赤城毅のレビュー一覧
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ネタバレファンタジーとか歴史ものなどを刊行してきた作家が、本職のドイツ史の知識や経験を利用してものにした、日米開戦に至る、ポイント・オブ・ノーリターンを探る思考の軌跡を記したものです。
ドイツと日本の歴史資料を閲覧した際に、前者は和戦の決断ポイントが明確であるにも拘らず、後者ではいつの間にか状態が悪化しているという印象を著者が受けたことをきっかけに、どうして日米開戦に到ってしまったのかを調べてきたらしい。そしてその結果理解できたことを、ドイツとの同盟交渉やアメリカとの日中仲介交渉などの過程を紹介しながら記している。
序文によると、帝国が崩壊するはずがないという幻想を持っていた多くの人々が、その -
Posted by ブクログ
こ、これは面白いぞー!文庫のオビの
逢坂剛氏のコメントもきっと本心なのだと
思われるくらいに面白い!
歴史の謎+古書の謎+騙し合いの要素が
上手く融合された紛れもない古書ミステリ。
こういった歴史上の謎や疑問点に、筆者が
様々な文献を調べ辿り着いた、少しの嘘や
想像力を紛れ込ませて、謎の解明をして行く
手法の作品は凄く好みです。どこまでが
本当でどこまでが嘘か分からない。それほど
歴史上の謎が本当に謎めいているって事
なんでしょうねー。
たった1冊の古書、寄書が今までの歴史や
これからの国家の在り方などを揺るがす存在
なんて、無条件にワクワクします。ある意味
これも知的な冒険小説なのかも! -
Posted by ブクログ
書物狩人シリーズ、8作目。そして今作が最終巻。
舞台は日本の長崎県五島列島の一孤島。最終巻である今作では、この地でル・シャスールと宿敵ミスター・クラウンの最終対決が行われることになります。今作の主役となる稀覯本は、かつて隠れキリシタンの里となっていたこの島の旧家に伝わる「呪いの書」。私が思うこのシリーズの醍醐味は、1冊の本に隠された裏歴史を知れるところであり、どこまでが真実でどこまでが創作か見極めるのも楽しみ方の一つであったのですが、今回は隠れキリシタンの歴史や風習に関しては興味深く読めたものの、かの預言者との絡みは面白味はあったけれども真実味は全く感じなかったのが残念なところ。あくまでも、