八木荘司のレビュー一覧
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ネタバレ大海人皇子と大友皇子の皇位争いの壬申の乱。面白さはない。歴史的解釈は面白い。蘇我家の陰謀の最後のあがきである。
これまでの大和シリーズが冒険譚なところがあって胸熱い面白さがあったから、期待と違って、自分勝手につまらなく読んでしまった。
でも、その大和シリーズの続きであるこの壬申の乱についての本は絶対読みたかったので、満足である。
壬申の乱は天智天皇の跡継ぎを弟と息子のどっちが継ぐかを争ったものだと思っていた。教科書にはそうとしか書いていなかった。
しかし、そうじゃなかった。という見解。
すごい納得がいった。天皇というのは神輿として担がれるだけの存在だからね。その背後にいるものが絶対にいるのである。その辺がわかったので面白味があった。救いである。
この後の時代の本も読みたい。
まぁ、永井路子による持統天皇の時代の話「茜さす」を前に読もうと思ってなんか自分に合わなくてギブアップしていたんだけれど、またチャレンジしてみるかな。壬申の乱の背景も分かれば読めるかもしれないし。 -
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ネタバレ良い。実感の湧かない飛鳥・奈良時代を躍動感あふれる描き方をしている。高向玄理らが主人公というのがポイントだね。この時代はつい聖徳太子に目が行きがちだけれど、彼らに焦点を合わせることによって当時の国際問題も取り上げられているし、当時の面白い所を漏らすことなく描けている。
本当、もれなく面白い。
日本史の授業ででてくる影の薄い、高向玄理や旻や南淵請安ら渡海学生たちについて知りたくて読み始めたのだけれど、大当たりだった。まだ先は長くて飽きる人が多いみたいだけれど、今はそれを感じない。隋に対する革命の要素があって、適度なバトル物だから胸熱。
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p16 高向玄理の出自
河内の高向の貧しい帰化系技術集団の中で育ち、その英知を認められ学生になるまで、非常に貧しい暮らしをしていたようである。
p35 盗まれた国書
小野妹子はかの有名な「日出処の天子…」の国書を隋帝に提出しに行った帰りに、隋帝から返事の国書を預かっていた。しかし、帰途、百済に寄った際に何者かにかすめ取られてしまっていた。大問題じゃん!!
そのため小野妹子は流罪の刑にあったが大赦を得て、この小説のように再び高向玄理らと隋に派遣されている。
p40 蘇我氏は新羅寄り
蘇我氏は新羅寄りの人間で、日本の国政を新羅有利に進めようとしていたという説。新羅寄りというのは、新羅が蘇我氏を使って日本を味方につけようとしているということでもある。当時の日本は百済、高句麗寄りの政治を聖徳太子をリーダーに進めていた。
p51 舟
煬帝のつくったお城のような巨船「竜舟」船の長さは100mをゆうに超えて、運河の両側に作られた御道に千人もの人足に引っ張られて運河を移動する。水上の安房宮と玄理に思わせた。
p89 裴世清の派遣ってすごいことだった
超大国である隋から日本という海を隔てた小国に裴世清という大使(13人もの使節団を率いて)が派遣されたというのは、それほどのVIP待遇がされるだけの理由があったはずである。
その事実から推し量ると、小野妹子が紛失した国書の中にはよっぽど重要なことが書かれており、その返事を受けるためにわざわざ大使をつけて小野妹子を帰国させたのかもしれない。
この頃の隋の対外政策を考えると、紛失した国書の内容が推察される。煬帝は高句麗遠征を精力的に行っていた。ということは、高句麗にとって隋と闘っている背後に脅威があってほしくない。日本は高句麗の脅威になるよう、隋と同盟を組むよう国書に書いてあったのかもしれない。かもしれない。かもしれない。
p118 隋から日本を護れ
もし高句麗が隋に敗れたら朝鮮半島は怒涛の勢いで隋の勢力圏内に入る。その次に待つのは海を隔てた日本が隋に席巻されるだろう。
そういった未来を防ぐために、隋にいる革命勢力を支援すること、壁になってくれている高句麗を支援すること、高句麗の背後を脅かそうとする新羅をけん制すること、、、日本はこれらの方策に取り組まねばならない。
しかしその最大の障害になるのが、蘇我氏である。絶大な権力を握る蘇我馬子が日本の最大の敵になっているとは…
p123 崇峻暗殺
崇峻天皇は暗殺された。いまでも公式には東国の民が犯人とされるが、真実は蘇我氏がやったとみんなが知っていた。馬子は倭漢駒を使って天皇を暗殺した。
p136 雀のごとし
