森美樹のレビュー一覧

  • 私の裸(新潮文庫)

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    成長ホルモン分泌不全性低身長症の男とその周りの4人の女性を描いた連作短編集。
    それぞれ抱える問題は違うが、いずれも女性たちが自分で殻をつくっている状態を子どものような見た目の朔也がほぐしていく。朔也の発言が世間から超越しているものではなく、様々な悪意や疎外を感じた上での発言であることに重みを感じた。いずれも明るい未来が待ってるわけではないが、何かしらの救いを描いていて好感が持てる。
    人間誰しも何かしらの側面で少数派だったり、異なる者だったりすることを意識すると、皆が共感できる物語なんだろうと思える。

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    2019年01月14日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    主婦というカテゴリーに属した孤独な女達の連作短編。

    特殊な性癖を持った夫、夫の不倫、不妊、テレクラのサクラなど、主婦の秘密が目白押し。
    随所に登場する謎の金髪の男は、最後の話で初めて少し好感の持てる存在になります。

    結婚24年、のんきに暮らす私には、へーと感心する話ばかりで、共感共感出来る人はいなかったけれど、興味深く一気に読みました。

    R18文学読者賞受賞作「まばたきがスイッチ」が好み。

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    2018年08月19日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    主婦達の短編集。
    夫という生き物は妻に無関心になっていく。男は肉が好きなのだ。
    アンニュイで息苦しく狂気も感じられる。わりと好きな雰囲気。
    中でも"さざなみを抱く"が印象に残った。妻として戸惑う気持ちも分かる。ご主人も辛そう。どこか切なく、やるせない。
    他の作品も読みたくなるような一冊。

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    2018年03月15日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    部外者が興味本位で立ち入ってしまったら、
    え、なにこれ、とっても怖いんですけど…
    腰を抜かして逃げ出すことができなくなってしまった

    …そんな感じ。

    「金髪の男」への主婦たちの浮気やら不倫やらを描いたもの哀しさ漂う連作短編集。

    「月影の背中」の由紀乃が言った「まっとうした」という言葉が特に心に残りました。そわっと。

    感想と別のところで思ったのは、「主婦」って言葉、響きが古めかしいな、と。
    この作品は10年前のもの。
    もしかすると、そのころから今までの間に急激に色褪せた言葉なのかもしれない。
    死語化するのも近いのかもしれない。

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    2025年08月16日
  • 神様たち

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    ネタバレ

    不思議で魅力的な男性が毎話、登場する
    恋愛で人がおかしくなってしまう話が続く。こういうテイストの本、久しぶりに読んだ

    人間は強欲で、『神様』を私利私欲のために
    崇め奉る。信仰を強制/禁止してきた歴史
    純粋に神を信じられない
    しかしやはり神頼みの局面や、行事ごとは継続し続ける不思議な民族の一人


    『デイドリーム•デイ』
    女子二人で素敵な男の子の奪い合い
    序盤に、高校生時代を回想し、今彼と結婚できて幸せな専業主婦の座に収まっていたのは
    高校生時代のストーリーの主人公の方ではなく
    (こちらのお話は、純度が高く、美しい)
    まあまあ最悪なライバル側だった。。
    御朱印帳をこっそり交換したり、ストーカー

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    2025年02月23日
  • 母親病(新潮文庫)

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    母親病と聞いて、私が思っているものと違った。
    母親病って毒親のことかな?母親と娘との間のトラブルや葛藤かな?って思っていたけれど、違った。
    この本に出てくる母である園枝さんの良妻賢母でいようとする気持ちや思いには共感はできなかった。
    解説を読んでみて、結婚し、主婦として良妻賢母であろうとも、女性として生きたい、でも行き場がない。誰かに承認されたいということだった。

    園枝さんの承認は性欲を通しての承認だった。

    性欲以外にも、趣味や仕事、他にも選択肢があるのにと思いつつ、園枝は性欲の道を選んで、女性として生きたい気持ちが何倍も強かったんだろうなと思った。

    母親病の娘、息子たちも、そんな母親病

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    2024年09月29日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    ネタバレ

    子どもの髪は、室内でも雨の日でもひだまりの匂いがする。
    当たり前に知っていた記憶がいつのまにか私の中から消えていたことに気付いた。
    娘たちのつむじを明日の朝嗅いでみよう。

    出会いというのは、何でもない日常の亀裂だ。
    けれど、泥の川から砂金を掬い出すような、
    奇跡としか言いようがないものが、一生のうち何度訪れるだろう。
    誰にでも「金髪の男」は存在する。

    ”冒険なんて、実行しないから冒険と呼べるのに”

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    2024年04月03日
  • 私の裸(新潮文庫)

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    ネタバレ

    子どものような背丈の朔也と彼を巡る女たちの短編集。やや性的な分下チックな作品で、そこそこ楽しめたかな。

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    2024年03月22日
  • 母親病(新潮文庫)

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    母親の謎の死を巡る連作集です。正直この60代の母親の気持ちがあまり理解できなかった。共感できる登場人物もいなかった。しかし小説はそこだけが重要な訳ではないし、ミステリー的に読むこともできる作品だと思う。
    私個人としては母親にここまでもやもやを感じたことがないけれど、家族だからといって相性が悪い場合もあるだろうしその場合は関係が近い分深刻なことと思う。

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    2024年02月24日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    とある街の子供のない家庭の専業主婦。夫に合わせるための顔、テレクラの受け手の様々なキャラクター。本当の自分の顔になるのは、早朝に洗濯物を干すときに、向かいのアパートの金髪の青年と目を合わせるときだけ…。

