石井正己のレビュー一覧
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鯨庭さんの作品が結構好きなので読みました!
この作品は遠野物語の行間を「補足」して創られた物語で、遠野物語原作をそのまま漫画化したものではありません。
鯨庭さんの「驚きながら、あなたも言い伝えの断片にある隙間について想像してみてほしい」という言葉の通り、遠野物語本編を読んだ上でこの作品を読み、実際に遠野を訪れてみて「言い伝えの断片にある隙間」を考えてみてほしい。人の営みを語り継ぐ意味や必要性、そもそもなぜ人は物を語るのか、原点に立ち戻るきっかけを与えてくれる経験になると思います。
昨年の夏に遠野に行った。花巻から電車で訪れたところ、確かに柳田國男が紹介しているように、周りを山に囲まれた真緑の -
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個人的な話。
初めて青森県の山内丸山遺跡に行った時。史料展示室の壁にはかなり長大な等尺年表があった。山内丸山は縄文期から平安期頃まで人の住む地だったので、そこまでの時代については記載が多い。等尺年表なので、その後は昭和の発掘調査まで、ほぼ真っ白。空白。ところが、
……江戸期に記載がある!
それが菅江真澄の記録。土偶や土器片をスケッチし、土地の人からの聞き書きを残している。しかも克明に。
菅江真澄がすごいのは、江戸後期に北海道へ渡って越冬もしている。そしてアイヌの人々の文物•文化•言語なども記録に残したこと。アイヌ語には"文字"がないので、聞き書きのアイヌの言葉の記録は貴 -
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【沖縄文化論の草分け論集】
明治政府による廃藩置県で琉球王国が滅亡し沖縄県とされたのは、1879年である。日本で沖縄文化研究の本格的な気運をつくったのは民俗学の創始者の柳田国男だった。柳田は南島こそ日本文化の源流と見ていたのだ。柳田の『海南小記』に刺激されて、折口信夫も沖縄を訪ね、『琉球の宗教』を書く。他方、民芸運動の主唱者柳宗悦は、沖縄における「民衆芸術」の営みを愛でた。
本書は、柳田、折口、柳をはじめとする沖縄文化論の草分けの論考が詳細な注記とともに読みやすい形で提供されている。返還50周年を機に、沖縄の文化を見つめ直すのに格好な本である。
柳田「日を経て南の風の吹く頃には、遙かなる常夏の -
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想像を膨らます
日本民俗学の古典的名著「遠野物語」のコミカライズである。原作の素朴でファンタジックな内容を、やはり素朴でやや稚拙な絵柄でよく表現している。原作の文章表現もいいが、この作品のように絵になったものも想像を膨らますのにとても良い。
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