加え、本作では物語自体が非常に芳醇である。タイムスリップしたニコラス、つまりニコラス・フェントン卿を取り巻く人物達と築かれていく信頼関係、特に日増しに募るニコラスのリディアへの思いなどロマンスの要素もさることながら、特に本書では剣戟場面が迫力満点で、単なる比喩でなく手に汗握ること間違いない。カーの筆も乗りに乗っていることは行間から明らかに窺え、数あるカー作品の中で最も躍動感に満ちたシーンといえよう。興奮冷めやらぬ体で読み終えた私は物語が終ることを惜しく思ったくらいである。
本書を手に入れたきっかけは当時山口雅也氏が早川書房の企画で作家お勧めの1冊かなにかで本書を取り上げたことから当時絶版だった本書が復刊されたことによる。この企画で山口氏が取り上げなければもしかしたら未だに手に入らなかったかもしれない。こんな傑作が絶版になっていることこそ出版社の怠惰だと思うが、それを発掘し、世に知らしめてくれた山口氏に感謝したいと思う。