野崎昭弘のレビュー一覧
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パズルや頭の体操的な問題から入り、数学的・論理的な考え方を対話式で分かりやすく解説する。
とは言え、中盤辺りからはガチ数学の問題が多くなりだんだんついていけなくなるw。
数学的な問題だけでなく、「鏡を見たときの上下左右」や「おじいちゃんと孫が同じ人」といったちょっと楽しい問題も。これらを考えるには、「当たり前」がなぜそうなっているのかを改めて深く考えてみる力や、設問の言葉の意味を掘り下げてみる必要が出てくる。
数学的なセンスがある人は論理的な考え方を瞬時にできる人、というイメージがある。人の思考回路は理系か文系かで大きく分けることができそうだ。 -
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長らく積読としていた新書。タイトルから読まなければと思い買った記憶。
タイトル通り、P≠NP問題を解説してくれる新書で、そのためにコンピュータとは何か、といった前提から入ってくる。私はその構成が読みやすく、入り込みやすいと感じたが、他の人の感想を見ると評判が悪いようだ。
また、本題に入るあたりも、「急に話題が変わったように感じる」という意見が多い。私は大学でじっくりコンピュータサイエンスを学んでいるからか、何も違和感は感じなかった。逆に大学レベルの学問を一般に伝えるのは難しいのだと感じることができた。
個人的には復習も兼ねて、非常に理解できたが… -
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新書の古典の改訂版。
わけのわからない人に「言い負かされる」たり「ケムに巻かれたり」することが多いのは、強弁と詭弁への対策が不十分だから、とのことで、まずは強弁詭弁の例を身近な例えで説明、その正体とその成り立ちを歴史を追って説明。その対策に軽く触れて、最後に練習問題と、「改訂版」と言いつつややノスタルジーを感じる内容ではあったものの、なかなか楽しめた。
ただ現在(2018)では、もっとわかりやすい本はあるだろう。「主張のすり替え」「おかしやすい推論上の誤り」なんかはヒューリティクスで検索した方が早いしわかりやすい気もしないでもない。
ただ「変わってないなあ」と人の変わらなさを感じつつ読むのに -
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ネタバレ評価
人喰いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど,論理パズルの古典を題材に論理のあそびについて書かれた一冊。論理を知ることで強弁や詭弁に打ち勝つことを目的としている。
細かい記述,小話の一つ一つは面白い。更に,強弁術や詭弁術の総括があって,一応,強弁や詭弁とは何か…という点と,強弁や詭弁に騙されないようにするには,どうすればよいか…という点が書かれている。しかし,それでも,強弁とは何か,詭弁とは何かが分かりにくい。強弁の一例,詭弁の一例が紹介されているに過ぎないように感じてしまう。
論理パズルとしては,古典ばかり紹介されている。ほとんど聞いたことがあるパズルばかりだった。知らなか -
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ネタバレどうして数学を学ばなければいけないのか。その経緯を人類史から問い直し、数学の本質を明らかにし、その面白さを体験してもらう。画期的に欲張りな数学の入門書。
p.186
1.大事なのは知識ではなくて、考える力である。
2.考えるのは楽しいし、わかればうれしい。
3.数学を学ぶことは、人間が陥りやすい「直感の誤り」を防ぐのに役立つ。
数学は嫌いという大人は多い。できる・できないがはっきりわかるので、少しでもわからなくなると嫌いになってしまう。また、個人差も大きい。日常生活には小学校4年生までくらいの算数で間に合うのに、高校までにかなりのレベルまで学ばなければならない。しかし、それにはちゃんと理由 -
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受験数学と高等数学のギャップを越えられず、大学での数学に挫折。
仕事は企業の情報システム部で、IT系といっても数学なんてほぼいらない。
しかしキャリアアップを考えるほど、あの時ちゃんとやっていたら…と後悔も多い。
離散数学は、コンピュータの考え方のベースになっていて、
しかも本書は、高校生でも分かる「順列・組み合わせ」からスタートしている。
「数え上げ理論」というと難しそうだが、要は「順列・組み合わせ」を一歩進めて、
いろいろな数え方について定式化して、一般的な原理を発見する試み。
おみやげの配り方のような日常で起こるパターンの数を、最初は力技で数えさせ、
その大変さを体験した後で、一つの公 -
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ネタバレミッション・スクールという言葉がいかに羨望、憧憬を感じさせてきたか。漱石「三四郎」の美禰子、藤村「桜の実の熟する時」の勝子、蘆花「黒い眼と茶色の目」の寿代、花袋「蒲団」の芳子、そして戦後では石坂洋次郎「若い人」の江波恵子などがその系譜になります。美禰子のモデルが後の平塚雷鳥で、実は禅宗に傾倒していったとのこと。キリスト教的な雰囲気を出すことによって田舎から出てきた明治期青年の「西洋」「リベラル・アーツ」に対する憧憬を象徴したということは納得がいきます。それは「蒲団」においてもそうだとのこと。しかし、明治中期の内村たちへのキリスト教への迫害がミッション・スクールにとっての逆境の時代でもあったとの