【感想・ネタバレ】スワロウテイル人工少女販売処のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年06月13日

ラノベのようなスタイルをとりながら、重厚なテーマと複数の読み方を持つ、何度でも再読したい一冊です。
「限りなく人間に近い機械」というありがちな設定に、男女隔離を余儀なくされた世界に第三の性として作られたという存在理由を加えたことで、テーマに大きな深みが生まれた気がします。
特に印象的なのは洋一と置名...続きを読む草の美しくも残酷な物語です。精緻なSF的要素に見える置名草の体質や背景は、単なる無味乾燥なSFガジェットではない、人間の思いが届くものとして描かれています。このあたりに全編を通じて暗示される人工妖精と人間双方の悲哀が詰まっている気がします。
何より、結びは冒頭の一節だけでなく主人公への解答として機能しており、物語が終わったのではなく彼女が旅立ったに過ぎないことを雄弁に語っています。

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Posted by ブクログ 2021年07月15日

人工生命、男女の分断、病人を隔離した豊かな自治区……と、要素盛り盛りなところがとても良いですね。全部乗せで贅沢だけど世界観にのめり込んでどんどん先を読みたくなっちゃう。
ヒロインの揚羽がいちいち感情重い子で可愛い。
水先案内人の置名草や「クラスメイトの女の子」として作られた人工妖精の在り方も切なくて...続きを読む……でもきっと、彼女たちは不幸せではないんだろうな。複雑。

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Posted by ブクログ 2017年02月19日

人工妖精と人間の世界になっても、極端な思想も差別も消えないのに、相手を想う気持ちも変わらないのが印象に残った。
自分が生きている間にはそこまでの技術進歩は望めないが、この世界をぜひとも見てみたいと思った。
陽介と揚羽のコンビをもっと見てみたい。
一日ごとに記憶を失う水先案内人の存在は何か切ない。
...続きを読む日ごとに記憶を失う彼女たちが忘れたくないものを手に入れたら、それは悲劇なのかもしれない。

ただ、性感染する病気を避けるために人工妖精を伴侶にするのなら、いつの日にか絶滅するような気がする。

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Posted by ブクログ 2014年12月31日

タイトルで損してる気がするなぁ。
クオリア、人工知能、作られたものの幸せとはなにか。
文体は独特だけれど、読みやすい。

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Posted by ブクログ 2015年12月02日

 種のアポトーシスと呼ばれる性交によって感染する病を患った男女たちが暮らす男女別自治区。そこでは異性の代わりに人間を模して造られた、人工妖精(フィギュア)が人々と共に暮らしている。
その自治区で連続殺人が発生。事件を追う人工妖精の揚羽は徐々に自治区をめぐる謀略に巻き込まれていく。

 練りに練られた...続きを読む複雑な世界観や設定の解説に加え、ラノベっぽい独特の言い回しやキャラクターたちの会話、小難しい言葉や思想で装飾された文章で書かれたこの作品は決して読みやすくはありません。
自分自身も序盤は世界観をつかむのにも、文体に慣れるのにも苦労しました。

 話としてもスケールが大きく、いろいろな要素をこれでもかと詰め込まれているので、描き切れていないところや駆け足になってしまったところもあるように思いました。
しかし、それでも読み終えたときの満足感はすごいものでした。

 それはSFとして世界観や国家との対決にも発展する展開に興奮したというところもあると思いますが、それ以上に心を揺さぶられたのは、作中に出てくる人工妖精たちの物語です。

 この小説で徹底して描かれるのは、純真すぎる人工妖精の愛の話であり、そして愛されることの苦しみの物語でもあったように思います。個人的に読んでいてつくづく思ったのは、人間が心ある人間を造ろうとするのは本当に正しいことなのか、という事でした。

 そしてそうやって作られた心に従って行動する人工妖精たち、そして、揚羽が背負わざるを得ない過酷な運命に感じる切なさは、他の小説を読んだとき以上に心に迫ってくるものがあると思います。

 だからこそラスト場面は切なくも非常に温かく美しかったです。シリーズ化されてる本作ですが、
純真で罪を背負わざるを得なかった揚羽が、少しでも安息と幸せを手に入れられることを祈りながら、このシリーズを読み進めていこうと思います。

