吉村喜彦のレビュー一覧
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小説というよりはシナリオみたいで、もしかして著者は脚本家さんか何かなのかと思いながら読んだ。
セリフの掛け合いは楽しいねんけど、こちらもまた、登場する人にいまいち好感が持ちにくい…。笑
なんでなんやろ、そこらへんも好みの問題よね。
秋の舟唄酒が一番面白かったな。若い人が登場する活きのいい小説とは違うブルースみがええんやろうけど、たぶんわたしはまだそちらの世代になりきっていない。
こないだの「東京近江寮食堂」と、いい、若干の温度差を感じるのはそこらへんなんやろな。
あと、読みながら著者紹介を読んで、「あ、著者の本、以前読んだことあったな」と、思い出した。(「ビア・ボーイ」) -
Posted by ブクログ
宮古島が舞台の小説ということで、南の風に吹かれたいと思って、読んだ。
しかし、想像以上に深い内容で、現代の諸問題を考えさせられた。
とにかく風景描写が美しい。文体が軽やかで、読みやすい。
しかし、内容は深いのである。
この作家は藤沢周平や太宰治の影響を受けているのではないか。
最初からグイグイ惹かれていった。
いまの日本をおおっている閉塞感を打破していく物語だと思う。
どこかで聞いたことのあるような首相とその夫人の名前が出てきたときは、大笑いした。筒井康隆の「裏小倉百人一首」や「農協、月へ行く」「ヒノマル酒場」などのパロディ小説に通じる趣きもある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ビア・ボーイ」の続編。今回は広告担当となった主人公のお話。
クリエイティブとビジネスの狭間で苦悶する主人公。職種は違えど、その苦しみは非常に良く分かるつもりなので、前作とは比較できないほど共感し、作品に惹き込まれました。
主人公たちが行った行動は、常識的にはNGなことでしょうが、気持ちはよくわかります。そうまでして金稼ぎたいなら、別に酒業界にいなくて良いんじゃね?って新井田や沢木に言いたい。
それと同じことを常に言いたくて仕方ない自分にとって、超共感な内容でした。続編、ないのかな?著者の自伝にも感じられる内容だったので、自分の体験ベースの話をこれ以上書くのは難しいのかもしれませんが、出 -
Posted by ブクログ
収録されている5作品。どれもじんわりと心に染み入る内容でした。
題材となっている内容も、バーで酒が入りこんでいる時はこんなこと話してるかもという内容で、電車や自室で読んでいるのにバーカウンターに座っているような感覚になります。リバーサイド閉店の話は今の所出ていないので、今後本作をシリーズ化してもらえるととても嬉しいですね。
ちなみに、自分も田園都市線を利用しているので、電車に乗って多摩川を越えるたびに本作の「空はさくら色」を思い出し、ジーンと来ることがあります。ただ、以前名古屋にあったバー「オー・ド・ヴィー」を母親がずっと「オードリー」と呼んでいたことも併せて思い出すので、すぐに冷めてしま