佐田千織のレビュー一覧
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題名のとおりである。本屋で見かけた瞬間、なんじゃこの面白そうな本はと思い手に取った。というのも最近『白鯨』を読んでクジラに関心があったものだからこの題名と不穏な青色、「タイムリミットは1時間」に惹かれて、私の手は磁石のように本を手放さなかった。
形式は少々変わっており、2〜3ページほどの細かい区切りで構成されていて現在編と過去編を行き来したり連続で現在編が続いたりしている。過去編は「2015」のように西暦が記されているのですぐにわかるが現在編は「3000PSI」が始め連続で続き、何を意味しているのかわからなかったが、その内にわかる。タンクの残りの空気量を示す数値であると。そして物語はこの空気の残量が徐々に減っていくことでタイムリミットが迫っていることを意図している。なんかおしゃれ。
クジラに飲まれた男は、なぜ海を潜ったのか、なぜクジラに飲まれたのか、クジラの中でどういった行動をとったのか、果たして助かるのか。
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どこで見たか忘れてしまったが、、確か雑誌か何かで知った一冊。最近仕事でドローンを扱うことも多く、SF好きなので自然と購入。
ショートSFならではの最後の続きを予見させるおわりにわくわくする。標題作では子供のいたずらのようなところから、ねずみ小僧的な海賊の姿が見えた時には続き読みたい...!と思った。
エグザイルパークもプラゴミ島という将来ありえなくもない環境とオロクンの超能力じみた設定。オロクンはなんの比喩だろうか。保守的な政治か麻薬か、かりそめの平和か、なにかに依存する世界を揶揄するものだろうか。
クライシスアクターズは陰謀論的な話で、気候変動を信じる信じないにしろ、とっている行動は同じで結局は環境活動に興じているというとんちのようなものにも感じた。形は違えど、親子はよく似ている。
菌の歌、軍団(レギオン)は支配型の未来が成立した世界。SFといったらこのやりすぎ設定が面白いが、技術のゴールは平等な社会だとするとこれって社会主義的な思想に近いと感じる。一方で、渡し守のような、割り切った資本主義構造によって貧富の差が大きくなることも一種の将来として想像しやすい。いずれにしても完全に管理することが可能な技術が出来上がると社会は極端な方向へ向かってしまうような気がする。
SFの面白さを改めて考えると私は読み始めのその世界を探っている感じが楽しい。どんな設定だろう、そういう常識の世界かーみたいな。そこにアイデアも感じるし、何を比喩しようとしているのか、フィクションだからこそストレートに感じる著者の意見が見える。
インタビューにあったキムスタンリーの、「SFには予言と現在のメタファーの二つの働きがある」というのはまさにその通りだと思う。予言としてみたらトンチキな設定かもだけど、風刺する意味では現代そのものだったりする。抽象化・メタ化して現在を投影した世界がSFそのものであり、だからこそいろんな歴史・ 知見が入るし、知的好奇心もくすぐられる。そこが好きなんだなと改めて認識した。 -
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表紙に惹かれて読み始めた。
2023年、アメリカのいち天文学者、ダリア・ミッチェルは天体望遠鏡での観測中、謎のパルスコードを受け取った。そのコードはとても高度で名高い専門家にも解読はできず、地球外生命体が発しているとしか思えなかった。
そのコードに影響を受けた人たちを上昇者と呼び、終局とやらが訪れる頃には彼らは、地球は…パルスコードはなんだったのか…
本書を著したのは、ジャーナリストであるキース・トーマス。本書が著されたのは2028年。
キース・トーマスは世界がどのようにして終わっていったのかを調査し、記述した。
ダリア・ミッチェルの手記、当時アメリカ大統領であったヴァネッサ・バラードをはじめ、当時の政府関係者、科学者、ジャーナリスト、ダリアの恋人などへの取材記録…これらを通してキースが伝えたかった世界のこと、ダリアの物語とは。
本書はノンフィクション。…風に綴られたモキュメンタリーSFです。
いやに現実的で、設定が徹底されていて面白かった。
本書が発売されたのは2021年なので、当時手に取った人はちょっとドキドキしながら2023年を過ごしたのかなと思ったりした。
終末世界って感じはするし、恐ろしいことも起こっているんだけど、悲劇なのかと言われるとわからない。
本書では、ダリアがパルスコードを発見…異変が起きてから世界が崩壊するまで2ヶ月しか経っていない。またこの異変に対して予防することも抗うこともできない。このパルスコードを送った生命体は何をしようとしたのか、上昇者となったダリアが至った結論は無慈悲とも言える。
しかし残酷だ!と憤ることでもない…なんだろうこれは…
