【感想・ネタバレ】詭弁論理学 改版のレビュー

あらすじ

知的な観察によって、人を悩ます強弁・詭弁の正体を見やぶろう。言い負かし術には強くならなくとも、そこから議論を楽しむ「ゆとり」が生まれる。人食いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど、論理パズルの名品を題材に、論理のあそびをじっくり味わおう。それは、詭弁術に立ち向かうための頭の訓練にもなる。ギリシャの哲人からルイス・キャロルまでが登場する、愉快な論理学の本。「鏡と左右」問題の付録つき。

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180 自己言及のパラドックス
「この文に書いてあることは嘘です」または「この文に書いてあることは本当です」
の文は、文章内容(命題)を正しいと判断しても、嘘だと疑ってみても真偽が決定できない。真と偽の両方が成り立ってしまうので、矛盾律に違反している。文法的には正しくても、論理的には意味を成さない。すなわち真理値分析するに値しない。

198 予言のパラドックス、自己言及のパラドックス
論理値分析(真を1、偽を0で表すこと)をすると分かりやすい

210 鏡に映った人の上下は逆にならないのに、左右が逆になるのはなぜか?

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2025年11月13日

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大学生の頃に、この本と出会ったが、なぜか読まずに何年も過ぎ去ってしまった。

SNSの発達により、さまざまな人が議論に触れる頻度が多くなっている。その中で、「それは論理の飛躍だ」「論点のすり替えだ」と言ったような意見が出た際に、何が「飛躍」や「すり替え」なのか分からず置いてけぼりにされることもあるだろう。そんな方におすすめしたいのがこの本である。

相手をうまく誤魔化す詭弁や、声を大にして叫ぶような強弁は、どういった種類があるのか。これらを冷静に分析し、解説している点において、まさしくタイトル通り詭弁論理「学」だと思った。

特に良かったのは、「話す側」の論理、すなわちロジカルシンキングや論理的な話し方だけでなく、「話を聞く側」にも言及している点。
どれだけ筋道立てて話そうとしても、聞かない人がいて、そうしたときは、相手に話させ「つまづきの石を探す」ことが大事だ、と筆者は説く。
正しいことを言えば、相手も納得するだろうと思ってしまうが、相手にも考えがあることは忘れてはいけない。

また、第4章にある、「ワニのパラドックス」が実際に呼び鈴として使われていると、イラスト付きで書いてある箇所は、それまで論理パズルで頭がガチガチになっていたので、拍子抜けして笑ってしまった。

詭弁や強弁は、なくなることはないだろう。著者も述べていたが、使う際は、身近な人や自分の中での言葉遊びに留めたいものだ。

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2019年08月17日

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二分法や論点のすり替えなどいろんなロジックがあるんだなと思った
論理パズルが多い。
詭弁でゴリ押してくる人をどうするかは現在でも変わっていない。
ひたすら自分の言いたいことを繰り返す「小児型の強弁」の原因はなるほどと思った。
自分の意見が間違っているかもしれないなどと、考えたことがない。
他人の気持ちが分からない。
他人への迷惑を考えない
世間の常識など眼中にない
自分が前に言ったことさえ忘れてしまう。
自信が強すぎる
好き嫌いの感情が強すぎる
他人に対してきわめて無神経である
ツイッターでよく見かけると思った。

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2017年09月05日

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議論を交わす中で手段として使う場面が多い強弁術と詭弁術の詳細を細かに解説した本だが、読みながら次第に壺にはまってしまう感じで何度も読み返す場面が頻出だった.付録の「鏡をめぐっての会話」が理解しやすい感じだが、意外に奥が深い内容に感心した.全般的にあまり読みこなせない感じだったが、このような世界があることを知ったことである程度満足したと思いたい.

