籘真千歳のレビュー一覧

  • スワロウテイル人工少女販売処

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    大好きな作品です。アンドロイドと人間というよくある題材ですが、アンドロイド側がそれっぽくないというか人間そのものという感じがありながら、自分自身は人間ではないんだよな、と一歩引いている感じが新しかったように感じる。内容も精神とは、人間とは、という問いをはじめ哲学や心理学を交えつつ運命論やSFっていうような設定も出てきてとても楽しめました。

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    2025年06月26日
  • スワロウテイル人工少女販売処

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    ラノベのようなスタイルをとりながら、重厚なテーマと複数の読み方を持つ、何度でも再読したい一冊です。
    「限りなく人間に近い機械」というありがちな設定に、男女隔離を余儀なくされた世界に第三の性として作られたという存在理由を加えたことで、テーマに大きな深みが生まれた気がします。
    特に印象的なのは洋一と置名草の美しくも残酷な物語です。精緻なSF的要素に見える置名草の体質や背景は、単なる無味乾燥なSFガジェットではない、人間の思いが届くものとして描かれています。このあたりに全編を通じて暗示される人工妖精と人間双方の悲哀が詰まっている気がします。
    何より、結びは冒頭の一節だけでなく主人公への解答として機能

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    2023年06月13日
  • スワロウテイル人工少女販売処

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    人工生命、男女の分断、病人を隔離した豊かな自治区……と、要素盛り盛りなところがとても良いですね。全部乗せで贅沢だけど世界観にのめり込んでどんどん先を読みたくなっちゃう。
    ヒロインの揚羽がいちいち感情重い子で可愛い。
    水先案内人の置名草や「クラスメイトの女の子」として作られた人工妖精の在り方も切なくて……でもきっと、彼女たちは不幸せではないんだろうな。複雑。

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    2021年07月15日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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    途中で引用されているbad apple!!にこんな解釈もありか、と思った。
    久しぶりに聞きたくなった。
    祝福された真白が全ての存在を呪い、拒絶された揚羽が全ての存在を受け入れたのが印象的。
    最後に怒涛の超展開が続いて、消化不良を起こした。
    結局揚羽って生きてるの?死んだの?
    揚羽って何人もいるの?
    疑問ばかり増えたのが残念だった。
    麝香の存在もご都合主義の塊のようにしか感じなかった。
    エピローグの洋一って一巻の少年?
    今度こそ幸せにしてあげてほしい。
    そういえば一巻からここまでで八年たっていたのに今更気づいた。
    それから、毎回巻頭にあった百人の村の話が好きだった。

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    2017年02月19日
  • スワロウテイル序章/人工処女受胎

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    スワロウテイル前日譚。
    今は黒の五等級や末梢抗体と呼ばれるようになった揚羽にも普通の学生時代があったという話。
    全寮制のお嬢様系看護学校で学生生活を謳歌している揚羽と現在の揚羽の違いが辛い。
    まさか三十年前にあんなひどい実験が行われていたとは…。
    自治区も思ったより闇が深いのかもしれない。
    真白の為に存在を消された揚羽もある意味、犠牲者の一人なのかもしれない。後、
    天真爛漫でなんでも”お”をつける雪柳が可愛い。

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    2017年02月19日
  • スワロウテイル/幼形成熟の終わり

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    前回男性自治区側から追放されたはずの揚羽が何でいるのか疑問だったが、なるほど、その発想はなかった。
    でも、真白って寝たきりじゃなかったけ?
    なのにどうしてメスふるったりして暴れられるの?
    というかボクっ娘かわいい。
    顔が自らのアイデンティティになるのは人間も人工妖精も変わらなかった。
    個人的には椛子陛下の絵文字がツボだった。

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    2017年02月19日
  • スワロウテイル人工少女販売処

