あらすじ
海にも山にも近く自然に恵まれた風待町。この町の小学五年生・久延丕彦は、たいてい一人で遊んでいた。左足が不自由なため、少し臆してしまうのだ。ある日、砂浜の漂着物から宝物を探していた丕彦は、水平線の向こうに太陽の雫が落ちていくのを目撃する。誰にも言えない、異星人との交流は、その日から始まった――。小さな港町にある病院を訪れる異星からの旅人との顛末を、少年の視線で色彩豊かに描いたノスタルジックSF。
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Posted by ブクログ
ノスタルジック調のジュブナイルSF。70年代くらいに朝日ソノラマか集英社コバルト文庫にあったような連作短編集。
主人公は小さいころにかかった感染症の後遺症で足に障害をもった少年、久延丕彦。人見知りで友達は少なくいつも一人遊びをしているような彼がある日海辺で病院の看護婦(時代!)を見かけたことから不思議な物語が始まる…。
ノスタルジー+不思議噺、というと日本ではもう朱川湊人が第一人者だと思うのだが、一連の朱川作品よりはSF寄りで、ホラーっぽさは少ない。天狗も小鬼も光学迷彩を施してたりとか。そこが好みの分かれるところかな。
良くも悪くも大きなドラマはなく、感情の波がざわつくところは少ない。それでも静かなさざ波を聞いて落ち着けるような、意外と居心地の良い1冊だった。
Posted by ブクログ
主人公は小学生の少年・丕彦(モトヒコ)。脚が悪いので一緒に遊ぶ友だちがおらずいつも一人で遊んでいる丕彦は、謎のスライムを触ったことから異星人科の医者と関わりを持つようになる。児童書っぽいのに、出てくる異星人たちの描写が妙にリアルで気持ち悪く、そこが面白い。私と同じ名前の女性も登場していて嬉しかった。(弟のような異星人と遊ぶ話・猫神の壁を通り抜けた先の陽炎街の話・スザクのさえずりと引きこもりのお兄さんの話・胎児の脳を移植した異星人の話・800年間子どもを探していた木の話。)
Posted by ブクログ
連作短編5編
昔から異星人が地球に来ていたという設定は面白く,異星人の様子も人間からかけ離れているところがいい.小学生の足の悪い男の子が,異星人に温かい気持ちで向かい合って,どんな風に成長していくか楽しみな展開である.