零とひなたの心の距離が縮まった事で二人の心境に大きな変化が見られるね。その内の幾つかは多くのものを取りこぼして生きてきた零にとって掛け替えのない存在になっている描写が良い
無理やり高校に入り直して、川本家との繋がりも切れなくて。そうして積み重なった多くがまるでイルミネーションのように零を祝福している167話は良かったなぁ
それもあってか、この巻では人の繋がりの温かさを感じる描写が目立つように感じられるね
子持ちになって帰国した為に勘当された元教え子を引き受ける宗谷の祖母、年始の恒例行事としてジグソーパズル&お菓子の山に沸く川本三姉妹、卒業後は三日月堂で働いて人の休める場所を作りたいと語るひなた
と、温かい描写の数々にほろりと来ていたら、さらっととんでもないシーンが挿入されてましたよ!え、君等もうそこまで進展してたの!?155話で告白した場面は有ったけども、そこから二人の仲が進展していると伺わせる場面は無かったものだから、とてもゆっくり進んでいるものかと……!
これも零が手にした一つの温かさということなのだろうなぁ
零が手にしたもの、零に関わる人々が手にしたものが描かれるその一方で、零に自分の気持ちをもっと訴えて欲しいと請い願うひなたの姿は印象的だった
これまでの零は取りこぼしたものが多すぎて、それを手にして良いのか、手にする時はそっと掴まないといけないのではないかと恐れてばかりだった
けど、今の零は既に大切なものを幾つも持っている。それを無くさないようにするのも大事だけど、大切なものたちに自分の大切を分け与えたって良いんだよね。時には将棋の勉強をしたいから今日は都合が悪いとか言ったって良いんだよね
手にするばかりの時間は過ぎ去り、誰かと共有する時間が始まったように感じられた
獅子王戦のトーナメント。零が勝ち進んでいるのは以前から描かれていたけど、島田研も勝ち進んでいたというか全員一塊になって島田への挑戦権を得ようとしている構図がウケる(笑)
おまけに最初に当たった二階堂と重田の対局が顔力とゴリ押しパワー満載ってどういうことなの(笑) 損得ガン無視の将棋を妙に零が評価しているのも面白ければ、対局後の二人はあんな将棋を指してしまったと本気で後悔しているのも面白い
でも、そこには長い時間を共に研究に費やしてきた仲間意識と競争意識とそして焦燥感が綯い交ぜになっていたと思えば理解できるか。絶対に負けたくない、どうにかしても勝ちたい。そういった溢れるばかりの想いによってあのような乱戦が展開されたのか
そういった背景を理解しないままに中飛車を仕掛けた零で綺麗にオチるのがまた素晴らしいのだけど(笑)
でも、こういった表面的なギャグの裏に潜む変化や成長を読み取れる辺り、零にとって二階堂は最高の好敵手なんだよなぁ
零が将棋を始めてそれ程経っていない時期も、暗闇を共に突き進む時期も、そして零が温もりを手にしていく時期も知っている二階堂。そんな彼だからこそ、零が今どのような心境に居るのか読み取れるのだろうね
新しいスタート地点に立った零を二階堂が盤面を通してどのように祝福するのかなと次巻の内容が楽しみになってしまう