籘真千歳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
確かシリーズ第一弾を読んだ時は、その世界観がまったく肌に合わず、読むのが苦痛でさえあったけれど、揚羽や傭兵、鏡子、椛子。人工妖精という存在には好感を持っていた。
しばらく間を置いてから、第二弾を読めば、自分はこの世界を好きになるんじゃないかと期待し、読んでみたら予想以上にこの世界は魅力的だった。
難しい。ややこしい。と思う箇所も少なくはなかったけれど、言葉ひとつひとつ、そのチョイスが読んでいて楽しかった。
何かを考えさせられるようでいて、考えることを放棄させるような圧倒的な世界観。きっと私の理解力の範疇を超えていて、褒めたいのか貶したいのか分からなくなる。そんな作品。笑 -
Posted by ブクログ
世界中を数時間で移動できる技術”ミラーゲート”が実用化された未来。東京駅上空2000メートルに浮かぶ、11番ホームに勤務するサイボーグの少女”T・B”と、その友人のサイボーグの狼”義経”の活躍を描いた連作。
「スワロウテイル」シリーズの作者さんらしい物語といえば物語。どこかとぼけた少女が主人公で、表紙もとても可愛らしいのですが、ストーリーも、彼女たちの運命も過酷なものが多いです。
そして、世界観もかなりかっちりと出来上がっています。第一話からいきなり、日本と周辺各国を巻き込んだ謀略戦的な展開があり、
第三話でも、ミサイルがホームに撃ち込まれたり、果ては世界危機が迫ったりとスケールの大き -
Posted by ブクログ
ネタバレ人類をこれほどに愛してくれた彼女に、まずは感謝を捧げたい。
そして、誰もがワルモンではない状況を作り出した作者に、怨念まじりの賞賛を。
(こういう言い方も、ヒネクレモノの作者には伝わるものと思いたい。)
(だからこそマシロとモミジの悲劇。読んでいてこれほどつらいものはなかった。)
これほど苛烈に、人類への愛と憎悪を語りきった小説を、初めて読んだように思う。
人類に恋をした彼女に、小説の成り行き上これ以上続編はないとわかってはいても、しかしこれ以上何も書けないとは思わないよね、作者様!?
作者様には感謝を申し上げると同時に、
次こそは、叙述トリック云々、小説作法云々は度外視した、
人類と人類 -
Posted by ブクログ
アンドロイドの「人工妖精」が教育を受ける女学園で起こる様々な事件の顛末を描いた連作集。
SFとしての世界観に暗躍する様々な巨大組織、さらに終盤には観念的な話もでてきて理解は難しかったのですが、その分世界観の構築がすごかったです。
話自体はシリアスな展開なのですが、主人公の揚羽とその妹分である雪柳や学友たちとのやり取りはユーモアも取り入れられて、その辺のバランスが秀逸!初めのうちは世界観に戸惑っていたのですが、キャラのやり取りを楽しんでいるうちに、徐々にこの本の深い世界観や、シリアスな事件の数々にもなじめていった気がします。
シリーズ三作目みたいなのですが、タイトルに序章と入っているのでこ -
Posted by ブクログ
始まりに繋がる短編集。揚羽の看護学校時代、友人を巻き込み事件を追うシリーズ。ひとつひとつで完結かと思いきや・・・、なんだこれ最後にうまく繋がる! すごい!
短編ごとの物語も、長編のごちゃごちゃに比べて綺麗にまとまってて読みやすかった。
しかし揚羽ちゃんのどん底突き落とされ具合は哀れですね。どうしてこうなったの、誰よりいい子なのに(ノx`。)
そして語られる内容が難しくてむむむー。対談というカタチよりは、地の分で深く語ってもらったほうがわかりやすかったかもしれないところがちらほら・・あぁ知識のなさに泣ける。
化学的なお話をすんなり理解できるようになりたいな…
ところで人工妖精の最後は散り散り -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ第2作。東京自治区を襲う危機と揚羽(?)を襲う危機が複雑に絡み合い、一見美しく麗しい自治区の暗部に踏み込んでいくという前作にも増して重層的で面白いストーリーが展開していきます。
第一印象としては全般的に「あぁ、3.11後だなぁ」という雰囲気が作中の端々から、いささか過剰とも思えるくらいににじみ出ているのですが、いわゆる「時事ネタ」の一歩手前で踏みとどまっている感じはします。
そして前作では(おそらく)「記憶」を一つのテーマとして語られた通底している人に造られる存在である「人工妖精」の自己認識、アイデンティティを巡る時に複雑怪奇な議論は、今作では「顔」という形で登場し、人と人に愛され