蘇我馬子は小柄で色黒な細面のおっさんだったらしい。物部守屋が馬子の太刀を佩いた姿を見て「猟矢負える雀のごとし」と言っている。
彼は武官などではなく、知力と政治力と経済力でのし上がってきたタイプなのである。
p141 小野妹子の罪
小野妹子が煬帝の国書を紛失した罪は聖徳太子によって大赦を得た。しかし、蘇我馬子は自分のおかげで妹子は助かったのだからと恩着せがましく迫った。
p165 崇峻天皇暗殺の理由
公式の理由は胡散臭さぱない。崇峻天皇が暗に蘇我氏を排斥したいというような言葉を吐いた。それに危機感を覚えた蘇我馬子が自衛のために崇峻を討ったという。
証拠もない嫌疑で天皇を殺すとかありえない。もっとまともな嘘をつけよ。
p224 経済の者こそが力を持つ
蘇我氏は経済力によって台頭した。それゆえに金によって歪んでしまった。とはいえ、大伴金村や物部守屋など軍人が経済の人間にやられているのだから、変化の時代だったことを表している。
蘇我氏は新羅から賄賂を受け取っていたが、巧妙に横領をしていた。新羅からの日本への供物を受けるのは屯倉を管理していた蘇我氏である。新羅の使者は倉庫に入った供物がそこから何割が朝廷に運ばれるかは知らんぷりした。つまり、その削った分がそのまま蘇我氏に横領されていたのである。新羅の南にある任那は金の産地だったから大量の金の延べ棒をもらっていたようだ。
p267 曇徴の役割
慧慈は高麗からの渡来の僧で、高麗王:大興王との繋がりもある。その彼から小野妹子は紛失した国書の内容を聞いた。
紛失した国書は大興王のもとにきて隋の戦略を把握した。それを大和に伝えるために雲徴に持たせて慧慈に伝えたのである。曇徴は製紙法だけでなく、もっと大事なものを持ち込んでいたのだ。という説。
p279 国書を失ってよかった
聖徳太子曰く「国書は無くなってよかった」という。もし国書が直接推古天皇に渡っていたら、日本は隋に味方するか、敵対するか、運命の選択を迫られていただろう。裴世清らの使節もいるから、返事を避けることはできない。それならいっそ紛失したということで、随意に協力するかの返答を避ける方が得策だったと言うのだ。すごい、超政治的な判断だ。小野妹子から国書を盗んだものも、これを狙っていたのかもしれない。
p334 煬帝のせい
隋軍が遼東城に攻め込んだ際、その戦力差を恐れて降伏する者がたくさんいた。中国らしい寝返り戦術である。中国の武将は強いものにつく。寝返ったものが次の日には敵の最前線でこちらに攻めてくる、ということも茶飯事である。そういう国である。
しかし、煬帝はあまりに管理主義で上意下達を厳しくしすぎた。戦略上、なにがあっても勅命を得てから行動しなくてはいけないと規則を作った。そのせいで、敵の降伏を受け入れるのにも勅命が必要で、その返事を待っている間に降伏が無しになってしまうことがしばしばだった。
p342 食糧の問題
餓えた兵は、敵の町を奪ったら即座に略奪漢になって血眼で物を奪い漁るだろう。戦争は兵士を餓えさせる。それによって死に物狂いで敵から奪おうとする。戦争は餓えの問題とも考えられる。
p388 革命に大義はもてない
革命は大義のもとに集まるものだが、それを成就させるのに正義はいらない。正義だけでは大志は達成できない。
楊玄感は言う「大義では食えぬ、大義では兵は集められんのだ。勝ち続けること、兵を食わせ続けること、この二つによってだけ革命は成される。」
確かにきっかけは大義で集まっても、そこに賞賛が無ければ革命軍という烏合の衆はすぐに離散する。
革命は大義を持つが、大義でやるもんじゃない。深い言葉だ。
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後半の中国の合戦の話が面白すぎて、日本の飛鳥時代が題材の小説だということをすっかり忘れた。
でも続きが非常に楽しみな終わり方だ。すぐに読もう。 -
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全2巻。
「遥かなる大和」「大和燃ゆ」と合わせて三部作。
二作目。
中大兄皇子と中臣鎌足による大化の改新。
そして半島・大陸に対する大和の外交政策の物語。
これはよいのでは。
三部作で一番。
大化の改新っが最初はテーマになってて、
メジャーな事件ってこともあって結構引き込まれる。
が。
上巻で大化の改新は終わってしまう。
後半どうするつもりかなと思ってたら
前作「遥かなる大和」で活躍した留学生・玄理が中心として
大陸に対する外交戦が繰り広げられる。
前半の大化の改新では、
友情との葛藤や、ミステリーのような計画性、
後半の外交では、
友情の尊さやハラハラする政争など、
結構読みどころも多く読者を離さない。
冷静にふりかえってみると、
