木田元のレビュー一覧

  • 反哲学史

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    まず古代ギリシャ哲学の基盤を整理し,デカルトを経てヘーゲルで一旦完成,「反哲学」を予見する後期シェリング,マルクス,ニーチェまで。

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    2025年06月13日
  • 現象学

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    難しくやや背伸び感があったが、時間をかけて読み終えた。

    ↓以下僕なりのまとめ

    フッサール初期『算術の哲学』→『論理学研究』
    問題意識は思考の依拠する基礎の解明。
    心理学は、認識のうち経験に関する実在的主観的連関には有効だが純粋論理に関するイデア的客観的連関の解明には及ばない。後者の解明のため経験心理学の前提から離れ認識体験を純粋に記述する態度が現象学である。彼はブレンターノの志向性の概念を意識の基本的性格として援用し、認識作用の主観性と認識内容の客観性を橋渡した。実在的対象ではなくイデア的対象を意識が志向し表象すると、その「構成」作用の所産として純粋論理が立ち現れる。ここで彼はイデア的対象

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    2025年06月05日
  • わたしの哲学入門

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    著者の遍歴も含めて、凄い入門書である。
    個人的にはハイデガーから古代ギリシアに遡り、時代を下っていくからか、これまで読んだニーチェの論述の中では最もその思想が理解しやすかった。

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    2025年05月12日
  • ハイデガーの思想

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    ↓僕なりの理解

    現存在は、現存在自身をも含む存在を存在者たらしめ、世界を構築する意識的な現場である。存在は無意識で知覚され、存在者は意識で認識される。この存在了解=存在投企は、自然現象的に起こる出来事であり、現存在はあくまでその座として出来事を眺める。その意味で、存在は現存在に先立つ。
    ソクラテス以降の哲学は、存在を本質存在(-である)と事実存在(-がある)に分節し、ニーチェは存在を力への意志と永劫回帰で捉え直し、哲学は極地に至る。個体は、この混沌と秩序を志向する力としての二つの存在が拮抗し、その結果として表現される存在者である、ということだろう。しかし存在は、本来分節していない自然(ピユシ

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    2025年04月27日
  • 反哲学史

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    『反哲学入門』からの続きとして読んだ。
    『反哲学入門』と比べ、この本は、重なる内容もあるが、個人的にはより詳しく丁寧に述べられている印象があった。この本を読むことで前書の復習になり頭に残ったので、個人的にはよかった。

    ある特定の哲学者の思想を理解しようとしたとしても、その人限定の書籍を読むだけでは理解しづらい。なぜならその思想の背景には、当時より前の哲学者たちの思想を基にしていたり、あるいはその人たちに対する反論が存在しているためである。
    本書は、その思想の歴史的なつながりを理解するのに最適である。索引も付いているため、これから原著を読む時はこの本を振り返るようにしようと思う。

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    2023年12月29日
  • 反哲学史

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    生涯を通して「反哲学」を標榜されていた著者の反哲学。
    決して難しい哲学の本ではありません。

    木田先生が訳されておられる書籍にはかなり難しいものが多いですが、一般向けにお書きになられる本はとても分かり易くて助かります。
    メルロ=ポンティとか現象学の本も読んではみたいのですが、まだまだ力量不足でその域には至りませんが、木田先生の著書は語り口も好きで結構読ませて頂いております。
    「哲学」の面白さは木田先生のお書きになった本に教えられたことが多く…

    評価したり感想を述べたりするのは
    やはり少し恐れ多い汗

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    2023年09月29日
  • ハイデガーの思想

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    ハイデガーの存在論や哲学観の全体像がよくわかる。カント、ヘーゲル、ニーチェ、フッサールなどの関係性や影響も時系列ごとに綺麗に整理されていて読みやすい。

