羽海野チカのレビュー一覧
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あ~、そういや零ってひなたにきちんと好意を伝えたことって無かったっけ?
あの唐突な婚約宣言から色々と、本当に色々と有りすぎてそういった基本的なことが完全にスルーされてたことに全く気付かなかったよ。そりゃ、ひなたは零から好かれてるなんて夢にも思わないよ(笑)
156話からは新登場の棋士、野火止あづさについて描かれている。それこそモノローグをこれでもかと大量に使って描かれている
この流れを読んだ時は登場したばかりのキャラクター、しかも気難しいタイプに何故ここまでの分量を使用するのかと思ったものだけど、15巻を通して読み終わった際には何となく見えてくるものが有った気がする
この巻では初出のあづさの他に、しっかりと描かれるのは何気に初な田中太一郎七段も登場する
それらの描写の中で読者に伝わってくるのは二人の棋士としてのスタンス。15巻では二人のスタンスをかなりのページ数を割いて描いている
だからこそ、その後に続く零のモノローグが光ってくる
二人の棋士が描かれることで、零の棋士としてのスタンスが見えてくる
天才と持て囃されていたあづさは新たに若い世代が登場して「終了」というシールを貼られても、晴信に負けても、そして零に負けそうになっても盤上の生き死ににしがみついて戦い続ける
50歳を超えて調子を上げてきた田中。彼は病弱な子供二人を育てながらの棋士人生であったと明かされる
共働きの夫婦で子供を育て、棋士として戦い続け。人から何を言われてもその生き方を変えること無く、そして子供を育てきるのを待っていたかのように更なる力を身に着けた
これってどちらも零に通ずる部分を持っている
零は生きるために将棋を始めた。だからなんとしても将棋盤にしがみつかなければならなかったし、その為に幸田家の本来の子供たちを押しのけてしまった。それでも将棋にしがみつくのを止められなかった
零は居場所を得るためには将棋に全力を注ぐしか無かった。だから川本家の温もりを受けながらもその温もりが頭を占める事で自分の棋力が落ちるのではないかと恐れた
でも、あづさも田中も零のように追い詰められるような理由なんて持っていないのに、零と似たような心境を懐き棋士として生きてきた
二人の在り方に向き合ってしまった零は自然と自分の在り方を見直さざるを得なくなる。だけど、以前のように自分の事だけ考えて将棋盤だけ見ていれば良かった頃の零とは違う。どんなに暗い思いを抱えてもついひなたたちのことを考えてしまう。それは一種の弱さかも知れないし、逃げなのかもしれない
でも、それこそが零が手にした変化であり、守りたいものであり帰りたい場所の象徴なのだろうね
慣れない変化に戸惑う零に「手放しちゃ駄目だ」と諭した林田先生はやっぱり良い先生だなぁ
様々な戦いを通して、父の居た場所に触れた零。思わぬ所に家族の温もりはあったようで。でも、その温もりは既に失われているわけで。
失ってしまった温もり、これから手にするかもしれない温もり、手にしたい温もり
零の心境について大きな変化が有ったのだと伺わせる良い内容の巻でした -
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引き続き勝手にあかりの伴侶を見つけようとする零
林田先生、島田、あかり三人の繋がりは零の知らぬ所で始まったかと思っていたけど、零はきちんと把握していたのか。そして把握した上で更におせっかいを焼くのか
零にとってあかりはとても大切な人で、林田先生と島田は零にとってとても信頼できる相手で。零からしたらあかりを任せるに最も相応しい相手ということなのだろうね
ただ、やっぱりそれってかなりおせっかいな行動なわけで。しかも林田先生と島田には零の魂胆は丸見えだったのか(笑)
それでも釣られてしまってあかりにアピールせずに居られない二人の姿には笑ってしまうが
でも、大人の男には簡単に恋愛とか始められないのだという面も描かれているのは面白い。これまで将棋漬けの人生で、天才肌ではないから死物狂いの努力を続けなければならない島田にとって恋にうつつを抜かしている暇はないのは哀しい…
そんな島田と、島田のスタンスに感銘を受けてしまう林田先生。この二人って確かに人間性は優れていると思うのだけど、なんと言うか、恋愛レースをさせるにはあまりに不適当な気がしてきたよ……
それでも恋愛レースは島田が優勢なのかと思いきや、ひなたから驚きの発言が…!
