【感想・ネタバレ】遠乃物語のレビュー

あらすじ

明治三十九年。台湾原住民の査察を終え、郷里の遠野に戻っていた人類学者・伊能嘉矩は、天ヶ森の熊野神社で、マラリヤの発作を起こして倒れる。目をさました彼は、介抱してくれた佐々木喜善とともに、「遠乃」という、郷里とは似て非なる町に迷い込んでいることを知る──。『遠野物語』成立前夜の遠野を舞台に、奔放自在に奇想が展開され、読む者を幻視の世界に誘う。京極夏彦、東雅夫両氏推薦の傑作長編!

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Posted by ブクログ

遠野と似た「遠乃」に囚われた佐々木喜善と伊能嘉矩。そこは未生の黙されて語られぬ物語が現に立ち上がる場所であった。
閉じこめられた二人はそれに立ち会いながら、脱出を試みる。期限は一年。

柳田国男『遠野物語』の成立に関与した実在の二人を主人公に、『遠野物語』的世界を再構築した伝奇小説の傑作。
民話や妖怪、伝承好きな人にお勧めです。

私は大好きなので、この評価になりました。

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2012年08月24日

Posted by ブクログ

帯を東さんと京極先生が書かれてたので手に取ってみました。
「遠野」ならぬ「遠乃」に迷い込んだ伊能嘉矩と佐々木喜善。ううん。
藤崎さん初めて。SF作家さんなのですな。
どうやらこちらは新境地のようで、他の作品も読んでみたい。

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2013年12月26日

Posted by ブクログ

 遠野から「遠乃」へ迷い込んだ、台湾帰りの民俗学者と地元の学生。パラレルワールドで発生する様々な怪異は、現実世界の昔語りと呼応する。
 ホラーよりもSF色が強いが、不安定な世界観が発する違和感がじわじわと覆ってくるような感覚がお見事。

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2013年04月15日

Posted by ブクログ

遠野ではなく、遠乃に迷い込んだ主人公である台湾帰りの人類学者・伊能嘉矩と佐々木君という、幽霊や妖が見える青年。遠乃から脱出する為、いろいろな手をつくしますが、さまざまな事件が起き、遠乃というマヨイガからなかなか脱出出来ません。遠乃では、いろいろな事が隠されている。主人公達が向かう先々で、遠野に伝わるむかしっこ(昔話)と似た悲しい事件が起こる。隠されているからといって、起こらないわけではない。遠乃は現代の大和民族の思いが固まって出来たマヨイガなのだそう。今日の続きの明日があり、明後日があり、来年があるとぼんやり過ごしていける毎日。そう。今の私たちの生活そのまま。でもぼんやり過ごす私たちの生活も、いつ災害に見舞われるかもしれず又、地球上には戦争や病気で常に危険にさらされている地域もある。今、目の前にある平和な日々が全てではない。たまには目を覚まして、周囲を確認する必要があるのかもしれない。

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2017年10月16日

Posted by ブクログ

遠野の乃の字が違ってるけど、その違いがこの物語の全てといってもいいかもしれない。
怪しげな世界が共存しているのでなく、重なって存在しているという大好きな設定で楽しめました。日本の近世の伝奇というと遠野ですねぇ

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2013年03月11日

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