野崎昭弘のレビュー一覧
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強弁・詭弁の分析、これらとの付き合い方、また、いくつかの論理パズルについて触れた本。改版前の初版は1976年の刊。昔から書店の棚で見かけていて、興味がないわけではないが何故か買わないまま「改版」を機に何年か前に買い、それがまた積読状態になっていたもの。「思考実験大全」(岡本裕一朗/イースト・プレス/2025)を読んだ後にその類書として手を出してみたら、(題名の語感のカタさに反して)なんとまあスルスル読めた。今までぐずぐずと積読にしていたのは何だったのだろう?
本書に紹介された論理パズルのうち、読んでいてどうにもよく解らなかったのが、「四十人の貴族とその従者」。本書では貴族が1人だったとき、2人のとき、3人のときの、その時々の貴族の思考を見せ、以降は“数学的帰納法”でもって同様としているが、貴族が4人のときの貴族の考え方が「同様」としてイメージできなかった。これは、貴族の人数を変えるのでなく、悪い従者が1人のとき、2人のとき、3人のとき…の数学的帰納法で検討・整理すべきではなかったか。(どちらにしても論理的には同じことなのかも知れないが) -
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パズルや頭の体操的な問題から入り、数学的・論理的な考え方を対話式で分かりやすく解説する。
とは言え、中盤辺りからはガチ数学の問題が多くなりだんだんついていけなくなるw。
数学的な問題だけでなく、「鏡を見たときの上下左右」や「おじいちゃんと孫が同じ人」といったちょっと楽しい問題も。これらを考えるには、「当たり前」がなぜそうなっているのかを改めて深く考えてみる力や、設問の言葉の意味を掘り下げてみる必要が出てくる。
数学的なセンスがある人は論理的な考え方を瞬時にできる人、というイメージがある。人の思考回路は理系か文系かで大きく分けることができそうだ。 -
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長らく積読としていた新書。タイトルから読まなければと思い買った記憶。
タイトル通り、P≠NP問題を解説してくれる新書で、そのためにコンピュータとは何か、といった前提から入ってくる。私はその構成が読みやすく、入り込みやすいと感じたが、他の人の感想を見ると評判が悪いようだ。
また、本題に入るあたりも、「急に話題が変わったように感じる」という意見が多い。私は大学でじっくりコンピュータサイエンスを学んでいるからか、何も違和感は感じなかった。逆に大学レベルの学問を一般に伝えるのは難しいのだと感じることができた。
個人的には復習も兼ねて、非常に理解できたが… -
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新書の古典の改訂版。
わけのわからない人に「言い負かされる」たり「ケムに巻かれたり」することが多いのは、強弁と詭弁への対策が不十分だから、とのことで、まずは強弁詭弁の例を身近な例えで説明、その正体とその成り立ちを歴史を追って説明。その対策に軽く触れて、最後に練習問題と、「改訂版」と言いつつややノスタルジーを感じる内容ではあったものの、なかなか楽しめた。
ただ現在(2018)では、もっとわかりやすい本はあるだろう。「主張のすり替え」「おかしやすい推論上の誤り」なんかはヒューリティクスで検索した方が早いしわかりやすい気もしないでもない。
ただ「変わってないなあ」と人の変わらなさを感じつつ読むのにちょうど良いし、変わらないのであれば(わかりやすさは別として)1冊読んでみて知識として身につけてしまうのも良いかと思った。 -
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ネタバレ評価
人喰いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど,論理パズルの古典を題材に論理のあそびについて書かれた一冊。論理を知ることで強弁や詭弁に打ち勝つことを目的としている。
細かい記述,小話の一つ一つは面白い。更に,強弁術や詭弁術の総括があって,一応,強弁や詭弁とは何か…という点と,強弁や詭弁に騙されないようにするには,どうすればよいか…という点が書かれている。しかし,それでも,強弁とは何か,詭弁とは何かが分かりにくい。強弁の一例,詭弁の一例が紹介されているに過ぎないように感じてしまう。
論理パズルとしては,古典ばかり紹介されている。ほとんど聞いたことがあるパズルばかりだった。知らなかったのは床屋のパラドックスくらい。
面白くない本ではないのだが,傑作というほどとは感じなかった。「名著刷新!」というオビで期待しすぎてしまったかも
