「ぼく明日」の作者の新刊。
前作の「君にさよならを言わない」が酷すぎたので、買うかどうか悩んだ。
しかし、前作のような加筆修正ではなくて新刊だし、イラストが「あの花」だし、やはり「ぼく明日」からの期待を捨てられずに購入。
前作よりはよかった。
ちゃんと情景も心情も描写しているし、たまにくどいが、綺麗な表現が多い。
ストーリーは似ていないが、良くも悪くも「あの花」っぽい雰囲気がある。
田舎っぽい柔らかい雰囲気とか、青春っぽい感じとかすごくいい。
かわいい女の子と自転車二人乗りのイラストってだけで羨望しか感じ得ないし、加えて背中から羽生えてたら、「なんだこれ」って興味もわく。
キャラクターは、「ラノベ」というよりは「アニメ」のキャラクターに寄せていっている印象。
アニメに普段触れていない人にとってはきっとわざとらしいキャラに見えるのだろうが、少なくともあざとさはない。
感情表現豊かな快活な人物像が好き。
前作の悪いところを引きずっているところもある。
会話だけで文章が進んだり、プロットのような淡々とした展開がみられる。
骨組みがむきだしだから、キャラクターの秘密とか伏線も見えすぎていて驚きがない。
もう50P~100Pほど書いて、内容を濃くしてほしかった。
ストーリーは大好物な部類なので、もっと肉づけがうまくいけば大号泣していたはず。
キャラの心情も書けばいいってものではなくて、もっと深いところが見たかった。
振り返ってみると、新海が結局何を考えていたのかはっきりとはせず、優花のあれだけの覚悟を可能にする想いの理由も強く伝わってこなかった。
クライマックスももっと盛り上げて良かった。
あと、秘密が発覚した後の一枚絵とタイトルのページは、なんだかPCゲームみたいだと思ってしまった。
次は「ぼく明日」超えを頼みます。