もはや零がひなたに対して恋愛的な意味で距離を詰めるのは難しそうな気もするし、もしかしたらもしかしてしまう……?
148話から描かれるのは文化祭…と思いきやまさかの職団戦。おまけにハチクロメンバーが特別出演するというのもまさかの展開だったよ
話としての面白さよりもそういった特別感がマシマシになっていたエピソードだったように思う
でも、このエピソードで一番のインパクトだったのってゴリラだったような気もしてしまうが(笑)
読者が思わず昔を振り返りそうになる風景の中で零もひなたと過ごした一年間を思い出し、彼女の控えめな誘いに込められた想いの丈を察する展開は良いね
零が走って帰っても文化祭は殆ど終わってしまった。けれど、走ったことで楽しい文化祭の中で可愛らしい衣装に身を包んだひなたのもとへ駆けつけることが出来た
学校が楽しいと伝えられたひなた、その言葉を受け取った零。それだけで良い文化祭であったと思えるシーンだったね -
Posted by ブクログ
ネタバレ3月のライオンはただの将棋漫画ではないのです。
読み手側の心の奥とかそういうある部分が大きく揺さぶられて削られるような漫画だといつも思う。
台詞ひとつひとつにガツンと殴られ引っ張られることが多々ある。
内容の感想がかけねーわ笑
内容とは関係ないんだけども
私の愛犬が旅立って悲しんでいた数日後にブンちゃんが旅立ってしまって、とてもとても辛かった。
ライオンを読み始めたころから見てきたブンちゃんがなくなってしまうことや、そのくらいの月日がたったこと、
直接ブンちゃんを知っているわけではないけど、大事な家族を失う辛さがダブってしまってとても苦しかった。
愛犬や愛猫、自身の親が老いるということは自分も老いていくということ。
長い間読んでいるとお別れやさみしいことが増えるよなあと改めて思った。 -
Posted by ブクログ
あかりを巡る恋模様が零も、そしてあかりすら把握しない内に穏やかに進む様子が心地よい
あかりとの相性、そして人間性。どちらをとっても島田の方が良さそうなのだけれど、林田先生のあのような心理描写をされるとつい林田先生を応援してしまいそうになるのは判官贔屓によるものか
…いや、流石にねぇ、あかりの前だけでなく零の前ですら格好をつけられないというのは逆に応援したくなってくるよ
そんなこんなもありつつ、始まるのは東洋オープン戦
零と晴信はいつもの如く別のブロックに居るのだけど、あの晴信が零の対局を楽しみにしつつも同等かもしくはそれ以上に楽しみにしているのが宗谷との対局と来たものだ
零もかつては宗谷との対局を前にして不思議な感覚を抱いていたものだけど、晴信もそれは同じなのか。やはり道を極めようとしている人間にとってその道の頂点にいる人間に挑める機会というのは特別なものなんだな
いやぁ、それにしても此処まで輝く晴信って初めてじゃないか?
生きる行為と将棋を指す行為が密接に絡みついていた彼はこれまでも素晴らしい対局模様を何度も披露してくれたけど、宗谷との対局はそういった類ではないように思えた
宗谷との対局を通して晴信が訴えてくるのはな「自分の持てる限りの力を全てぶつけたい」というとても単純で純粋な想いだ
そして、晴信のやる気に釣られるようにして宗谷までその気になるというのがこれまた……
なんて素晴らしい対局だ…と思っていたら、まさかの展開……
あの瞬間に3人の棋士が差し出した手。晴信にもっと戦えと訴える宗谷の手、倒れそうになる晴信を支えようとする後藤と島田の手。どちらの手にもとても深い想いが籠もっていると伝わってくる描写
読者からすれば尻切れトンボに思える展開。
しかし、宗谷からすれば続けていれば自分が勝てたとの確信も有るし、晴信は不戦敗で最後まで指せなかったのにとても楽しそう。そんな晴信の表情を見ていたら、余計なことを言うのは野暮だよねと思い直してしまうね
そして137話と138話で描かれるのはまさかの滑川の話
彼については自分の中で完全にギャグ世界の住人として扱っていただけにこのように彼の内面を掘り下げる話が描かれるとは思わなかったよ