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    2022年04月16日
  • 反哲学史

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    反哲学といえばニーチェだという決めつけ。それ以上の知識の拡がりがないままの自分がこの本を読んで得られたのは、哲学というものをめぐる大きな歴史の動きと、それに伴い変化していく哲学者たちの考え方だった。哲学者一人ひとりの考えを深く理解することはこの本だけでは不可能だが、各々の哲学者が「なぜ」そのように考えたのか(またはその考えに『縛られた』のか)、「なぜ」その時代にその考えが現れたのかを理解するには大変良い書であると思う。

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    2021年11月03日
  • 現代の哲学

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    反哲学入門の続きのような感覚で読み始めたけど、ちょっと趣が違う。哲学に限らず20世紀の学問・思想の限界(理性の崩壊)から話が始まり、そこを突破するための存在論・認識論の新しい地平、生理学などの力を統合し進む現象学中心の展開を見る。後半マルクス主義の潮流あたりは特に難しくてあんまり読めていないなと思う。
    自分にとっての「体」の持つ意味、心と体の分かちがたく結びつく様、世界内存在としての企投の場であるということを検討してからの言葉の検討、言葉とは思考のからだであるという流れがとても美しく、頭の中で強く広く響く。今まで持っていた言葉への違和感がするする解き明かされていくようで気持ち良かった。

    鶏の

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    2020年11月19日
  • わたしの哲学入門

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    ここ最近、木田元の哲学書を連続して読んだが、その中でも最高の書。形而上学=哲学というのがプラトンが、現実社会(事実存在)と現実にはない理想の世界(本質存在=神の世=イデア)とを分離したことから始まり、それがニーチェにて終了し、現代哲学はこの形而上学的な二元論から、自然な存在というものを中心に論じるギリシャ時代の哲学(という言葉は正確ではないが)に戻ろうとしているという、古代から現代までの哲学と言われるものの推移をかなり簡易に解説している。これを読んで、やっとで形而上学を理解できた気がする。本質存在が、キリスト教の神になり、デカルトの理性になり、それがカントからヘーゲルまでのドイツ観念論に引き継

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    2019年03月10日
  • 反哲学史

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    哲学とは何かを体系的に考えるのに大変有用な本。要は、イデアも純粋形相も神も理性もすべては一つの形而上学的(現世とは異なる理想的な世界が存在し、それに向かって世界は進んでいく的)な同じ思想形態であり、西洋哲学、西洋思想はすべてこの思想形態を中心に発展してきたということがよく分かった。実存主義はそれを真っ向から否定するものであり、哲学ではなく反哲学と呼ぶべきものということらしい。とは言っても、旧来の哲学も決して無駄だったわけではなく、人間中心主義的な考え方が現代の科学文明を発展させる礎になったのだろうし、それにより人権宣言も行われたのだろうし、社会の要請の上で成り立つ思想形態なのだと思う。今の実存

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    2019年01月05日
  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology

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    『技術というものは、どうやら人間の思惑などには左右されず、自己運動し、自己展開するものらしい』―『はじめに』

    理科系の頭の中には常に因果律が根本的な心情として存在していて、原因となる運動があり結果となる作用がある、という考え方に知らず知らずの内に拘泥している。しかし複雑系という考え方を待つまでもなく、至極単純に思えたニュートン的運動力学でさえ、対象となる物体が二つから三つに増えただけでその行方を正確に予想することが困難となる(三体問題)。単純な因果関係は成立しない。それが分かっているから、問題を解くために問題の一部を極端に単純化し、解を求める。そうして求めた近似解を万能解のように振りかざして

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    2018年09月25日
  • マッハとニーチェ 世紀転換期思想史

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    マッハとニーチェを中心に、世紀転換期のヨーロッパ思想史について論じた本です。

    著者の盟友だった生松敬三がヨーロッパ思想史にかんする名著を数多く残していますが、現象学やハイデガーの研究者として知られる著者もまた、この分野にかんする造詣が深く、それぞれの思想家の影響関係について綿密な考察が展開されており、たいへん勉強になりました。また、雑誌『大航海』(新書館)に17回にわたって連載された記事をまとめたものということもあって、親しみやすい語り口で議論が展開されているのも、個人的には高評価のポイントでした。

