古賀茂明のレビュー一覧
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元官僚の視点から官僚制度に内在する問題点や官僚の論理を分析し、批判だけでなく筆者の考える処方箋を呈示する。専門的な内容について分かりやすく、読者を引き込む筆力にも驚嘆する。
特に面白かったのは、
・安倍政権を官邸主導ではなく、これと官僚主導のハイブリッドで、国交省など総理の関心がない分野ではのびのびとやれて、関心分野では内閣人事局による支配に代表される官邸支配と忖度が進んだこと
・官僚像を消防士型、中央エリート官僚型、凡人型と三分類し、元々少ない最初の型が組織の論理に絡みとられるなどしてさらに減り、真ん中も官僚の魅力・地位低下とともに減少、ラストの型が増えてきている。この型は、批判されると逃げる傾向にあり弱い。これを官僚性弱説と呼称している。上司の権力、自らの出世、安定した天下りなどが先に立って、事勿れ・忖度主義に陥っていると指摘。
・官僚が勉強会など政策情報を使って政治やメディアを取り込む常套手段を解説
といったところだろうか。最後の提言は、経産省潰しが先に立って現実的な感じがしないが、情報公開や独立したメディアの必要性などはそのとおりと思う。 -
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事務次官の人事権は大臣にあるものだが、実際は官僚が決めて、大臣は承認しているだけ。現職の事務次官は、組織に従順な官僚を後任に決めたら、そのことを印象操作して大臣に伝えて幹部の人事を牛耳る。
大臣はどうせすぐ変わるから、というので官僚は大臣の方を向かずに、事務次官の方ばかり向いて仕事している。次官に嫌われると出世の道が閉ざされる。
課長になるまでは、みんな次官ではなく課長補佐が人事権を握っているし、若い人ほど国のために、と思って仕事をしているが。。。課長、局長になると、いつ次官からクビを言い渡されるか、天下りポストはどこになるか、とビクビクしてしまい上の顔色伺いで仕事するようになる。
官僚の残業のよくある仕事として、国会答弁の想定問答集作りがある。その問答集は、官僚の利権を守るために、自分たちの判断が正しかったと主張できるようにするために、様々なロジックを捻り出すので徹夜仕事。
そして、まだロクに勉強もしていないのに大臣になった与党議員は、その問答集を見ながら答えているうちにいつのまにか官僚の台本通りにシナリオを辿ってしまう。自分の考えとは全く逆だとしても、つい答えてしまう。
天下り先を追加するのも重要な仕事。たとえば、ある問題が起きていて対策のための規則導入、プラスそれの監査機関を新たに作りましょう。それが天下り先になっている!
表向きは綺麗な絵を描いて、その裏で自分たちの省庁の利権を守り拡大することができる人間が、「よくできる有能な官僚」と言われる。
霞ヶ関でも若い人は優秀な人が多いが、出世してやりたいことを自由にできるようになるためには省益優先して評価されなければならないジレンマに陥って、優秀な人は、飼い慣らされていくか辞めていくか。
役所の人事は天下りなくして成立しない。年功序列を何より大事にしているので、局長以上のポストなは空きがなく、必然的に同期の殆どが退職し天下りせざるを得ない。
2009年に民主党に政権交代し、掲げたのは政治主導、脱官僚、天下り根絶‥だったのだが、完全に失速した。大きな理由は、公務員労組の凄まじい抵抗にあったから。公務員組合やその家族しえんしゃなど非常に大きな支持団体で、選挙にかなり影響する。
また、民主党が政権をとったときに「霞ヶ関の幹部官僚には全員辞表を書いてもらう」と言ったが、本当にうまくやれる与党というのは、官僚を退けるのではなくうまく使いこなす政党だ。
民主党は次官会議(翌日の閣議の議題に対する準備会議)を無くして、政務三役会議(大臣、副大臣、政務官の会議)からも官僚を完全に排除した結果、仕事を背負い込みすぎてパンクした。 -
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タイトルの官僚の責任という通り、日本の官僚は責任について考えが甘い、と古賀さんは言っている。
