籘真千歳のレビュー一覧
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ネタバレシリーズ最終作ということで、早く読みたいけれども、
終えたくないという相反する感情に板挟み。
結局は作品世界に引きこまれ、一気に読んでしまった。
読み始めてすぐに時間軸をずらしてあることはわかったのだけど、
Cパートでの揚羽の姿が十代前半という描写に「?」。
2作目でいきなり揚羽をボクっ娘で登場させ、実は真白でした、
という仕掛けをしてくれた作者さんなので、
今回も揚羽であって揚羽でない人工妖精。
いったい君は誰なんだい? という興味もあって、さらに加速。
そしてAパートでの揚羽と陽平の再会から、
婚姻届(控(偽(廃)))の件はニヤニヤが止まらない。
その辺りを境に物語は一気に重い方向へシ -
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パスカル曰く、人は考える葦、だそうだ。
この言葉を使って、人工少女販売処で屋嘉比が洋一と陽平に「・・・お前は言葉を話す蘆で、お前の目の前にいるのも言葉を介し心を察する一人の人間だ」と言ったのが印象的だったのを覚えています。
人とは考える生き物だと聞いたことがあります。言いかえると、人=考えるということなんでしょうか。
ということは、作中に出てくる人工妖精も人工知能も人間なのでしょうか。
さて、今回もとても楽しませていただきました。
椛子の会話といい、一回読んだだけでは理解が及ばなかったところも多かったので、これから何回も読みなおしていきたいと思います。
読み終わったとき、ここまで満足感に浸 -
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ネタバレ人間によって作られた人工妖精のお話。
表紙挿絵は可愛らしいですが、倫理であったり、哲学であったり、
かなり読み応えあります。
戦闘シーンと日常シーンの緩急がとても心地よいです。
そしてなんといっても鏡子の高説が耳に残ります。
特に二編目の『魔法と科学』一気に作品に引き込まれました。
序章ということで最初に買いましたが、
『人気シリーズの前日譚たる連作中篇集。』
ということで三冊目の現在での最新刊ということになります。
(読み終わって気づきました)
これ一冊でも充分面白いんですが、
既刊二冊読んでからだとまた違った印象が生まれたかも、、
とりあえず既刊読んでみます!
920円+税 と若干 -
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ネタバレスワロウテイルシリーズ2冊目、看護学校時代の後輩の葬儀に参加した揚羽(?)だが、火葬場で動く死体と化した彼女と相対することに。青色機関の抹消抗体として揚羽は彼女を退け、事件としてその謎を追い始める。自警団の陽平が追う貌剥ぎ事件、そして同時期に自治区を襲ったテロ、単発的に見えた複数の事件だったが全ては東京自治区の暗部に繋がり、自治区の存亡を懸けた事態が進行していく。
前半はある違和感を覚えながら読み進めていたが、真相が明らかになるにつれ別々にみえた事件が繋がり始める過程に引き込まれた。怒涛の複線回収で違和感の原因もしっかりと解決され、今回も緻密な世界観設定の下で繰り広げられるお話に大満足だった。 -
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「きゃ、やだ、くすぐらないで!こら、揚羽ったら!」
「よいではないか、よいではないか、はっはっはっ、鶴のように鳴くのう」
「お姉様、お声がいやらしくてお素敵です!」
「もう!やったわね、揚羽!パジャマを引っぱがすわよ!」
「あっ・・・あ、それはだめ!や、ちょっ、ちょっと連理、見えてる、見えちゃう!」
「連理様、お手つきがおいやらしくてお素敵です!」
人工妖精達の学園生活を描きながら、最終章はハードSFらしく締める。設定にもすっかり慣れたところで、近未来東京人工妖精ワールド全開、秘密の花園も絶好調です。ハードSF、しかしながらラノベ風味満載、読んでて楽しいわ~、まだまだ続いて欲しい!今回は可愛 -
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人工妖精(アンドロイド)が普遍的に存在する近未来の東京、背景となる設定が壮大且つ細かくて物語に入り込むのにちょっと時間がかかるが、「ねじまき少女」を彷彿させる各種公的機関のディテールが楽しい。表紙が可愛らしいので軽い読み物かと思ってしまうがとんでもない、素晴らしいハードSFでした。揚羽と陽平のやりとりも少しだけHで微笑ましい。ハードSFかと思えばライトノベル風文章が絶妙に融合されており、文章は軽いが話は重い、アンバランスな感覚が何とも心地よい。以前絶賛した「Delivery」とはまた趣きが違う、こんな作家がいるんだ!と嬉しい発見でした。勿論続編も読みます。
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相変わらずの面白さとクオリティを持つシリーズ三作目。
女学園×SF×ミステリ×必殺仕事人の素敵な融合。七色の蝶が舞い四季をめぐる情景、コメディとシリアスのバランスのある会話、SF的な謎の解明、物語の感動、と満足度高し。
鏡子さんの独自な価値観をもった罵倒も健在(笑) 今回は連作短編集だから謎の解明と戦闘場面が何度も楽しめる。
不可解な謎を提示し、丁寧に伏線を張り、推理し、と、綺麗にミステリの構図を物語の進め方に用いている。ミステリの文法が藤間千歳という作家には身体に染み込んでいるんじゃないかな。
あと、風気質[マカライト]のトリックスターぶりは物語を動かす上でも魅力的なのだと今回判明。
好 -
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ネタバレ生殖行為により感染、進行、遺伝する病〈種のアポトーシス〉の感染者を閉じ込めた、かつての関東平野(関東湾)に浮かぶ浮島、東京自治区。巨大な歯車によって二分された自治区の人々は男女別に分かたれて、人を模して造られた微細機械群体技術の結晶である人工妖精(フィギュア)を人生の伴侶として暮らしている。第3の性として蝶形微細機械群体で構成された体を持つ人工知性である彼、彼女らの一人として男性自治区側で暮らす少女揚羽は人による被造物としての規範を逸脱してしまった同胞を切除することを生業としていた。傘持ちと称される連続殺人事件の犯人を追っていた彼女は自治区の存亡を左右する陰謀の渦中へと身を投じることになってい
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この世界はどこまで組み立てられているのか。もしくは全てが張子なのか。なんだかどこまでも隙がなく上手い具合に組まれたプロットで、小難しい話であるにもかかわらずぐいぐい読めてしまう。
人工妖精や東京自治区などSF的フェティッシュが魅力的。ただ、その辺りの技術的な設定・理屈を理解しようとすると少々難解で面倒。それが面白いところでもあるのだが、単純に恋愛モノとして読むのでも十分面白い作品。
人間を愛し人間に愛されるためにつくられた人工妖精。その構造、背景を冷酷なほど語りつくして世知辛いつくりものの社会を嘆くのに、人工妖精も彼らとともに生きる人間も、互いを想うことに一生懸命だ。その一途さが過ちを生むし、