岡崎武志のレビュー一覧
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短篇というのは、読んでいる最中は意想外なストーリー展開や彫琢された文章の美しさに夢中になって時を忘れたりするが、私の場合、読後数日から数週間もするとその内容をあらかた忘れてしまう。だから数年もたつと、再読でもほとんど初読の作品と同じように楽しめることになる。読んでいて「ああ、これは読んだことあったな」と気づいても、前に読んだときにはあまり印象に残らなかった場面や情景描写に出くわして、その作品の魅力を再確認することになる。
木山捷平は、そういう何度でも楽しめる短篇をいくつも残している。戦争や貧乏生活など厳しい経験を持っていながら(持っているからこそ)、陰気にならず、巧まぬユーモアがある。
「 -
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書評家・岡崎氏による読書にまつわるエッセイ。
「読書=投資」ではなく、「読書=趣味」と考える本好きなら、絶対に楽しめる一冊ではないでしょうか。
読書という行為自体を論じた後、ベストセラーとの付き合いかただったり、本の整理の仕方・買い方、本を読むシチュエーションに、作者の読書遍歴等々、一人の本好きの楽しい語りが存分に展開されている。
それに同意したり、新鮮な発見があったり、首をひねったりしながら、最後まで楽しく読めた。
学生の頃、海外の小説をよく読んだが、社会人になってからはビジネス書に読書生活の大半を割いてきた。
でもやっぱり、自分の望んでいる読書生活ってこっち方面だな、と再認識。
それと -
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ちょっと前に買ってツン読してあった本そしたらまさに「ツン読」の効用が書いてあって。そそそそ ツン読って大切なのよ と大威張り。今日 名古屋は中○新聞社であった「読書の腕前上達講座」に行って来ました。タイトル見てどこかで見たな〜と…で思い出して急いで読む。おお 泥縄。これは読書の楽しみ方講座なんだけどとっても平易な文章で書かれていてサクっと読める。読み終わると無性に本が読みたくなる。岡崎氏が成績は悪くてもとにかく本はたくさん読んでいたってくだりで、小学生のときの悲しいエピソードは胸が痛かった。こーゆー先生は子供にとって百害あって一利なしだっ。新書って敷居が高いイメージがあるけど変に構えずにどんど
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2015年に盛林堂書房から刊行された元版に、新たな写真を加え、野呂のエッセイ、編者の対談を増補した一冊。
野呂邦暢という作家の名前を知ったのは、2010年に『夕暮の緑の光』がみすず書房から刊行されたときで、それ以降も愛読者というまでには至らなかった。『愛についてのデッサン』も、野呂の書いたものだからというよりは、古本屋を舞台に、古本屋主人を主要登場人物にしている作品だということに興味を持ったからである。
そこで本書。1976年頃の東京の古本屋を写した写真。当時は彼の地元の諫早から上京するのは大変だった時代。スマホで何百、何千枚でも手軽に撮れる現代とは違って、フィルムカメラで一所懸命に撮 -
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本書は〈春樹から漱石まで〉という副題にあるように明治から現在に至るまで「東京を目指し、故郷を後にした作家になる前の作家たち」、「そんな若者たちを描いた作品を『上京者』という視点で読み解いた」文学案内。
登場する作家は総勢18名。
夏目漱石・斎藤茂吉・石川啄木・菊池寛・山本有三・室生犀星・江戸川乱歩・宮沢賢治・山本周五郎・川端康成・太宰治・林美智子・寺山修司・五木寛之・松本清張・井上ひさし・向田邦子・村上春樹…錚々たる面々。
ただ「現在までの上京譚」と謳うも一番若いのが村上春樹で、上京したのは昭和43年(1968年)⁈全共闘華やかかりし、あの時代。東海道に新幹線が走り出してまだ4年で、「夢の