というか、弟さんの前では普通の顔で話せるのね。それも意外だった
多くの死に接しているから輝くような命の煌めきにも目を向けられる。彼の人生観、そして将棋観が見えてくるような話だった
そしてこの巻のラストで超久しぶりに登場した香子さん
好いている後藤が大切にしている相手が亡くなろうとしているのを見てようやく幸田家にやってきた当時の零の心境に気づけた香子
それはとても遅く本人の居ない所での気付き。香子はもはや取り返しがつかないと考えているようだけど、どうにかしてやり直す機会はないものだろうかとつい思ってしまう -
Posted by ブクログ
前の巻がストレス値高めな内容だった反動か、この巻は随分と読みやすい内容に
対局も2つ描かれているものの、どちらもコミカルな内容になっているね
11巻ラストで暴走状態になっていた零は頼まれても居ないあかりの伴侶探しなんて始めたのだけど……
よくよく考えればあかりって充分美人さんなんだから零が余計な気を回さなくてもある程度の出会いさえあれば普通に伴侶は見つかる気がしてしまった
この巻だけでも以前からの知り合いである林田先生に留まらず、島田とも出会いがあったわけだし
雷堂と土橋の対局。雷堂は非常に口が回るタイプであるから彼が登場するだけで人物達の遣り取りは様々な動きを見せている。そして鹿児島の雰囲気を充分に受け継いだ猪突猛進型な彼だけど……
幾ら何でも相手が悪かったのか?雷堂の思惑を次々と外す土橋は面白くて恐ろしい。というか土橋はまた意外な面を見せたね。初登場シーンの時と今では彼の印象はだいぶ異なるなぁ
また、意外と言えば雷堂と彼の妻の様子
以前の雷堂の話から夫婦仲は冷え切っているかと思いきや、まさかの愛情の深さを奥さんは見せたね
あかりたちも指摘しているけど、前の巻で川本父の不倫を契機に川本家の崩壊が描かれただけに、全く異なる道へ至った雷堂夫妻の様子は印象的
どちらが正しいとか、こうすれば良かったなんて指摘するのはきっと余計な話で。ただ、選んだ道の先で満足行く結果を残せるかどうかが肝要なのかもしれないと改めて思った
そして122話から零はあの滑川と対局することになるのだけど……
やっぱりいつ見ても彼はキャラが立ってるなぁ(笑)
鳩ぽっぽを歌いつつ何故カラスに餌を上げる(笑)
見た目に反せず滑川の指し方は本当に独特。将棋を知らない自分にもこれはペースに呑まれたら駄目なタイプだと伝わってくる
あの零が何度も滑川の策に嵌りそうになるのは予想外な展開。けれど、その予想外さが重たい展開に繋がらず、滑川のキャラによってほぼコメディ展開になってしまうのはやはり笑ってしまうね
滑川の狙いを外し、綺麗に勝利した零。
これで読者もきれいな気持ちで読み終えられるかと思いきや…
やっぱり滑川ってキャラが立ってるわ~(笑) -
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ひなたが零の居る高校に入学してきたことで零の高校生活も賑やかになるかと思いきや……。そこは流石に変わらないのか…
でも、変わらない日常だけどその変わらない一人の日々に苦しさを覚えていない様子の零は逆に穏やかな表情で学校を生きている
「逃げなかった記憶が欲しい」との想いから始まった高校生活はまさかの「ま、もういっか」という曖昧なものに着地する
でも、そこにあるのはきっと自分を許すとか受け入れるといった感情であり、曖昧であっても自分の気持ちの収まりどころを見つけられたからこそ、今の高校生活の在り方にも納得を得られたのだろうな
だから今の零なら飛び出すように逃げ出した幸田家にも再び戻ることが出来る。穏やかな表情でお茶を飲むことが出来る
でも、幸田母の方はまだ将棋に人生を預けた零の在り方を上手く受け入れられないままなのかな?
それでも幸田父と零のリンクする部分を見つけられたように、夢の中で他の子供と零のリンクする部分を見つけられたならその内、家族として向き合える日が来るのかな?