前作「遥かなる大和」や次作「大和燃ゆ」と同じく、
忘れられてしまうキャラや、
前半と後半で違う小説を合体させたような、
別の話感はやっぱりある。
が、
前作から続いた物語の、3巻・4巻として読むと、
最後のクライマックスにはグッとくるものがある。
遂にここまで、と。
三作目「大和燃ゆ」も
このまま再読してみよう。 -
購入済み
む~ん
書評に導かれて読みました。期待しすぎたのか、この時代に興味を持っていたことから色々と雑ながら知見をあることが邪魔したのか正直に言って、私には面白く読めませんでした。最後が、「えっ! そんなこと」でした。
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ネタバレ李淵が唐を建国し、聖徳太子が死に、高向玄理らの留学生が帰ってきた。次の「青雲の大和」シリーズに続く。楽しみ。
風呂敷広げすぎな感じはあるけれど、それほど当時の社会が国際的に複雑に絡み合っていたということで、面白い。
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p52 唐の軍団のすごいところ
李淵・李世民の率いる唐軍は非常に統率のとれた軍団だった。それに倫理的にもとても統制が取れていて驚きだった。唐軍は略奪をしなかった。それがどれだけすごいことか。
略奪は戦傷者の当然権利と思われていたし、そもそも食糧とかギリギリの中で戦争に臨んでいるため、略奪をしなければ食っていけないことがほとんどである。もし略奪をしないで済むとしたら、それほど行軍に補給が余裕があって、精神的にも高潔な人間教育ができている、そんな軍団だ。それほど豊かな軍団を組織できたということが驚きだった。
そうなんだ。戦争で一番悲惨なのは略奪とかでコラテラルダメージを受ける非戦闘民なんだよね。
p58 留学生の優遇
中国では留学生が優遇され、新国家である唐軍も留学生である高向玄理や旻らを丁重に扱った。というのも、留学生は諸外国とのパイプである、そのパイプは王朝が諸国の王であるための重要な存在である。だから、大事にされる。王朝に大事にされるということは、その留学生に恩を売っておけば昇進の武器になる。だから大事にされる。
p59 李世民
臆病で引っ込み思案の李淵が隋を裏切って唐軍を決起させたのではない、若干二十歳の次男:李世民が裏で糸を引いていたのである。
李淵が決起を決意したのは失敗逃れからである。突厥討伐に派遣した武将がボロ負けして帰還したため、その責任を取るくらいなら反乱を起こすしか生きる道はない、そう李世民に焚き付けられて挙兵した。らしい。
p114 留学生は決めねばならない
留学生は勉強するだけでなく、外交上のキーマンである。彼らは常に外交方針の総意をまとめて、それに則って行動しなければならなかった。だから、この隋から唐への激動の時代の留学生は大変だった。李密につくか、李世民につくか、それによって新時代の日本留学生の立場が大きく変わってしまう。より優勢の方に就く、小賢しいが、それが必要だった。
p154 横取り
蘇我氏は隋の侵攻のどさくさに紛れて高句麗を滅ぼそうとしていた。それによって百済が朝鮮半島を征服できるよう考えていたのであろう。しかし、隋が滅ぶのが秒読みになったこの時点で、転身を図っている。
高句麗は隋が滅んだ今、同朋の日本の特使に戦勝報告に来る。普通なら小野妹子ら聖徳太子の一派が受ける高句麗からの報告だが、蘇我氏はその手柄を横取りしようとしていたのである。
p166 蘇我殺し
聖徳太子の望みは推古天皇の君主制であった。一君万民の国家制度を作ることで社会にあるあらゆる対立を解消しようと考えていたに違いない。それで困るのは蘇我氏である。国民軍が編成されるとなれば蘇我氏の私兵は解散させられる。その前に蘇我氏は妨害してくるだろう。そして…
p380 聖徳太子、死す
壬午(622)年二月二十日、聖徳太子は48歳で亡くなった。おそらく蘇我氏に毒を盛られて、、、
聖徳太子に「徳」の文字がついていることには怪しまれている。皇族で徳の字が諡号で送られている人はたいてい非業の死を遂げている。ということは…聖徳太子の死に方も実際こういう感じだったのかもなー。
p389 玄理は李世民きらいだった
李世民は李淵の後継者争いで、兄と弟の血縁を根絶やしにした。幼い子供たちまでも。玄理は大陸の冷血さに嫌悪感覚えたのである。李世民は稀代の英雄と言われるが、力で何でもねじ伏せようとする権力者であり、そういう人格者が国家の統治者になることへの疑問をぬぐえなかったのだろう。そして、大和の聖徳太子と比較していたのだろう。
p392 旻
日文は高向玄理らよりも先に帰国していた。そして、名を漢風に「旻」と改めていた。旻とは、澄んだ秋風という意味がある。