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    人工妖精と人間の世界になっても、極端な思想も差別も消えないのに、相手を想う気持ちも変わらないのが印象に残った。
    自分が生きている間にはそこまでの技術進歩は望めないが、この世界をぜひとも見てみたいと思った。
    陽介と揚羽のコンビをもっと見てみたい。
    一日ごとに記憶を失う水先案内人の存在は何か切ない。
    一日ごとに記憶を失う彼女たちが忘れたくないものを手に入れたら、それは悲劇なのかもしれない。

    ただ、性感染する病気を避けるために人工妖精を伴侶にするのなら、いつの日にか絶滅するような気がする。

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    2017年02月19日
  • θ 11番ホームの妖精 アクアリウムの人魚たち

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    ネタバレ

    「θ」シリーズの二作目で、目次の章番号も引き継いでいます。
    二章収録されていますが、両方とも印象に残る作品でした。

    「本と機雷とコンピューターの流儀」はコンピュータ上の電子戦に関連したお話です。
    情報系の人間としてはありふれた話題ですが、同時にとても面白いテーマです。
    θ世界の人工知能の「強さ」、「人間臭さ」を素敵に思います。

    「ツバクラメと幸せの王子様と夏の扉」の方は色々詰め込まれて語り尽くせませんが、
    やはりスワロウテイルシリーズとの関連が印象深いです。
    同一の世界線上ではなくともどこか通じている、
    そういった作者の想像が垣間見えて嬉しくなります。

    余談ですけど、静樹さんが将棋をやる

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    2016年11月20日
  • θ 11番ホームの妖精 鏡仕掛けの乙女たち

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    SFです。
    ファンタジーの要素も多少合わせ持っているかもしれません。

    電撃文庫版と比較して挿絵がない代わりに
    「蘭とパンダと盲目の妖精」が収録されています。
    こちらは電子書籍で刊行されていたようです。

    非常に面白く読めました。大好きな本のうちの一冊です。
    世界観としては、人工知能やアンドロイドといった技術が存在する、
    (SFとしては)比較的オーソドックスなものでした。
    生物の存在が希薄に描かれていますが、主人公であるT・Bが体験する出来事は
    「生」を強く実感するものです。
    ある種奇妙なそのバランスが、とても心地よく感じられました。

    個人的に好きな場面は西晒湖女史の演説。
    場面と合わせ、想

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    2016年11月20日
  • θ 11番ホームの妖精 アクアリウムの人魚たち

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    前作読んだのがだいぶ前で、設定的なところを忘れちまったので読み返さないと。スワロウテイル・シリーズとの接点が濃くなってきて面白かったです

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    2016年02月22日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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     人口自治区最大の危機と、揚羽たちの決断を描くスワロウテイルシリーズ最終巻。

     ハッピーエンド、バッドエンド、トゥルーエンド、そんなあらゆる終わり方の要素が詰め込まれたシリーズの終着点だったと思います。

     個性的な登場人物のやり取りや突飛な行動といったコメディ要素に鏡子の哲学談義と、前半部の雰囲気はこれまでのシリーズ通り、それだけに後半、今までのシリーズ通り、揚羽たちが過酷な運命に巻き込まれていくか、と思うと辛く、平和な前半パートで終わってほしい、と思わずにはいられなかった気がします。

     自分の顔を持った殺人人工妖精”麝香”を追う揚羽を描くAパート、
    自治区総督の暗殺によって騒乱に巻き込

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    2015年12月02日
  • スワロウテイル人工少女販売処

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    タイトルで損してる気がするなぁ。
    クオリア、人工知能、作られたものの幸せとはなにか。
    文体は独特だけれど、読みやすい。

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    2014年12月31日
  • スワロウテイル人工少女販売処

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     種のアポトーシスと呼ばれる性交によって感染する病を患った男女たちが暮らす男女別自治区。そこでは異性の代わりに人間を模して造られた、人工妖精(フィギュア)が人々と共に暮らしている。
    その自治区で連続殺人が発生。事件を追う人工妖精の揚羽は徐々に自治区をめぐる謀略に巻き込まれていく。