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Posted by ブクログ 2013年03月10日

身代わりとして、人を思い生きる人工妖精。
それを哀れに思い、心を痛めても、それは本当に無意味。
人工島無いだけでなく、本の外の読者も空回りしてる。
すべてが空回りるこの世界、見てきて飽きない!
一日草の種明かしは全俺が震えた!
キレイにまとまったお思ったら、まだ続きがあるのか、楽しみ。

新世界より...続きを読むを読んだ後、二冊目のSF小説。
やっぱりSFは好きなのかもしれない。
はまりそう。

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Posted by ブクログ 2012年11月02日

人工妖精(アンドロイド)が普遍的に存在する近未来の東京、背景となる設定が壮大且つ細かくて物語に入り込むのにちょっと時間がかかるが、「ねじまき少女」を彷彿させる各種公的機関のディテールが楽しい。表紙が可愛らしいので軽い読み物かと思ってしまうがとんでもない、素晴らしいハードSFでした。揚羽と陽平のやりと...続きを読むりも少しだけHで微笑ましい。ハードSFかと思えばライトノベル風文章が絶妙に融合されており、文章は軽いが話は重い、アンバランスな感覚が何とも心地よい。以前絶賛した「Delivery」とはまた趣きが違う、こんな作家がいるんだ!と嬉しい発見でした。勿論続編も読みます。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月19日

生殖行為により感染、進行、遺伝する病〈種のアポトーシス〉の感染者を閉じ込めた、かつての関東平野(関東湾)に浮かぶ浮島、東京自治区。巨大な歯車によって二分された自治区の人々は男女別に分かたれて、人を模して造られた微細機械群体技術の結晶である人工妖精(フィギュア)を人生の伴侶として暮らしている。第3の性...続きを読むとして蝶形微細機械群体で構成された体を持つ人工知性である彼、彼女らの一人として男性自治区側で暮らす少女揚羽は人による被造物としての規範を逸脱してしまった同胞を切除することを生業としていた。傘持ちと称される連続殺人事件の犯人を追っていた彼女は自治区の存亡を左右する陰謀の渦中へと身を投じることになっていく。
これでもかと詰め込まれた膨大で緻密な世界観設定の下で繰り広げられる、人による被造物である人工妖精たちと人間の暮らしを描いたSF作品。奇怪な連続殺人事件とその裏に隠された作品舞台である東京自治区の存亡にかかわる事態を追うストーリーにぐいぐいと引き込まれた。登場人物間の小ネタをちりばめた難解、または軽妙なやり取りもにやりとするものが多く楽しめた。

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Posted by ブクログ 2012年01月20日

この世界はどこまで組み立てられているのか。もしくは全てが張子なのか。なんだかどこまでも隙がなく上手い具合に組まれたプロットで、小難しい話であるにもかかわらずぐいぐい読めてしまう。
人工妖精や東京自治区などSF的フェティッシュが魅力的。ただ、その辺りの技術的な設定・理屈を理解しようとすると少々難解で面...続きを読む倒。それが面白いところでもあるのだが、単純に恋愛モノとして読むのでも十分面白い作品。
人間を愛し人間に愛されるためにつくられた人工妖精。その構造、背景を冷酷なほど語りつくして世知辛いつくりものの社会を嘆くのに、人工妖精も彼らとともに生きる人間も、互いを想うことに一生懸命だ。その一途さが過ちを生むし、感動も生む。歪の中で己にまっすぐに生きるということは、最大限に歪ながら生きるということなのかも知れない。すごい物語だ。

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Posted by ブクログ 2011年10月19日

第三の性としてのアンドロイドの設定がすごい生かされていて面白かった。合理的すぎるアンドロイドと、合理的であればいいという訳ではないという人間の価値観などがうまく表現されていた。

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Posted by ブクログ 2019年07月21日

表紙とタイトルからラノベの香りを感じていたが、思っていたよりずっと早川書房=SF寄りの話で面白かった。むしろ、中途半端にあるラノベの香り(たとえばヒロインが変な声で鳴く)は必要だったのか??
この先の展開でその話も出てくるもしれないが、是非女性鎖国サイドの描写も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2013年10月08日

人の手により創り出されし儚気な生き物。
容姿の衰えのない永年幻想少女『人工妖精』。
人間にご奉仕するために生まれ、壮絶なまでの無償の愛を捧ぐ。
人間の夫や妻なんて不要と思うのも道理かと?
人工妖精である微細機械に依存し、侵蝕され、穏やかに緩やかに衰退していくのもいいかもしれませんね??