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2025年07月25日

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詭弁論理の前に論理学の基礎的な内容も含まれていて、普段の自分の主張の論理の組み立てにも役立てられそうだった。そして、自分の論理が詭弁になってしまうリスクも普通にありそうで、気をつけないといけないなあと感じた。そうならないために、できるだけシンプルに考えること、そして論理の型を理解して理屈を組み立てるのが大事だなぁと感じた。にしても、メディアは詭弁に溢れているなぁ、その前提で触れないといけないなぁと思った。

フレーズ

なまじ「議論上手」になって人に嫌われるよりは、天分を生かして「話上手」になるか、あるいは「勝てなくてもよい」という前提で議論を楽しむ「ゆとり」を身につけたほうが、はるかに好ましいのではないかと思う。


無学者、論に負けず」

理屈ぬきの「押しの一手」は、「強弁」と呼ぶべきであろう。これに対して、多少とも論理や常識をふまえて「相手を丸めこむ(あるいはごまかす)」のが「詭弁」である。

泣く子と地頭には勝てぬ」

「大きく構える」ということは、「自分のほうがまちがっているのかもしれない」という謙虚さをもつことでもある。

すぐ偉い人の名前が出てくるような話は、まず信用できないものである

ある。「選言」とは、「または」による場合分けのことである

「健全な常識、健全な判断力を養う」ことが大切ではないかと思う。いかに力強い言葉で説得されようと、「だから、官憲も婦女子も、無差別に殺せ」というのが結論であれば、断然はねつけるだけの理性は残さなければならない。「あなたの考え方には、ついていけません」反論はこれで十分である。

言葉の意味に注意するのも大切なことである。特に「本質的」とか「純粋の」などという形容詞が使われはじめると、言葉の本来の意味が消えうせて、ほしいままに使われるおそれがある。

【原則 1】無理やり説得しようとするな。  無理を通そうとしたり、思いつきを口にしたりすると、かえって失言をして、議論がもつれることがある。また、いかに「当り前」と思えることでも、好き嫌いや人生観が関係するようなことについては、相手の趣味や判断を尊重しなければならない。もちろん、自分の考えにも(健全な常識に反するところがない限り)自信をもって、たやすく譲る必要はない。

ムダに時間を費やすことはない。相手が強弁・詭弁を弄してきたら、もはや正しい議論は望めないので、惜しまず議論を打ち切ればよい。

相手に自分の考えをうまく表現させることこそ、教育者の腕の見せどころである。

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2024年08月25日

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痛快です!真面目な論理学の本だと思って読むより、
「専門書の顔をしたチャンバラ」
だと思って読む方が良いです。
詭弁や強弁を振り回すタイプの人をズバズバと切ってくれます。
話の通じない人に困らされている方におすすめします。

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2021年10月30日

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詭弁についての本かと思いきや後半はゴリゴリの論理パズルで、いい意味で裏切られた印象。
著者もいうように、指南書として読むのではなく、学術的な観点からの詭弁を知るにはピッタリ。

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2021年04月29日

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詭弁…人生において何回これを弄する人間に煮え湯を飲まされてきただろう。

言い返すこと、論破することは解決にならない。

詭弁を弄する人間とは、距離を取り、その人間性を観察することで、見えてくるものもあるはずです。

そう思えるようになり始めた方に、とても面白い本に仕上がっています。

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2018年10月12日

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ネタバレ

昔の本ですが、学問としては楽しく読めます。
40人の従者の問題は、理屈では正しいとわかるけど、では実際にそうできるかというと絶対無理ですね。

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2018年07月11日

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論理学を一から勉強したくなった。
パズルを解いていくようで、ゆっくりゆっくり読まないと理解できない。熟読必須の一冊です。

#読書 #読書記録 #読書倶楽部
#詭弁論理学
#野崎昭弘
#2017年41冊目
#中公新書

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2017年10月12日

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世に蔓延る強弁や詭弁に惑わされないための論理学。
といっても、論理クイズなどが用いながらの軽妙な語り口なので、全く堅苦くなく、気軽に読める。

