赤城毅のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
古今東西の稀稿本を求めて、書物狩人(ル・シャスール)こと渋めのイケメン半井教授が、虚々実々のやりとりの中で古書の来歴や因縁を暴いていくエンタメ本。4つの短編から構成されている。
「教科書に準拠して」はケネディ暗殺犯とされるオズワルドの話。狙撃場所とされる教科書倉庫が重要な鍵となる。
「神々は争う」はバチカンと福音書の話。正典とされていない福音書の存在がバチカンを揺るがす。
「Nの喜悲劇』はナポレオンとその蔵書の話。本の虫として有名なナポレオンの蔵書の中に、ナポレオンの死に関する重大な事実が隠されている。
「実用的な古書」は中国と領土拡大に関する史書の話。中国の領土に関する歴史的な叙述がある漢籍がイギリスで見つかった。しかしその成立の過程には驚くべき陰謀があった。
こうして列挙してみると面白そうに見えるけれど、深みが足りない。
良い豆を挽いたのに淹れ方を間違えたコーヒーみたいな感じだ。
たぶん歴史好きな人が読むと、どれもある程度は聞きかじりしているような内容なので、それほど驚きがない。解釈に対していろいろ反論したくなる。でも20代で読んでいたら、かなりはまったと思う。事実「実用的な古書」だけはほとんど知らなかったので面白かった。短編じゃなくて、じっくり書いた長編を読んでみたい。
まだ登場人物がキャラ立ちしていない印象を受けるので、馴染んでいけば、もしかしたら面白いシリーズになっていくのかもしれない。自分のお気に入り作家、北森鴻も初めの頃こんな感じだったから、次の巻も読むか悩む。