木田元のレビュー一覧
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「闇屋になりそこねた哲学者」として知られる著者が書いた哲学の入門書です。ハイデガー哲学との出会いから、「存在の歴史」の構想への理解が深まり、「反哲学」という視点を獲得するまでの著者自身の歩みを振り返りながら、読者を哲学の世界へと案内しています。
著者は、ユクスキュルやメルロ=ポンティの思想に触れたことがきっかけで、ハイデガーの思想をしだいに理解できるようになったと述べています。フッサールは、当時行き詰まりに陥っていた心理学の方法論的改革の試みとして現象学を構想し、そうした初発のモティーフを忠実に受け継いだのがシェーラーやメルロ=ポンティでした。ハイデガーもまた、シェーラーから大きな影響を受け -
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現象学の概説書、1970年。
□ Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ章
フッサールの現象学を、彼の思想の変遷に沿って、かなりの駆け足で解説している。
①現象学は、その初期において、当時の支配的な思潮であった実証主義(心理学主義、人間学主義、生物学主義など)に対する批判として出発する。実証主義は、数学や論理学などのイデア的な対象を、経験的実在的なもの(レアールなもの)に還元する誤謬を犯しているとして、批判される。実証主義に対いて、学問一般のイデア的なものの可能性を追究する純粋論理学としての現象学が構想される。初期の『論理学研究』(その第一巻は「純粋論理学序説」)では、ブレンターノの心理学主義を批判する。なお、意識 -
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20世紀の、西洋哲学を解体する思想的立場=「反哲学」の立場から、その19世紀末までの歴史を述べた、哲学の案内書的書物。元々、筆者が中央大学の講義で用いたノートを基に書いただけあって、臨場感にあふれ、且つ簡にして要を得ており、大学時代に専攻していたものの遠く離れてしまった私のようなものにも、何だか懐かしくありつつもその大略が掴めるようになっていました。「自然(フュシス)」を対象としていた思考から、「制作物(テクネ)」(=「形相」=「物自体」)が分離しそれを中心とする思考へ、それがヘーゲルで完成を迎えたかと思われたら、その解体へ。壮大な「自然(フュシス)」への回帰の歴史という事なのかな、と思いま
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フッサールからメルロ=ポンティに至る現象学の潮流をコンパクトに解説している本です。1970年に刊行されたやや古い本ですが、現象学の形成とその後の変容のおおまかな流れを把握するのに、現在でも十分に役立つ内容だと思います。
現象学はもちろんフッサールによって創始された哲学のひとつの潮流ですが、著者は「序章」で、「わたしは「フッサールの現象学」と「現象学的運動」を区別し、後者に焦点を合わせて考えてゆきたい」と述べています。また、「極端な言い方をすれば、フッサールの思索のすべてが現象学的だということにはならないし、現象学はフッサールの哲学に尽きるものではない」ともいいます。こうして本論では、中期の『 -
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19世紀までの哲学の歴史をまとめた本。各時代での著名な哲学者の思想のエッセンスをまとめている。後世の哲学者の思想への繋がりも対比しつつ書かれており、哲学という学問を概観して理解するには良さそう。
入門書の位置づけだそうだが、哲学書に慣れ親しんでいない自分にはやや難解。とは言え、時代を経て生まれていく様々な思想を追っていくと、自身の思考様式を改めるきっかけとなった。歳を重ねると自分の持っている知識の範囲で判断しがち。特に自分の得意分野においてはなおさら。自分が真実と思い込んでいるものから一歩引いてみることで、新しい何かが見えてくるのではないか。書評とは少しずれるかもしれないが、新年で気持ちを新た -
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ネタバレウィトゲンシュタイン「神秘的なのは、世界がいかにあるかではなく、世界があるということである」『論理哲学論考』p78
【3つの命題】p82
①現存在が存在を了解するときにのみ、存在はある(エス・ギブト)
②存在は了解のうちにある(エス・ギブト)
③現存在が存在するかぎりでのみ、存在は<ある>(エス・ギブト)
<世界開材性>とか<世界内存在>というのは、人間がそうした<世界>という構造を構成し、それに適応しながら生きる生き方、存在の仕方を指すと考えてよい。このような高次の機能によって、現存在が現に与えられている環境から身を引き離すその事態を、ハイデガーは<超越>と呼んでいる。現存在は、<生物学 -
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ネタバレ著者が中央大学での最終講義として行なった、ハイデガー研究のハイライトと、
同大学の最終講演で行なった、エルンスト・マッハによる各分野への影響の紹介、
及び、文庫版出版にあたり書き足した、ハイデガーの周辺情報の補足。
いやー面白かった。
が、とにかく周辺知識が膨大で、樹形図的に話が展開されていくさまはもう、「参りました」と五体投地せざるを得ない気持ちになってくる・・笑
哲学を職業にするのは、やっぱりすごい
以下、備忘がてら、印象的だった部分を列挙
・『存在と時間』は未完の失敗作
・ある=作られてある、のか、自ずから成る、のか
・マッハによる形而下二次元世界と、クリムトら<ユーゲント・シュティ -
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存在論を主題に19世紀までの哲学者の思想を紹介していく。
もっと簡単な反哲学入門にすれば良かったと後悔しつつ、
何度も読み返しながら時間をかけて読んだが、
古代ギリシアの思想はありのままの自然主義が主流で、
ソクラテスはそれを否定しまくった破壊者であり、
プラトンは全ては理想の形であるイデアの模写だよと言い、
アリストテレスはそうじゃなくて可能性と現実体だよと言い、
キリスト教が勃興し、全ては神の意志だということになり、
デカルトは自分の理性によるものだよ(それも神の意思だよ)と言い、
カントはそうじゃないものも沢山あるんだよと言い、
ヘーゲルは理性は成長して変わっていくものだよと言い、