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2017年06月04日

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書店で押されており古本屋で購入す。初版はだいぶ前の本だが内容自体は古びていない。一見正しそうだけど…という屁理屈。例えによく出てくる寅さんだけど本書を読むと口八丁の仕事を生業としてあるだけあると妙な感心をしてしまった。

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2025年09月20日

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導入部分は勉強になったことが多かったが、後半になるにつれ、ついていけなくなってしまった。
私は論理学を学んだことはないので、本書がどういった立ち位置なのかはわからない。唯一判然としているのは、私の頭には論理の欠片もないことだ。

「論理学ほど文系の皮を被った理系科目はない」とゲーテが言っていた通りであった。

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2023年12月02日

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論理パズルが載っているし、文体も固くないので気軽に読める。本書の例に当てはまる強弁と詭弁の使い手は、クレイマーやネットで誹謗中傷ばかりしている人だと思った。中世の魔女狩りで実際に使われた、魔女を特定するためのガイドラインが載っているのだが、内容が無茶苦茶で思わず笑ってしまった。被害者が魔女だと認めず、拷問に最後まで屈しなかったとしても、「魔女だから拷問に耐えられるんだ!」と言われ、処刑されたらしい。可愛そうすぎる。。

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2019年07月20日

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新書の古典の改訂版。
わけのわからない人に「言い負かされる」たり「ケムに巻かれたり」することが多いのは、強弁と詭弁への対策が不十分だから、とのことで、まずは強弁詭弁の例を身近な例えで説明、その正体とその成り立ちを歴史を追って説明。その対策に軽く触れて、最後に練習問題と、「改訂版」と言いつつややノスタルジーを感じる内容ではあったものの、なかなか楽しめた。

ただ現在(2018)では、もっとわかりやすい本はあるだろう。「主張のすり替え」「おかしやすい推論上の誤り」なんかはヒューリティクスで検索した方が早いしわかりやすい気もしないでもない。
ただ「変わってないなあ」と人の変わらなさを感じつつ読むのにちょうど良いし、変わらないのであれば(わかりやすさは別として)1冊読んでみて知識として身につけてしまうのも良いかと思った。

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2018年01月16日

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ネタバレ

評価
 人喰いワニのパラドックスや死刑囚のパラドックスなど,論理パズルの古典を題材に論理のあそびについて書かれた一冊。論理を知ることで強弁や詭弁に打ち勝つことを目的としている。
 細かい記述,小話の一つ一つは面白い。更に,強弁術や詭弁術の総括があって,一応,強弁や詭弁とは何か…という点と,強弁や詭弁に騙されないようにするには,どうすればよいか…という点が書かれている。しかし,それでも,強弁とは何か,詭弁とは何かが分かりにくい。強弁の一例,詭弁の一例が紹介されているに過ぎないように感じてしまう。
 論理パズルとしては,古典ばかり紹介されている。ほとんど聞いたことがあるパズルばかりだった。知らなかったのは床屋のパラドックスくらい。
 面白くない本ではないのだが,傑作というほどとは感じなかった。「名著刷新!」というオビで期待しすぎてしまったかも
 論理について体系的な知識を得たいと思って読んだが,断片的な知識が増えたというイメージ。思いついたままに記述されていると感じた点もマイナス。体系的に頭に入らなかった。
 パズル部分と,その解説,それから結論という構成なら印象が変わったかもしれない。
 トータルでの評価は★3かな。

メモ
1 議論の種々相
 強弁と詭弁の違いと3問の論理パズルの紹介

2 強弁術
 小児病患者。自己矛盾に陥っても,常に相手を押さえつけようとする。妥協ということを知らない。
 魔女狩りを使った「二分法」の解説。「相殺法」
 強弁術→相手の言うことを聞かない,自分の主張に自信を持っている、逆らうものは悪魔(レッテル),自分のいいたいことを繰り返す,おどし,泣き又はしゃべりまくる

