石井正己のレビュー一覧
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最初は借りた。目当てはアイヌの図絵だった。処が、全部で112図絵ある中の最初の七夕人形の記事で既に魅了されていた。ヤバいなあ。購入するべきなのだろうか?絵も凄いし、民俗学的にも貴重。
結局、昨年4月に購入した。その後、半年ほど文庫本が行方不明になったが、この春からまたぼちぼち読み始めて、ようやく読み終わった。いつか長い長い東北旅を敢行するとき、この文庫本を持ち歩き、「これが真澄の描いた八郎潟、これが大間の浦か」と驚き、郷土博物館に行って民俗遺物を眺めながら「200年前に普通の農家の庭先にあったのだ」と想像することだろう。
菅江真澄。1754年おそらく三河・岡崎の生まれ。国学と本草学を学んだ -
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・石井正己編「菅江真澄 図絵の旅」(角川文庫)は読んだといふより見たと言ふべきか。書名通り図絵中心の書である。真澄は三河の生まれの人だが、その絵は東北のものが多い。若い頃旅立つたまま、こちらに帰ることなく亡くなつたからである。彼の絵は独特のもので、その絵の「真澄独特の稚拙な表現は、文人の間に流行していた真景図とは違って、御伽草子絵に近い」(辻惟雄、331頁)ものであるらしい。風景画も多いが、民俗的な絵も多い。個人的にはこちらに興味がある。真澄は2400点ほどの絵を残してゐるとい ふ。それからすればここに載るのは112点、20分の1以下である。それでも色がついて細かなことまで 分かるやうになつた
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ネタバレ言わずと知れた、柳田國男の名著、その漫画化。
「オシラサマ」「河童」「狐」「御犬」の四話が収められている。
オシラサマは養蚕の神、狩りの神、女性の病気の神、etc. ・・・ その由来の物語。いかにも昔物語っぽい構成。
遠野物語といえば、河童 やね。人間社会の闇を、架空の生き物に託して語る、これも神話的なテンプレート。
狐の不思議な話は、全国に残る。その昔、狐は人語を解し、人間に化けて人を騙すことが本当にあったのかもしれない。
御犬、ニホンオオカミのこと。なぜ、御犬は滅びることになったのか。人間世界の膨張による自然との力関係の変化。オオカミの存在とともに、我々が大切なものを -
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「遠野物語」再読(自信無い)前テキストとして。
遠野物語が文語体で、読みとる自信がないんです。
はじめに、で柳田国男が執筆にあたった経緯と、遠野地方の地勢を。
第一章民話の里・遠野 柳田にその元ネタを提供した遠野出身の佐々木氏との出会い。作品に付けられた序文の真意について。
一五 オクナイサマ 五六 河童の子殺し 一一 親殺し 解説
第二章神とつながる者たち 二 神の始 一〇二山の神 一八 座敷童 六九 オシラ様 九六 予知
六三 マヨイガ 解説
第三章生と死 魂の行方 一一一 デンデラ野とダンノハナ 二二 幽霊 九七 死に際 八 神隠 九九 津波の死者の霊 解説
第四章 自然と共生 三六・三 -
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「遠野物語」は、いつか読んでみたいな、と思っていました。
単純に、遠野に何度か行ったことがあるからなんですが。それだけの興味。
(あんまり、おどろ系の話に愛着は、ないのです)
全体にもちろん「遠野物語」のダイジェスト的な紹介と、書籍としての「遠野物語」の成り立ちについて書かれている本です。
「遠野物語」は岩手県遠野地方に伝わる多くの民話を、柳田国男さんがまとめた本。
1910年、柳田さん35歳のときの本。
実は中身は遠野出身の佐々木喜善さんという若者が、柳田さんに語った内容なんですね。それ自体、柳田さんも何も隠していません。
一応、柳田さんが後追いで確認取材的なことをして本にしている、とい -
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桃太郎はニートだった!このフレーズにまず食いついてしまった。その後、目次を読むと桃太郎の隣人の柿太郎?これは何だと思わず魚が釣竿の餌を飲み込むように釣られてしまった。この本でキーになっているのは柳田国男であり、日本昔話だと思う。この二つが昔話を大きく変化させたんじゃないかな〜。本の中のフレーズで気になったのは、人はいったいどうあるべきか。語り手が抱く人間への思いを、鏡のよう映し出したのが昔話であり、また、昔話には古くて新しい魅力があり、民話には新しくて古い歴史がある。これからの混迷の時代を生きのびていく知恵袋となるはずです。確かにと納得してしまった。人間としての心を思い出させてくれます。