論理について体系的な知識を得たいと思って読んだが,断片的な知識が増えたというイメージ。思いついたままに記述されていると感じた点もマイナス。体系的に頭に入らなかった。
パズル部分と,その解説,それから結論という構成なら印象が変わったかもしれない。
トータルでの評価は★3かな。
メモ
1 議論の種々相
強弁と詭弁の違いと3問の論理パズルの紹介
2 強弁術
小児病患者。自己矛盾に陥っても,常に相手を押さえつけようとする。妥協ということを知らない。
魔女狩りを使った「二分法」の解説。「相殺法」
強弁術→相手の言うことを聞かない,自分の主張に自信を持っている、逆らうものは悪魔(レッテル),自分のいいたいことを繰り返す,おどし,泣き又はしゃべりまくる
3 詭弁術
「本質的な」という言葉は,「おれがいいたい」と同義
詭弁術→定義をあいまいにして,結論を簡潔に,関係ないことを長々と述べる。
論点のすり替え,主張の言いかえ,消去法,ドミノ理論といった詭弁の手法の紹介がされている。
正しい議論のための原則は次の4つ。
1 無理やり説得しようとしない
2 時間を惜しまない。打ち切ることを惜しまない
ただし,相手が強弁,詭弁を弄してきたら,もはや正しい議論は望めないので打ち切る。
3 結論の吟味を忘れない
健全な常識に反する結論は捨てる。健全な常識に反する結論に対しては,「あなたの考え方には,ついていけません」という反論で十分
4 分からないことを恥じない。
論理の飛躍や二分法に騙されないために,「わかった」ところまで戻って議論をする。
4 論理のあそび
論理パズルの紹介。個室が12個。客は13人。そこで,最初の部屋に1人目と13人目を入れる。それから3人目を2号室に入れ,…12人目を11号室に入れる。最初に1号室に入れたうちの1人12号室に入れるというもの。
これは2人目を飛ばしているというトリック。
AにB,C,Dの3人が1000円ずつ渡して3000円のものを買ってもらう。Aは500円値切って買って,200着服した。B,C,Dは100円ずつ返してもらった。B,C,Dは900円ずつ払っていたので2700円の出費。Aは200円着服した。これをたすと2900円。100円はどこに消えた?
Aが着服した200円は2700円の一部なので,200円を2700円に足しても意味がない。
分かれ道がある。一つの道は天国に,一つの道は地獄に続いている。そこには二人の人物AとBが立っている。このどちらかは必ず嘘をつき,どちらかは必ず本当のことを言う。質問は1回しかできない。天国に行くにはどんな質問をすればよいか。
答えは,「あなたは,「この道が天国に行く道ですか」と聞かれたら「はい」と答えますか」
自己矛盾を利用したパラドックス。自分自身に言及する分は,パラドックスを生じさせるか,意味をなさないものになる。「この鍵かっこの中に書いてあることはウソです」は矛盾する。と「この鍵かっこの中に書いてあることは本当です」は意味をなさない。
40人の貴族とその従者の話。40人の貴族がそれぞれ1人の従者と暮らす。従者は悪いことをしている。どの貴族も,ほかの貴族の従者が悪者であることは知っているが,自分の従者が悪者であることはしらない。王様から,「少なくとも一人は従者の中に悪者がいる。40日目までに,自分の従者が悪者であると分かった貴族は,直ちに従者の首をはねよ」と命令した。命令に背くと貴族の首をはねるという。40日目に,貴族は,39日間,どの従者も死んでいないという事実を知った。一斉に従者の首がはねられたというもの
2人の貴族であると仮定すれば,1日目に他方の貴族が従者の首を切らなかったという事実をしれば,次の日の朝に首を切れる。3人なら3日目の朝。同様に40人なら40日目の朝になる。
理髪師のパラドックス。ABCが働いている床屋。AとBは同時に外出しなければならない。三人がそろって外出してはならない。Cが外出すると,AとBは一緒に外出できないし,AとBは同時に外出してはならない。よって,二つが矛盾する。矛盾する結論になるので,前提となるCが外出するが間違っている。したがって,Cは外出できないというパラドックス。
原因は,大切な前提が省略されている点にある。Aが外出するときは,Bが残らなければならないというのは,Cが外出する場合の話である。また,Bが残らなければならないのは,AとCが同時に外出するときの話である。
死刑囚のパラドックス。「Aを今週の土曜日から来週の金曜日の夕方までに処刑しなければならない。しかし,若者が,当日の朝に「今日は殺される」と分かってしまう日には殺してはならない」という命令があるとする。この命令を守ることはできないというパラドックス
言葉と自己矛盾の問題。前提に矛盾を含むので,パラドックスが生じている。すなわち,「今日殺されると分かる日には殺してはならない」という命令そのものを条件として,今日殺されるということが分かってしまうので,パラドックスが生じているのだ。 -