    マッハからフッサールへの影響関係はむろんのこと、マッハ=アヴェナリウスの「経験批判論」に対

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    2018年06月10日
  • 反哲学史

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    哲学というのは私を含めた一般の人々にとってはおそらく難解で近づきがたいものである。しかしながら、この本は、とてもわかりやすく、哲学に苦手意識を持つ私でも最後まで楽しく読むことができた。わかりやすさの理由として第一に、読者の疑問に沿う形で文章が構成されている。用語であれ、論理展開であれ、疑問がわく部分に対し説明がしっかりとされていた。第二に、様々哲学者を比較しながら紹介しているため、思想が相対化され、理解の手助けとなっている。そして、第三の理由としては、二つ目と関連するが、「反哲学」という視点を導入していることである。このことにより、より長期的な枠組みとして哲学史を捉えられる構成になっていると思

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    2016年03月01日
  • わたしの哲学入門

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    著者と哲学との関わりについて書いたあと、歴史に沿って哲学の流れを説明するというのが本書の構成である。
    ハイデガーという一つの視点から、様々な哲学者の思想を批評しながら歴史に沿って進展するため、それぞれの思想をかいつまんで説明するような入門書よりも、思想と思想のつながりや思想の流れがわかるので理解しやすかった。

    理系の人間で、哲学にあまり触れてこなかったわたしでも、「認識」、「イデア」、「実存」、「純粋理性」…などの難しい哲学用語をそれなりに理解できるようになり、哲学の流れを人に説明できるようになった。この事実からして、素晴らしい入門書といえるのではないか。

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    2016年02月03日
  • 現象学

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    ハイデガーの存在論を理解する近道は、まずフッサールの現象学を勉強することだと思う。読後にそういう感想を持った。木田元は現象学の勘所を本当に丁寧に説いてくれている。

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    2016年01月27日
  • ハイデガーの思想

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    ハイデガーの言う「存在」とは何か。本書はそれを丁寧に説き明かしてくれる。その説明の中で「世界内存在」という概念についてわかりやすい解説が行われている。これらを杖にもう少しハイデガーの思想について勉強していこうと思う。

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    2015年11月19日
  • 対訳 技術の正体 The True Nature of Technology

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    技術は人間の理性が作り上げたものではなく、人間の前に技術があり、人間を人間足らしめたのは技術である。非常に納得するが、とはいえ、技術進歩は人間が起こしているもので、複雑になるにつれ、アンコトローラブルに陥るからこそ技術者は責任と倫理を持たなければならないような気がする。

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    2015年01月03日
  • わたしの哲学入門

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    木田さん自身おっしゃってますが、哲学者がなぜ哲学を学ぼうとしたのか。というところから話をした方が、とっかかりがいいのではないか?ということで書かれた本らしく大変面白かった。
    哲学独自の言葉に言及された部分は笑ってしまいました。そもそも日本語の翻訳は、その日本語がさっぱりわからないことが多い。とか、わからないというのは、どうやらその前に読んでおかなきゃいけない本があるということだという点など、頷きます。私もなんども、行ったり来たりしながら参考本の哲学書読んでるので、ああ間違ってないんだと確信できてよかった。
    大学1年目にまず、この木田さんの本を読んでから哲学に入るのもいいかも。しょっ

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    2014年05月23日
  • 反哲学史

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    「 事実彼は芸術こそが「生(レーベン)の本来的課題」であり、「生の形而上学的活動」だと言っております。してみれば、もっとも肉体的な機能でありまた肉体の機能の最高次の実現である芸術を認識の圧制から解放して復権せしめることこそが、ニーチェの目指したニヒリズムの克服の決定的方策だった、と見て良さそうです」 ー 234ページ

    スピリチュアリティはロマン主義的であるという説はよく見られるけれど、最近の消費主義的なスピをロマン主義的と見做すことには抵抗があって、それは芸術的側面――つまるところ、他者のための美的表象――が欠けているように思えるからである。

    みんなが芸術家になればいいというわけではない

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    2013年05月31日