    とある街の戸建て、アパート、公団住宅などの様々な主婦の生活を描いた6本の短編アンソロジー。と言いながら、冒頭の作品には主婦はもういないのだ。

    そんな色々な主婦とすれ違いかけては引っかかる金髪の青年が繋いでいくわけであるが、初作から悟るのは、セックスと死で近郊を壊していくタイプの作品だなと予感したら、そのとおりだった。

    R-18小説の賞を取ったことの有る作者ということで、セックスの描写は僅

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    2024年02月02日
  • わたしのいけない世界

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    お金持ちの女の子は欲しいものは何でも手に入れそれが当たり前だった。両親に犬が欲しいとねだった時2人とも野蛮だからと認めなかった。
    虐待されている男の子と出会い助けたい気持ちと欲しい気持ちが混ざって軟禁をする。
    ねっとりした感触の小説だった。

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    2023年07月01日
  • わたしのいけない世界

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    「アルバローズの床」
    「わたしのいけない世界」
    「明るいひかげ」
    「わたしの素敵な世界」
    四話収録の連作短編集。

    終始不穏な空気に包まれていた。

    小学6年生の志摩佳月は、ある日、虐待の痕が残る小学1年生の柊を拾い、自宅の地下シェルターに匿う。
    一見善意の行動に思えるが、佳月の行動には支配欲や執着などの危うさが感じられる。

    15年の時を経て再会した佳月と柊。
    佳月の夫で幼馴染の琉人も加わり、掴みどころのないこの三人が一体どこへ向かうのか全く予測不可能な展開だった。

    人の心の奥深くに潜む邪悪な欲望を覗き込んでしまった様な読後感。

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    2023年06月06日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    結婚をテーマに7人の作家が描いた作品の作品集。「黒い結婚」「白い結婚」と分かれていて、闇っぽい話の黒と、ポジティブな感じがしないでもない白。私は順番に黒から読んでいたが、もうずっとなんだか重たいもやがかかっているみたいな感覚だった。いわゆる理想形みたいな夢見る結婚、みたいなのが出てこなくて、結婚って碌なことないなと思いつつ、色々なことがありうるんだなぁとも思った。最後の「いつか、二人で。」でそれまでのどろっとしたもやもや感が救われた感じがする。

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    2023年03月26日
  • 神様たち

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    「デイドリーム・デイ」「いたいけな旅」「チャーミング・マン」
    「ゆびさきの夜」「神様たち」
    パワースポットを舞台にした5話収録の短編集。

    神やパワースポットからイメージする神聖な物語ではなく、性に貪欲であったり自由奔放とも思える女性達の姿と、歪んだ性癖を持つ男性の姿が描かれている。

    森美樹さんの作品はいつも気持ちがザワザワして落ち着かない。

    本作も、一筋縄ではいかない人間関係に気持ちがざわめき、それぞれの物語が見せるラストの反転に驚かされる。
    しっとりとした静けささえ感じる文章だが、生と性への確かな熱量を感じる一冊。

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    2023年02月17日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    可愛らしいジャケットデザインに惹かれて読みました。

    黒い結婚と白い結婚、
    それぞれ上下逆になっていて
    どちらからでも読めるのが斬新で面白い。

    『結婚』をテーマに
    様々なテイストの作品を読むことができる。

    特に印象に残っているのは
    白い結婚『いつか、二人で。』。
    ちょっと世にも奇妙な物語っぽさがありつつ
    あたたかい気持ちになる作品。

    これで終わり〜!?と思わず
    突っ込みたくなる作品もあり
    登場人物のこれからを
    勝手にイメージせずにはいられなくなる。 

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    2022年01月27日
  • 主婦病(新潮文庫)

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    金髪で細身、黒い服を着ている若い男を見るとなにか沸き立つものがあるのはわかる。
    私なんかテレビ越しで見ててもそうなのだから、直接見たらそりゃ「日常の亀裂」と感じるほどの衝撃があるのもわかる。
    でもそれは毒だ。と、私は判断している。
    そうして決めつけて、律しないと後々足場が崩れ立っていられなくなる。
    私もたぶん「主婦病」なんだな。

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    2021年08月04日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    結婚して半年経った頃に、本屋で目に止まり買った一冊。
    ふつうの結婚生活って?自分たちは大丈夫?と不安になったときに心強い一冊でした。
    いろんな人生から結婚を見つめられて面白かった。

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    2021年07月31日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    黒い結婚編と白い結婚編が上下逆になっており 前後どちらからでも読める様になっています。

    私は白い結婚編から読み始めましたがお気に入りは瀧羽麻子さんの「シュークリーム」

    黒い結婚編では窪美澄さんの「水際の金魚」

    7編の中にはシンミリ来る物、ぶっとんだ物、リアリティー溢れる物、イヤミス要素のある物と様々で、結婚と言う共通したテーマの中にも色々な形が存在し、そのふり幅も広く飽きずに読む事が出来ました。

    結婚は墓場なのか、はたまた楽園なのか、自分自身を顧みながら興味深く読めた1冊です。

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    2021年05月20日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    窪美澄さん目当てで読み始めたけれど、このように色々な作家の作品が読めるのは良い事だ。やはり‘白い結婚’ラスト2話が とても良かった。

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    2020年09月20日
  • 黒い結婚 白い結婚

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    結婚にまつわるアンソロジー。
    黒い方が私は好みだな(笑)

    でも、最後の話はちょっとグッと来た。

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    2020年07月19日