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ネタバレどうして数学を学ばなければいけないのか。その経緯を人類史から問い直し、数学の本質を明らかにし、その面白さを体験してもらう。画期的に欲張りな数学の入門書。
p.186
1.大事なのは知識ではなくて、考える力である。
2.考えるのは楽しいし、わかればうれしい。
3.数学を学ぶことは、人間が陥りやすい「直感の誤り」を防ぐのに役立つ。
数学は嫌いという大人は多い。できる・できないがはっきりわかるので、少しでもわからなくなると嫌いになってしまう。また、個人差も大きい。日常生活には小学校4年生までくらいの算数で間に合うのに、高校までにかなりのレベルまで学ばなければならない。しかし、それにはちゃんと理由がある。というので本書を読んでみた。
第1部では、エジプト、バビロニア、ギリシャの古代文明ではどんな数学が誕生し発展したのかが説明されている。そして、現代の科学技術はもちろん、経済学にも数学が使われている。国家として国民の「数学のレベル」をある程度高めておかないと、現在の生活水準の維持が難しいのだという。また、個人にとっては、急いで結論を出したり直感的な判断に頼らず、しっかり考える力を養うことが必要なのである。
第2部では、「考える楽しさ」「わかるうれしさ」が具体的な問題を通して解説される。その中に「リボ払いの恐ろしさ」というのがある。無理なく返済できそうに見えるが、返せるお金も返さないことによって利息がふくらむので、カード会社にとって儲かる方法なのである。数学が賢い生活に役立つ1例である。
■目次
数学嫌いはなぜ多い?
第1部 数学とは、なにものか―数学の歴史(人類の曙
エジプトと数学
バビロニアと数学
ギリシャと数学
現代と数学
日本人と数学)
第2部 数学と、どうつきあうか―数学の面白さと効用について(できたよろこび、わかるうれしさ
適切な表現で「わかる」ようになる
論理的に考える
手を動かすのはよいこと
数学はしっかり使えば役に立つ)
数学者は頭がわるい -
Posted by ブクログ
受験数学と高等数学のギャップを越えられず、大学での数学に挫折。
仕事は企業の情報システム部で、IT系といっても数学なんてほぼいらない。
しかしキャリアアップを考えるほど、あの時ちゃんとやっていたら…と後悔も多い。
離散数学は、コンピュータの考え方のベースになっていて、
しかも本書は、高校生でも分かる「順列・組み合わせ」からスタートしている。
「数え上げ理論」というと難しそうだが、要は「順列・組み合わせ」を一歩進めて、
いろいろな数え方について定式化して、一般的な原理を発見する試み。
おみやげの配り方のような日常で起こるパターンの数を、最初は力技で数えさせ、
その大変さを体験した後で、一つの公式を導き出してくれるのは非常に気持ち良い。
徐々に高度になるのかと期待していたが、最後まで高校の延長で、少し物足りないが、
頭のリフレッシュには非常に良かった。
大学で数学に挫折した人はもちろん、大学で数学をやっていた人でも
頭の体操に楽しめると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミッション・スクールという言葉がいかに羨望、憧憬を感じさせてきたか。漱石「三四郎」の美禰子、藤村「桜の実の熟する時」の勝子、蘆花「黒い眼と茶色の目」の寿代、花袋「蒲団」の芳子、そして戦後では石坂洋次郎「若い人」の江波恵子などがその系譜になります。美禰子のモデルが後の平塚雷鳥で、実は禅宗に傾倒していったとのこと。キリスト教的な雰囲気を出すことによって田舎から出てきた明治期青年の「西洋」「リベラル・アーツ」に対する憧憬を象徴したということは納得がいきます。それは「蒲団」においてもそうだとのこと。しかし、明治中期の内村たちへのキリスト教への迫害がミッション・スクールにとっての逆境の時代でもあったとのことは初めて知りました。制服を着た「ファム・ファタル」という言葉も初めて知りました。運命の女(フランス語)の意味だそうで、男をその性的魅力で惹きつけ、破滅させるような女とは確かにこれらの小説の女性たちのイメージです。そして戦後の双葉・聖心女子大出身の美智子妃のミッチー・ブーム、田園調布双葉出身の雅子妃らの皇室へ嫁ぐという「やんごとなき」イメージへ。雅子妃の時にはそんなにブームにならなかったのが、あまりにも優秀で完璧な女性過ぎたということが、皮肉でありながら、確かにそうだと思わざるを得ないのも、あの小説のヒロインたちを覚えているからでしょう。京都女子大を舞台にした「女の園」の暗さを引き合いに出しているのには笑えました。女子中・高ばかりを書いているわけではないのですが、文学の世界などに書き及ぶ中では著者自身も女の子に偏らざるを得なかったように思います。