藤崎慎吾のレビュー一覧
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南極、深海、砂漠、地底、地球外といった辺境やそこに存在する生き物を通して、生物の不可思議さをめぐる旅を味わう本書。科学界のインディージョーンズこと長沼毅氏の辺境探索話を中心に、実際に、日本国内の各所を旅しながら、対談が進められるため、辺境の紀行文としても楽しむことができる。酸素とケイ素が多く、炭素が少ない地球で、我々人間を含む、炭素ベースの生物が多数の中、ケイ素をベースにした珪藻が2億年前に生まれ、現在地球で大繁栄している。生物の次のステージはケイ素ベースになることも考えられるとのこと。そういえば、最近身体にシリコンいれる人増えたよなあと変な関心をした 笑
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ネタバレあちこち話題飛びますが、長沼さん、ほんと面白い。
深海展のショップで見つけて思わず買いましたが、買って正解。
地下のほうが地上よりも生物量が多いとか、強力な放射線下でも耐えられる生物とか、ほんと知らない世界がこの1冊に詰まってました。
「非常に少ない例から大局的な考え方をつくっているけれど、多分、例をもっとたくさん集めれば違ったモデルができてくるはず。今はあまりにも例を知らなすぎる。」
制度設計、組織設計にも、言えるかもしれない。設計者があまりに例を知らなすぎる(勉強不足)だと、、、こういうとすぐに他社の事例なんて、真似したってという人がいるけど、真似するわけでもなく、よりよい適合するモデルを考えるためにも他社事例の収集、分析は重要でしょう。単に勉強してないことの言い訳にしか聞こえない。
あと、これは逆にリスク過敏、過剰反応しないように注意しないとなーと、長沼さんのように、かるーくテキトーい捉える余裕も持たないとなと思った。
「過去に前例のないものに対して、過剰な予防措置を講じるのも、あまり現実的じゃない」
ま、これは地下細菌の中に、病原菌が出る可能性についてのお話だけど。地下に放射性物質を貯蔵していく際の研究も行われているけど、そこで漏れでたときの影響で病原菌が発生してしまう確率とかの話。 -
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この前読んだ『サウスバウンド』が西表島を舞台としていたので、同じ八重山諸島繋がりで与那国島が舞台となる本書を読む。大学院で海洋・河口部環境学を専攻した著者の作品だけに、あの『日本沈没』を凌ぐハード海洋SFを期待して読み始めたのだが、なんかオカルトと言うか、スピリチュアルな出だしに戸惑う。ハズレかな?と思いながら読み続けると、なんと木星の衛星エウロパに話が飛ぶ。名作『2010年宇宙の旅』の世界だ。こちらの話は正に望み通りのガチ・ハードな内容。最後に出ました!与那国が世界に誇る謎の海底遺跡(地形?)。〈続く〉
西表島を舞台にした奥田英朗の『サウスバウンド』が思いの外良かったので、今度は同じ八重山諸島に属する与那国島が出てくるらしい本書を読むことにする。こちらは全4巻のSF巨編。二十一世紀版『日本沈没(小松左京)』とも呼ばれているらしい。
ゆなぐにぬなさぎ いくとばどなさぎ ぬてぬあるあいや とやいしやびら(どぅなんすんか)
与那国の情 言い交わした言葉が情 命ある間は たよりいたしませう (池間栄三訳) 2012年10月18日 -
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遠野ではなく、遠乃に迷い込んだ主人公である台湾帰りの人類学者・伊能嘉矩と佐々木君という、幽霊や妖が見える青年。遠乃から脱出する為、いろいろな手をつくしますが、さまざまな事件が起き、遠乃というマヨイガからなかなか脱出出来ません。遠乃では、いろいろな事が隠されている。主人公達が向かう先々で、遠野に伝わるむかしっこ(昔話)と似た悲しい事件が起こる。隠されているからといって、起こらないわけではない。遠乃は現代の大和民族の思いが固まって出来たマヨイガなのだそう。今日の続きの明日があり、明後日があり、来年があるとぼんやり過ごしていける毎日。そう。今の私たちの生活そのまま。でもぼんやり過ごす私たちの生活も、いつ災害に見舞われるかもしれず又、地球上には戦争や病気で常に危険にさらされている地域もある。今、目の前にある平和な日々が全てではない。たまには目を覚まして、周囲を確認する必要があるのかもしれない。
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ネタバレ宇宙の成り立ちを知るためには、地球からなるべく遠く離れたところを観測するのが効果的だ。光が有限速なので、離れれば離れるほど、そこで観測されるデータは過去のものとなる。今見える100億光年離れた天体の姿は、つまり、100億年前の姿なのだ。