原作が出版されたのは2019年でコロナ前であったが、この異変は過程はコロナ禍と似ているところもあるが、結末や受け取り方は違うだろうなと思った。
ただしみじみとした。 -
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先週紹介した「いずれすべては海の中に」と同様、竹書房のSFシリーズ。
竹書房、おしゃれにしたいのはわかるけど表紙を鏡文字にするのはどうなのよと思いつつ、パラパラとめくってみたら面白そうだったので購入。
先日、SFにはいろんなサブジャンルがあるって言ったけど、その中でも地球外知的生命との出会いを主題にした「ファーストコンタクトもの」というものが存在する。古いモノではアーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」とか、映画だと「未知との遭遇」とか。
この作品も、ファーストコンタクトものなのだけれども、ただ、異星人との出会いはない。深宇宙からのパルス信号を、タイトルにもあるダリア・ミッチェル博士が観測する。それだけ。
結局、このパルスは、我々とコミュニケーションをとるために送られてきたものではなく、我々に「終局」という、人類の3分の2が消滅するという破滅をもたらすもので。そしてこの本は、その「終局」が終わった後に、すべてを疑似ノンフィクションのような形で資料をまとめたという体で構成されている。
設定もわかりやすいし、科学者が語る内容も難しくない。
「終局」に向かう中での、人間関係や心理の描写の方に焦点が当てられているので、最後は結構じーんとさせられる。
そして、表紙がなんで鏡文字になっているのかの理由が、読んだ後になんとなく(あくまでなんとなくっていうところが良い)わかって感心したりもした。
人類の3分の2が消滅した世界というのは、果たして絶望なのかあるいは希望なのか。その答えはなにも書いてないのだけれども、考える価値のある面白い問いを残してくれたなあと。 -
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異星人ロボットSFとして読んでいたけど、人種(に入ると思う)差別や排斥が大きなテーマになるとは…面白かったです。思考停止で異なるものを排斥、というのは恐怖の裏返しなんだろうけどそれにしても疑心暗鬼が攻撃にすぐ結び付くのは怖いです。
ローズに始まりローズに終わったな…と思いました。エヴァとヴィンセントも重要だったけれど。
カーラからエヴァへのお手紙、ジーンとしました。
インタビューや私的な文書のみで構成されてたシリーズだったけれど、それで充分何が起こってるかわかるのは凄いです。思ってたより骨太でした。
エヴァがダリル推しなのも嬉しい。
しかしこれ、「計画」と「覚醒」はともかく、「降臨」は各方面にアレなので映像化難しそうです。「覚醒」も、マドリードの顛末がセンシティブだけれど。 -
Posted by ブクログ
小説というのは語られる内容以上に、語り口、どのように語られるかが大事だったりするのだが、これはまさに語り方の勝利。モキュメンタリーの手法はホラー映画ではおなじみで、小説でもそこまで珍しいわけではない。例えば、長江俊和氏の「出版禁止」とか、同時期に早川から出た「異常論文」も、基本はこれのヴァリエーションといえるだろう。けれども、それらの多くがどこかで偽ドキュメンタリーの枠からはみ出すのに対して、本作は極めて禁欲的。無数の脚注もそれらしいが、巻末の、偽の謝辞や架空の本をズラズラ並べた参考文献リストには、それだけで笑ってしまう。忘れてはいけないのは、侵略なのか贈り物なのかも解らない、異星人からのメッセージに混乱に陥る社会の、大きなうねりを描くのに、この手法がぴったりだと言うこと。これがいちばん大事なのかも知れないが。
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Posted by ブクログ
第1作からだいぶ間があいてしまっているものの、読みながら何となく思い出してくる。
科学的な刺激とともにドンドン展開するストーリーに引き込まれていく上巻であった。
ただ、相変わらず何を言っているのか意図がよく解釈できない箇所が小骨のように気になる。
たとえば以下のような会話。
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- わたしはあなたが忙しいか尋ねたつもりだったのですが。
- これこれ。
- なんですって?
- これですよ!
- ・・・・
- いいえ、わたしは忙しくありません。話をする時間はあります。
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なんだこれ??
原文ではもっと気の利いたやり取りな気がするけど、訳しきれていないのかしら。。
ま、それ以上に話が面白いのでそこまで気にはならないですが。