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Posted by ブクログ 2013年06月26日

籘真千歳のスワロウテイルシリーズの第1弾。実は第2巻から先に読んでしまいました。第2巻を読んでいたので世界観等は把握しやすかったです。内容は思ったよりハードでタイトルと表紙絵に騙されると痛い目にあいます。80年代に流行したサイバーパンクを、最近のライトノベルというフォーマットに落とし込んだ感じの作品...続きを読むです。でも、一般的なラノベよりは情報量が多いです。SFなのですが、途中に散りばめられている伏線もある程度きちんと回収されるので、ミステリーとしてもきちんとしてます。ラストはハッピーエンドなのかな?

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Posted by ブクログ 2013年05月13日

設定しっかりしてて面白かった。
いわゆるディストピアもの。
終盤が素晴らしい。

が、文章が読みにくい……
比喩雑多なラノベ調なのは構わないけど、読点が不自然だったり誤植を疑う箇所があったりで残念。3回読んで分からない文章は読み飛ばさざるを得ない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月18日

久々にジャケ買いした1冊です。ある感染症を機に男女が隔離され、男性側には女性の、女性側には男性の、人を模してつくられた人工妖精(フィギュア)が存在する人工島で起こった事件をめぐるSFです。後半、やや急ぎ過ぎて解説が多くなっている気がしますが、思ったより本格的なSFで楽しめました。アクションシーンがも...続きを読むう少し派手な方が好みですが。いろいろ謎もまいてありましたので、続巻にも手を出してみたいと思います。

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Posted by ブクログ 2016年07月15日

再読必須。
作る人が作れば素晴らしいアニメになりそう。
この文体もまたフェティッシュで素晴らしい。
ラノベという衣装を着せておくのがもったいない作品だ。

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Posted by ブクログ 2012年08月14日

人間を模した「人工妖精」が人間と共生している人工島でのお話。人工妖精に必要な人工の知能・意識・認識の形成、そしてそうしてできた(時として人とは異質な認識を持つ)人工妖精が人を愛し愛される事とは……といったような難解なテーマも比較的スムーズに読み進めることができました。
ただ、何せそういう難しい部分...続きを読むの説明に少なからず紙面を割かれている分、肝心のストーリー展開がちょっと速いというか、(特にサイドストーリー的な部分の)終わらせ方が中途半端かな、と思う所もややありました。この辺は続編も出ているようですし、続編で今回構築した世界観をどう活かしていくか気になる所です。

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Posted by ブクログ 2012年04月14日

 人間の伴侶として作られた人工妖精には様々な分類や設定が存在します。4+1段階からなる等級、土水風火の4気質、ロボット三原則に加えられた2つの原則。ただのロボットやはたまたヒューマノイドとは違った、無限の個性を持った存在を創り出せる世界です。読者がSF世界を想像し、楽しむための素材がこの1冊には溢れ...続きを読むかえっています。
 物語そっちのけで人工妖精に思いを馳せていました。
 ——うん、楽しかったです。
 私なら情熱的な火気質を伴侶にしたいな。慎ましく従順な水気質は楽に見えてイライラしちゃいそう。

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Posted by ブクログ 2011年12月30日

タイトルや表紙、目次に惹かれて買った一冊。
人物設定や世界観もなかなか魅力的でした!
生殖できなくなる病が蔓延した日本で、人工的に作られた東京の島に暮らす、人と、人によく似た生命体人工妖精。その成り立ちやそれにまつわる事件が語られます。
最後は涙(´;ω;`)揚羽ちゃん…
しかし難しいところもあり、...続きを読む結構見慣れない漢字羅列ルビうち文字に苦戦させられる。。。
そしていい要素がいっぱいあるのになんだか消化不良になってる部分がもったいないかなと・・。一番いい部分が語られてないのはなんでなんです???
続きで消化されるぶぶんがあるのかとおもって、続編読み中です。
鏡子さんがダントツで好きなんです・・・!揚羽ちゃんとの息の合ったやりとりがいい味(*・ω・*)