そうして零の成長の証を描いた後に102話から始まるのは川本家の問題……
いやぁ、あの父は酷いね。かなり強い毒を持っている
香子も毒を持った人物だったけど、その毒は零や幸田父に向けられており相手に振り向いて欲しいとの気持ちも混ざっていた
けれど、この川本父の毒は生易しい毒ではない。腐った毒だ。一緒の空間に居るだけで心まで汚染されていくような…
そんな人物にひなたとモモだけで向き合うなんてさせてしまってはいけなくて。ひなたの纏う空気、あかりからのSOSを正しく受信した零の対応は素晴らしいもの
まるでいじめ問題の際に自分が思ったようにひなたを助けられなかった悔いの気持ちを此処で発散するが如く機敏に動く零の姿は頼もしい……って、とんでもないこと言い出したよ、この人は!
SNSでプライバシーを大量に集めたと思ったら、確定申告見せて自分は養える側だと示すに留まらず、とんでもない爆弾発言を放ったね!
零の仕返しが始まった途端に毒に汚染されていた空間があっという間にいつもの川本家に戻ってしまったような気がするよ!?
川本父が登場した時はあまりに根深い問題に外野の零に出来ることなんて無いだろうと悲観していたけど、一気に光明が指したように思えた
これも零の精神が色々と成長したからこそ出来ること…なんだろうか(笑) -
Posted by ブクログ
タイムアップを迎えてしまった高城と国分の面談。口から出る言葉には反省の色は全く無いままの彼女
それでも国分が去る場面ではまるで置いてかれた小さな子供のような目をしているように見えた
季節が巡り中学生たちが高校生になったことを考えれば高城が再登場する可能性は低いように思う。それでも彼女の中で何かしらの変化が起きていて欲しいと願ってしまう
一方で本格化するのはひなたの高校受験。
いじめ問題で彼女の中では学校は楽しい空間ではなくなっていた。そんなひなたに対して高校の楽しさを教え、勉強も教えた零は偉いな。
いじめ問題の時は何も出来なかったと悔やんでいた彼だけど、だからこそまだまだひなたの為に何かしてやりたいと思っているんだろうな
でも、一方で近くにいるから見えてしまうのはひなたにとっての一番が高橋であるということ
此処らへん、零の中で川本家へ向けている感情に全く恋愛感情が含まれていないのか確信が持てないから何とも言えないのだけど、やっぱり零にも「欲」のようなものは有るのだろうか?
いや、性欲みたいな話ではなくもっと相手に欲されたい、必要とされたいといった感情が。
その点では零はまだ飢えているのだろうか
でも、零は気付いていないかもしれないけど、ひなたからすれば零の存在って本当に大きいよなぁ
去っていく高橋、居なくなった母や祖母、高校受験という環境の変化。そんな中で突然現れてからずっと支え続けてくれる零はひなたにとってとても大切で代えがたい存在なのだろうなと思える
心機一転、髪を切って新しい自分になろうとしたひなた。あれは高校生らしくなった……と言えるの…かな?
なんか零には大きくウケていたけど、こういう時零の感性ってどこまで信じられるんだろうか…?
後半描かれるのは二人の棋士の人間性
滑川というあまりにも出来すぎなキャラクター。実際に目の前に居たら不快感がマックスなキャラクターに思えるけど、それでもコラムで触れられているように彼の言った「生きているという事をこんなにも実感できる」とは全ての棋士に共通するテーマなのかもね
……それにしたってもう少し相手にプレッシャーを与えない、というかもう少し穏やかな人相は出来ないものだろうか(笑)
もう一人は土橋。宗谷と何度も争ったという触れ込みで登場した彼は全く人間が見えてこない。台詞もないし、感情が見えるような動作もない。最初のシーンなど思わず「引きこもりの中年男性か?」と勘違いしてしまったほど
それでも少しずつ周囲の人々によって明らかになっていくのは土橋の不断の努力。生活の全てを将棋に賭けるような姿勢は次第に彼こそ宗谷のライバルに相応しいと思わせるもの
あの宗谷が気を遣って虫を外に放るシーンなんて二人にしか通じないものが有るのだろうと一瞬で理解させられる
そして、対局が終わった後にはようやく彼のまともな台詞シーンが有るのだけど…
なんと言うか、のっそりしている人だという印象は変わらなかったのだけど、思った以上に宗谷と意思疎通していると言うか、宗谷と研究会するんだ!?
なんか土橋の人間性も意外なら、彼との絡みの中で見えてくる宗谷の人間性も意外というか……
棋士には色々なタイプが居るのだなと思わせてくれる後半でしたよ