大寺義史のレビュー一覧
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11巻ではエリオハプトに出現したゼパルの迷宮を攻略する物語となっている。本筋はアールマカンとシャルルカン兄弟の王位継承問題に従って展開しているが、漫画としてみれば、本編では長らくご無沙汰となっている迷宮攻略が描かれている点がやはり肝要だろう。
そうした意味で言えば、精神に作用するゼパルとの対峙は、迷宮的な面白さを損なっている一面が否めない。せっかくの迷宮なのだから、きちんと迷宮としてのギミックを楽しみたかったが、ここではシンドバッド配下のキャラによる対戦が描かれた。これは別に、迷宮でなくとも描ける物語ではないかと思うのだ。
描写の質などは、これまでよりも高かった印象が残っているが、そうし -
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奴隷編を終え、建国のための国土を求めて暗黒大陸へと向かう一行を描いた十巻である。今回は、エジプトがモチーフだろうエリオハプトでの物語の序盤が収録されている。
あくまでスピンオフとして見れば、描かれている物語は前日譚として悪くはない。本編ではなかなかできない類のキャラの掘り下げを行い、本編の補足を行っていく。バルバッドの王子二人やアリババなど、在りし日の彼らの姿が確認できる意味で面白いのは面白い。
ただ、一方でこの物語そのものを単体で見ると、どうしても本編と比べてしまい、評価が下がってしまうところがある。たとえば前半部の奴隷から解放されたシンドバッドを皆が歓待するシーンなどは、次から次へと -
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シンドバッドが自分の過信からその身を奴隷にまで落としてしまった8巻である。
物語の体裁としては、これまでよりもだいぶ整っている印象がある。マーデルとの賭けに負けたことで苦境に陥るシンドバッドと、その背景で動く仲間たち。そこでのセレンディーネの心の氷解など、描くべきが描かれている。
とはいえ、この展開が望ましいかについては少し首をかしげるところはある。苦境から脱出する展開は定番ではあるが、どうしても自業自得の感がぬぐえない。そうした賭けをしないとならないところまで追い込んだ展開は見ごたえがあったのだが。
それに、これまでのシンドバッドの描かれ方を思えば、自信過剰への動きが急すぎるし、心が -
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今回はササン王国編とアルテミュラ王国編の冒頭を載せている。
ササン王国編については少し評価が難しい。このテンポの良さは好ましいところだが、それだけに先行きが予想されるミストラスに対する感情移入の度合いが相当薄いし、シンドバッドと騎士王の対決もかなり強引になっている。第六迷宮攻略の際も思ったが、シンドバッドの冒険は物語上かなり強引さが目立つ。これは言い換えれば、展開の妥当性を欠いているとも言い換えられる。
強引な手法、という点で第六迷宮はまだしも良かったのだけど、今回は強引かつ身も蓋もない恫喝外交であり、これはさすがにどうかなと。シンドバッドの強さは(最強の主人公を描く際に出てしまうような -
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5巻はレーム帝国での起業と、同時にバルバッド国王との邂逅編である。巻の終盤には本国に姫を攫いに行ったドラコーンの物語が描かれている。
全体的なテンポは良いが、紹介設立の辺りにギャグを絡めたのはちょっとどうなのだろうと思わなくもない。結構物語的には重要で、劇場での公演なども含めて彼の成り上がりがよく描かれているところなのだけど、まとめると紹介を設立して鼻高々のシンドバッドというシーンになってしまっている。いや、悪くはないのだが、うーん。
この辺のことも考えつつ、今回は星四つ。
物語は幅を広げ始めているが、これが物語をどう動かすのか注目したいところだ。