吉村喜彦のレビュー一覧
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最近ふらっと入ったバーで知らないカクテルを一杯頼むことがたまの贅沢です。
そんな中、バーをテーマにした本作を女優の上白石萌音さんがお薦めしてきたので手に取りました。
本作は、二子玉川にあるバーを舞台にオムニバス形式でさまざまなお客さんごとにお話が分けられています。
お客さんの悩みや人生の行き詰まりやちょっとした話題にマスターがカクテルを提供します。
私が好きなのは、編集者のお客さんのお話。
嫌な上司やお局さんの愚痴を言う中、居合わせた常連の春ちゃんが人生について辛口にアドバイスしています。
こんな行きつけのバーが家の近くにあったら、人生が深まるなぁと思う一冊です。 -
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ネタバレ小さな事務所でライターとして働く涼太は、取材旅行のため、宮古島を訪れる。ある酒造を訪ねたところ、最近井戸水から炭酸水が沸き上がっているのを耳にする。味は格別で、商品化しないかと持ちかける。売り上げは上々したが、そんな時、販売元のグループ会社が、リゾート施設を建設する計画が持ち上がった。果たして、阻止することができるのか?
作者の吉村さんは、サントリーの宣伝部にいたということで、営業としてのノウハウが、色々なところに散りばめられていました。勢いだけで戦略を立てるのではなく、冷静に分析しているので、リアリティがとてもありました。
また、吉村さんの作品を見ると、お酒をテーマにした作品が多くあり -
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前作『ビールボーイ』に次ぐシリーズ二作目。
前作は、社内政治、営業マンとしての成長が重きを置いていたが、本作は、ウイスキーそのものにフォーカス。製造過程から、その哲学が非常に巧みに描かれる。また、宣伝マンとして、企業サラリーマンとしての広告づくり、フリーとしてのまたそれ。
個人的にあまり深く知らない世界を覗くという意味では、中々興味深い内容でした。時代設定が、昭和から平成にかけてのバブル期に陰りがさした頃だから、今とは違うのだろうが。
しばらく、洋酒からは離れていたが、久々に洋酒を飲みたくさせる表現が溢れていました。
杜氏、ブレンダー。良いキャラ醸し出してました。 -
Posted by ブクログ
ー・リバーサイドシリーズの第三弾。二子玉川にあるバー、マスターとスタッフ2名の小さなバーに、個性的な客が訪れる。今回は、季節感のあるストーリー。沖縄のおじい、女性タクシードライバー、そして用賀のたこ焼き屋さん。コンコン、とドアを叩く音がして、お客さんが入ってくる、そこから紡ぐ一つ一つのストーリーと、多摩川の風景が重なり、美味しそうなお酒とともにショートストーリーうを味わうことができる。
家族と向き合えないヨンス、思い切りがつかない女性タクシードライバー、が印象的なストーリー。ふっと前に押してあげるような、そんな雰囲気をバーが持っている。誰しも、何かを抱えていて、それがお酒の力で溶けていく。確か