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Posted by ブクログ 2011年11月23日

サイバーパンク+ミステリーって感じかしら。ちょっとルビが痛い感じがするところもあったけど割と好きです。

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Posted by ブクログ 2011年10月27日

揚羽のいじらしさが好きだなあ。
漢字+カタカナのフリガナのレトリックも好き。
度を超したSFってファンタジーになる気がする。
お話も読み応えあります。

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Posted by ブクログ 2011年09月04日

タイトルから卑猥な内容を想像してしまったが、そういうところはほとんどなかった。(始めに少しあった)

そのような先入観だったが、SFとして良くできていると思う。よく考えるなぁ。

ストーリーは、主要な存在が主人公の近くに揃い過ぎてスケールが小さくなってしまって残念。

あと、無理に品の悪い言葉を使っ...続きを読むている感があるが、使い慣れていないように感じる。作者プロフィールといいワルノリしなくてはならないという思いが外してしまっているように思う。

設定面は素晴らしいので、なんだかんだいって楽しめた。

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Posted by ブクログ 2023年03月20日

男性向けファンタジーと弁えて読めば設定は面白いし哲学もいい。
ただどうしても片側世界、特に女ではなく男性の為に存在する少女だけなので感情が哀しく薄っぺらい。
中身と無関係に、男の料理に対する作者の言葉があまりに的確で大笑いしたが、実際は傍迷惑な男の料理かなw 女だって料理下手はいくらでもいるがそこに...続きを読む料理皆伝レベルの蘊蓄はついてこない。この差がでかい。

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Posted by ブクログ 2015年01月25日

すごく久し振りに、きちんと作り込まれたライトノベルを読んだ。事象と事象、結果、因果関係。齟齬無く丁寧に描かれてて満足。シリーズ既刊を買わせる力のある作品でした。積読消化したら本屋行きます♡

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Posted by ブクログ 2014年01月15日

近未来ファンタジー。まず、世界観の理解に時間がかかるちょっと難しい小説。ミステリ要素も含んでいますが、表に出ているのはファンタジーかなと思います。
全体的に人間の倫理感を問うような問題が多い。科学の急速な発展に対する、これからの将来を案じているような雰囲気。
そこに、人間の男女間における「性」の問題...続きを読むが絡んだような、近未来にありがちな生々しさも絡んでいます。

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Posted by ブクログ 2015年10月18日

タイトル的に『観用少女(プランツドール)』の人工知能verみたいな感じかな、と思っていたら違ったような、でもそう大きくは違わないような。
わりとSFで、アニメが1クール作れそうなくらい面白い設定がたくさん。
揚羽と洋平の関係がにやにやものというか、最初からフラグ立ってると思うんですがこのままなんだろ...続きを読むうか。
ところでデビュー作の『θ 11番ホームの妖精』って、なんか聞いたことあるなと思ったら電撃文庫ですよね?たしか一時期ちょっとだけ話題になって、買おうかどうか悩んだような…結局どうしたんだっけ…ちょっとチェックしてみようかな。

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Posted by ブクログ 2013年08月29日

世界観はとても良くできていると思うのですが、今ひとつのめり込む感じにはなりませんでした。
文章が今イチなのと、変にお涙頂戴な部分があって、興ざめする感じが拭えませんでした。

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Posted by ブクログ 2013年03月19日

設定は好き。固めのSFで読みごたえがある。ある種のディストピアと化した東京の幻景はすごくわくわくする。
でも文章がちょっと鼻につく。凝りまくった比喩の羅列とか、ライトノベルライトノベルしたキャラ造形とか、あれこれハヤカワさんでいいんだっけ…? とレーベル確認したくなる感じ。ちょっと書き込みすぎじゃな...続きを読むいかなー。どこもかしこも主張しすぎててうるさく感じられてしまった。

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Posted by ブクログ 2012年12月22日

これだけの舞台装置がもったいない。連作短編の形式にして、幾つかの事件を経た後、“傘持ち”事件を描いた方が良かった気がする。もっともこれでは一冊に収まらないが。

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Posted by ブクログ 2012年01月29日

背中の羽以外、見た目がそっくりな人造人間=フィギュアの話。時代は近未来。人類全体がどうこうというより、フィギュアや取り巻く人間個人の話。「「θ―11番ホームの妖精」を描いた人らしい作品だと思った。

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