     練りに練られた複雑な世界観や設定の解説に加え、ラノベっぽい独特の言い回しやキャラクターたちの会話、小難しい言葉や思想で装飾された文章で書かれたこの作品は決して読みやすくはありません。
    自分自身も序盤は世界観をつかむのにも、文体に慣れるのにも苦労しました。

     話としてもスケールが大きく、いろいろな要素をこれでもか

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    2015年12月02日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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    全体として王道やテンプレに流されて陳腐になりかけている場面がちらほらある。
    結末のための物語展開ですべて予定調和のよう。
    トーンの違うパートが入り乱れていて没入できない。
    シリーズの中では作品としてのクオリティは下かもしれない。

    以上のように頭では「揚羽をめぐるシリーズ」最終巻に対する期待を超えられなかったと思っている。
    それなのに読み終わってから心動かされている。
    つまりは感動している。
    心に残る何かがある以上、自分にはホームラン。

    シリーズ全体の評価は最高。
    また最初から読み返したい。

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    2014年03月12日
  • スワロウテイル序章/人工処女受胎

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    これまでを読み、ここ359ページに到達したとき、私の中で清々しく何かが砕けた。『痛いから』そう、痛いんだ。痛かったんだ、ずっと。

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    2014年01月15日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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    とうとう終わってしまいました。大円団でしたね。
    みんながハッピーエンドでは無いけれど、エピローグ及びExtra Storyで1作目からのファンも納得がいったのでは。
    のっけから揚羽が3人出てきて混乱しました。且つ各段落が主人公毎にA,B,C,D,の符号が付いて符号毎に時系列で話が進行する仕掛け。
    伊坂幸太郎かと思いましたよ。
    懐かしの雪柳が出てきて小揚羽周辺は楽しそう。
    麝香も最後の最後で救われたし、一番可哀そうなのは真白かな。
    表紙がラノベ風なので随分損してると思います。確かに一部ラブコメ風だし一部すちゃらか描写は有りますが、堂々たるハードSFでした。
    この設定をいかして是非続編またはスピン

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    2013年12月06日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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    時系列も視点もいくつもあってなかなか簡単には読めませんでしたが、夢中になって引きこまれるほどのおもしろさがありました。
    色々書くとネタバレになりそうなんですが、この愚かしい人間を最後まで愛し続けてくれた揚羽に、感謝を捧げなければならないと思います。

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    2013年08月13日
  • スワロウテイル序章/人工処女受胎

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    時系列的には1巻の前にあたる、連作中篇集です。この巻単独でも楽しめるのではないでしょうか。
    テイストとしては、1巻や2巻よりもライトノベルに近い印象です。女学校が舞台だからですかね。とはいえ、内容の深みはむしろこの3巻のほうが上回っているようにも思います。
    ラストシーンは感動しました。この感動をより深く味わうには、やっぱり1巻と2巻も読んでおいたほうがよいのかも。

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    2013年08月12日
  • スワロウテイル/幼形成熟の終わり

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    一度読んだ記憶はあったんですが、買った記憶もあったんですが、4巻を買ったあとで2巻と3巻が見当たらないことに気づいて買い直し、ついでに読み返しました。
    SFなんでしょうけど、ミステリでもあり、ライトノベルのようでもあり、哲学や宗教にもよく触れるし、深みのある作品です(シリーズを通してそうなのです)。
    いつか家の中からひょっこり2巻が顔を出しても、私は笑って2冊とも本棚に納めることになると思います(笑

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    2013年08月12日
  • スワロウテイル/初夜の果実を接ぐもの

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    この物語を書き上げたことに敬意を表して★5つをつけます。
    とにかくボリューミーでした。複数の時間軸が平行で描かれる上、どの軸にも揚羽を名乗る人物がいるため、気を抜くと置いて行かれてしまう。長く続く哲学談義が読みどころでもありつらいところでもありですが、これがなければ薄っぺらな話にもなってしまう。
    エンディングは悪くないけど、ちょっと真白がかわいそうな気もします。

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    2013年08月09日