3 詭弁術
 「本質的な」という言葉は,「おれがいいたい」と同義
 詭弁術→定義をあいまいにして,結論を簡潔に,関係ないことを長々と述べる。
 論点のすり替え,主張の言いかえ,消去法,ドミノ理論といった詭弁の手法の紹介がされている。
 正しい議論のための原則は次の4つ。 
1 無理やり説得しようとしない
2 時間を惜しまない。打ち切ることを惜しまない
 ただし,相手が強弁,詭弁を弄してきたら,もはや正しい議論は望めないので打ち切る。
3 結論の吟味を忘れない
 健全な常識に反する結論は捨てる。健全な常識に反する結論に対しては,「あなたの考え方には,ついていけません」という反論で十分
4 分からないことを恥じない。
 論理の飛躍や二分法に騙されないために,「わかった」ところまで戻って議論をする。

4 論理のあそび
 論理パズルの紹介。個室が12個。客は13人。そこで,最初の部屋に1人目と13人目を入れる。それから3人目を2号室に入れ,…12人目を11号室に入れる。最初に1号室に入れたうちの1人12号室に入れるというもの。
 これは2人目を飛ばしているというトリック。
 AにB,C,Dの3人が1000円ずつ渡して3000円のものを買ってもらう。Aは500円値切って買って,200着服した。B,C,Dは100円ずつ返してもらった。B,C,Dは900円ずつ払っていたので2700円の出費。Aは200円着服した。これをたすと2900円。100円はどこに消えた?
 Aが着服した200円は2700円の一部なので,200円を2700円に足しても意味がない。
 分かれ道がある。一つの道は天国に,一つの道は地獄に続いている。そこには二人の人物AとBが立っている。このどちらかは必ず嘘をつき,どちらかは必ず本当のことを言う。質問は1回しかできない。天国に行くにはどんな質問をすればよいか。
 答えは,「あなたは,「この道が天国に行く道ですか」と聞かれたら「はい」と答えますか」
 自己矛盾を利用したパラドックス。自分自身に言及する分は,パラドックスを生じさせるか,意味をなさないものになる。「この鍵かっこの中に書いてあることはウソです」は矛盾する。と「この鍵かっこの中に書いてあることは本当です」は意味をなさない。
 40人の貴族とその従者の話。40人の貴族がそれぞれ1人の従者と暮らす。従者は悪いことをしている。どの貴族も,ほかの貴族の従者が悪者であることは知っているが,自分の従者が悪者であることはしらない。王様から,「少なくとも一人は従者の中に悪者がいる。40日目までに,自分の従者が悪者であると分かった貴族は,直ちに従者の首をはねよ」と命令した。命令に背くと貴族の首をはねるという。40日目に,貴族は,39日間,どの従者も死んでいないという事実を知った。一斉に従者の首がはねられたというもの
 2人の貴族であると仮定すれば,1日目に他方の貴族が従者の首を切らなかったという事実をしれば,次の日の朝に首を切れる。3人なら3日目の朝。同様に40人なら40日目の朝になる。
 理髪師のパラドックス。ABCが働いている床屋。AとBは同時に外出しなければならない。三人がそろって外出してはならない。Cが外出すると,AとBは一緒に外出できないし,AとBは同時に外出してはならない。よって,二つが矛盾する。矛盾する結論になるので,前提となるCが外出するが間違っている。したがって,Cは外出できないというパラドックス。
 原因は,大切な前提が省略されている点にある。Aが外出するときは,Bが残らなければならないというのは,Cが外出する場合の話である。また,Bが残らなければならないのは,AとCが同時に外出するときの話である。
 死刑囚のパラドックス。「Aを今週の土曜日から来週の金曜日の夕方までに処刑しなければならない。しかし,若者が,当日の朝に「今日は殺される」と分かってしまう日には殺してはならない」という命令があるとする。この命令を守ることはできないというパラドックス
 言葉と自己矛盾の問題。前提に矛盾を含むので,パラドックスが生じている。すなわち,「今日殺されると分かる日には殺してはならない」という命令そのものを条件として,今日殺されるということが分かってしまうので,パラドックスが生じているのだ。

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2018年01月03日

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