p393 中臣鎌足
旻は自分が学んだ学問を教える塾を開いていた。そこには蘇我入鹿や中臣鎌足がいた。という設定。
これは本当かわからないが、日本に律令制度を作った中臣鎌足は彼ら留学生に学んでいた確率は非常に高い。無きにしも非ずなことだろう。
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彼ら留学生は隋~唐の激動の時代に大陸で学んで、それを日本に還元した。それは乙巳の変の後に生きてくる。そういう長い目で見て、この物語は非常に面白い。
次巻の青雲の大和も楽しみです。 -
Posted by ブクログ
全3巻。
「青雲の大和」「大和燃ゆ」へ続く、
著者古代史三部作の1作目。
聖徳太子のもとで、
日本を新しい国家へと生まれ変わらせようと奮闘する
遣隋使・小野妹子と、
旧体制の権化とも言うべき蘇我馬子の政争を、
大陸、朝鮮半島の事件を絡めて描くスケールの大きな物語。
先に読んでしまった「大和燃ゆ」にくらべ、
日本語の変な言い回しや忘れ去られるキャラが少なく、
登場人物のメジャーさもあって結構引き込まれる。
が。
物語は前半・中盤・後半と、
焦点の当たっている事件が移り行くのだけど、
中盤は完全に中国の物語になってしまっている。
それが必要だったとはいえ、
ちょっと深入りしすぎな気がした。
途中に別の小説が挟み込まれてる感じ。
そのせいで、物語の背骨と言うか、
全体を通した物語感が少し弱くなってしまった気がする。
登場人物達への感情移入が阻まれ、
いまいちのめり込めなかった。
とはいえ、
いろいろと考えさせられた物語ではある。
国家の中枢に反国家的な物欲主義の政治家がいたり、
中国の周辺国に対する姿勢だったり、
半島の国々の処世術だったり、
いまの世の中に置き換えて読むことができる。
小説とはいえ、
どんな昔からそんな事してんのよと思わずにはいられない。 -
Posted by ブクログ
全2巻。
古代史。
蘇我入鹿と中大兄皇子の時代、
中国・唐による朝鮮半島侵攻と
それに対する日本の動き。
「こんな面白い古代史は読んだことがない」的な
帯の文句につられて読んでみる。
が。
ワクワクしたのは上巻の前半まで。
意図的なのか、違和感のある日本語のセリフ回しや、
メインで活躍してた登場人物がいつのまにか居なくなるとか、
物語として気になる部分が段々増えていって
あまり引き込まれなかった。
でも古代史読むと、
昔の日本はグローバルだったんだなあとつくづく思う。
王朝と大陸の間の歴史が、まだ遡れる時代だからか。
そしていつの時代も中国は中国で、
女は女だなあと思った。
なんだか三部作の完結編だったらしい。
とりあえず前二作も読んでみよう。 -
Posted by ブクログ
西暦404年、高句麗の英雄・好太王談徳は、百済北部から自国へ侵攻してきた倭軍と対峙していた。
百済と同盟関係にあった日本は大規模な出兵をたびたび起こし、『広開土王』とも呼ばれる彼の圧力をはねかえして、ついには副都・平壌付近まで迫ったのだ。
………その数十年前。日本書紀が伝えるところによる仲哀9年、天皇は突然謎の死をとげる。
「処女の眉のように、海のむこうに見える国がある」
神の意を受けた皇后・息長足姫は、天才的な直感でいまこそ新時代へ向けて、国家運営の舵を切り替えねばならないと決意する。
男装の姿をあらわした息長足姫は、全将兵の前で激をとばす。
日本民族が雄飛するときがきた! -
Posted by ブクログ
壬申の乱後,藤原不比等が政権を握り,大宝律令や貨幣経済を日本に定着させていくまでを描いている。
法の整備と貨幣の流通により日本を国として成立させることを理想としてかかげ,その手腕はまさに驚愕させられるほどである。
持等,文武,聖武天皇も不比等を評価し,高位に上げようとするが,不比等は度々固辞する。それは,父である鎌足が終生,政権トップに立つのではなく,天智天皇の言わば秘書役として政権を動かしていたことに由来するのかもしれない。不比等は,理想の国家の建設が自分の権勢欲によって実効されていると思われたくなかったのだろう。言いかえれば,それだけプライドが高いということにもなる。真に能力ある者は,権力の座につかなくても人を動かすことができ,改革を実行することができるということの体現であろう。
そして,首皇子(後の聖武天皇)が平城京ではじめて元日の朝賀の儀に臨席されたとき,太極殿の前には北は陸奥,出羽,南は奄美大島や石垣島からやってきた人が献上の産物をもって列をなしていたという。このあと,これらの人々には女帝である元明天皇から官位を授けられている。まさに,現在の日本の全域に天皇の威徳が及んでいたということであろう。
これにより日本に最初の国家が成ったというわけである。