生命起源の話もこれに近い。生命の起源を探るには、今の地上とかけはなれた環境に生息している生命を観察するのがいい。高温、低温、強酸、あるいは強い宇宙線にさらされているなど。
この本はそうした環境下の生物について、その環境に近い場所(あるいは施設)で科学ライターと科学者とが語るというユニークなもの。そしてこの科学者の語りが学識が裏打ちした床の上を見事に飛び、跳ね回るもの。真摯でいて、学問的な軽さにめくるめく一冊。
P.S.ここには触れられていないが、生物好きなFマリノス・ファンは、ぜひ横須賀市自然人文博物館に足を運んで欲しい。もう、わくわくだったよ。 -
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深海に現れた巨大な存在をめぐって、研究者や軍が動き出していく海洋SFです。
読んでいてまず惹かれたのは、深海そのものが持つ圧迫感でした。
未知の生物への好奇心と、“人間が触れてはいけないものを見ている感覚”が常に隣り合わせで、ページをめくるたびにじわじわと不穏さが増していきます。
巨大鯨という題材もロマンがありますが、それ以上に印象に残るのは、人間側の欲望や恐怖でした。
理解したいのに理解できない、その距離感がずっと気持ち悪くて面白いです。
科学描写や専門用語はかなりしっかりしているので、人によっては少し硬く感じる部分もあるかもしれません。
ただ、その理屈っぽさが逆に物語のリアリティを支えていて、“本当に深海のどこかにいそう”と思わされる瞬間がありました。
海をロマンとして見る感覚よりも、“底知れない場所”として見てしまうようになる、静かな怖さの残る一冊でした。 -
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ネタバレ生物学の中でも、「生」と「死」がどこからどこまでというのは意見が分かれているそうな。
まぁ、京極夏彦も「死体は暫く生きている」とか語っているし、さもありなん。
生物の起源を語りながら、問われるべき「では、どこからどこまでを生物と呼ぶのか」を示し続ける本作。
ただし、哲学的な論争であれば「生きているとは、個々や文化によって変わる」と語ってもいいけど、あくまで学問としてはどこかで線引きしないといけないかなぁ、とか思うな。
それが心停止であれ脳死であれ、(少なくとも学問は)明確な線引きをしなければ立ち行かない。数学の公理を疑っても仕方がないように、仮でも「生」と「死」を決めなければならない。 -
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ネタバレノスタルジック調のジュブナイルSF。70年代くらいに朝日ソノラマか集英社コバルト文庫にあったような連作短編集。
主人公は小さいころにかかった感染症の後遺症で足に障害をもった少年、久延丕彦。人見知りで友達は少なくいつも一人遊びをしているような彼がある日海辺で病院の看護婦(時代!)を見かけたことから不思議な物語が始まる…。
ノスタルジー+不思議噺、というと日本ではもう朱川湊人が第一人者だと思うのだが、一連の朱川作品よりはSF寄りで、ホラーっぽさは少ない。天狗も小鬼も光学迷彩を施してたりとか。そこが好みの分かれるところかな。
良くも悪くも大きなドラマはなく、感情の波がざわつくところは少ない。それでも静かなさざ波を聞いて落ち着けるような、意外と居心地の良い1冊だった。 -
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「生命」と呼ばれうるものを実際の生命の要素を用いずに化学的に合成することを目論む合成生物学の分野の概要を説明する啓蒙書です。言ってしまえばその分野の入門書に近いような本であると言ってもよい気がします。
本書は非専門家の著者が複数の合成生物学の専門家とのコミュニケーションを通じて学んだ情報を整理して提示するという体裁で書かれています。そのため、複数の専門家の誰に肩入れするでもなく第三者の視点から意見を紹介していたり、専門用語の説明が非常に丁寧だったり、初心者にも非常に読みやすい本になっていると感じました。おおむね中学理科+αくらいの知識がある人が読めば十分に理解できる内容だと思います。
しかしながら、多くの研究内容の説明が妙に人物本位になっていてしかも日本人研究者に限られていたり、通常の日本語で説明しても十分にわかりそうな内容に妙に長いたとえ話を付与していたり、合成生物学との関連があまりに薄そうな内容を意味もなくこじつけて関連付けたエッセイのようなものを掲載していたりと、純粋な入門書として読むにはあまりにノイズが多い本でもあると思います。学術的な内容の説明が非常に優れている(少なくとも私はそう感じる)だけにこのような文体になっていることは残念であると感じました。著者はかなり経験豊富なライターのようですので、おそらく科学関係の書籍を読みなれていない読者への優しさとしてこのような書き方を選んだのだと思いますが、ブルーバックスで概説書を読もうとする人には向いていなかったのかなと思います。