誰でも持っている「人間の弱い部分」について、普通の人間は許されても、皆から税金をもらって、制度をつくったり、実行したりする人たちは心が強くないといけないようだ。古賀さんはそういった部分では非常にメンタルが強いのだと思う。
人間は感情の生き物である限り、組織の内側の人間には嫌われたくないのが普通なので、組織内の人間に嫌われてまでも、国民のために全力を尽くせる人は少ない。
時間はかかるだろうが、今後は古賀さんのようなタイプの官僚が増えてくるのではないだろうか。
また、マスコミの報道などでも官僚は悪人仕立てされることが多いが、悪い人間はごく一部ではないかと思う。善悪の基準にしてもかなりグレーな判断しかできないので、ちょっとでも印象が悪いと悪人扱いされるのもどうなのか。 -
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百点の政策提言、政治提言があると思うなら怪しいと思うべきだと思う。少なくとも対外的な姿勢でいえば、安倍首相は原則的には間違ってはいないが、結果として正しいとは思えない。「戦争はしないが、改革はする」多くの人が求めている当たり前のことが書いてある。そして意外と正しい帰結をこうして出してくる人は少ない。少なくとも、国内政策、政治改革、行政改革については古賀さんの言っていることは正しいと思う。バランスの問題はあるにせよ、今のこの風潮の中で、建設的な批判としての、こういう本が出されることは大切だと思う。なんとなく安倍さんが頼りになると思っている人に、是非、一度読んでみて欲しい。
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表に出ない日本社会の裏側を知ることができる。
暗澹とした気持ちになるけれど、読み、知る事ができてよかったと思う。
「すぐ忘れる」
「他にテーマを与えたら忘れる」
「嘘もいいきれば本当になる」
という保守党リーダーの日本国民論は悔しいけれどその通りだと思うし、現状分析をして自分達がやりたいことをやるために様々な工夫をしている点で、今までの考え方ややり方にこだわっている野党は敵わないと思う
同じ沖縄にいても北のことを想像できない南の人達
関東の人に沖縄のことを考えろと言っても・・・
でも、私は表も裏も知りたいと思うし、子ども達のために安全に暮らせる社会を残したいとも思う -
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著者は、東大法学部卒の元通産(現経産)官僚。
著者は、2008年7月に内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任し、(1)内閣官房に人事局を新設し、これまでは各省庁が独自に行っていた幹部職員の人事を人事局が一元管理すること、(2)国家戦略を立案する国家戦略スタッフを内閣官房に置くことにより、「首相の采配により、人材と資金を必要な分野に重点投入する」ことを目指し、更に、「キャリア制度の廃止」、「官民人材交流」、「年功序列人事の廃止」、「天下り規制の強化」、「事務次官廃止」などを加えて、中曽根元首相をして「これは革命だ」と言わしめた、公務員制度改革案を策定したが、当初改革案を援護していた民主党の反対で廃案となった。
そして、その頃からマスコミを通じて、政府による公務員制度改革を批判することで広く名を知られるようになり、2011年5月に『日本中枢の崩壊』を発表、同7月に本書を出版した。経産省からの退職勧奨を受けて退職したのは本書出版の直前である。
本書では、著者の体験をもとに、主に「官僚はなぜ堕落するのか」について述べているが、一言でいえば、官僚の仕事は成果が測りにくいために、目に見える評価基準として「自らの所属する組織の利益権限(=権限、予算、天下りポスト)の拡大」を追求する、即ち、一般企業の売上げ・営業成績の代わりに利権拡大に集中することになるからであるという。著者の退職に至る経緯を考えると、多少のバイアスは差し引く必要はあろうが、(残念ながら)説得力のある説明と言わざるを得ない。
本人の努力次第で国民誰にでも採用されるチャンスがある日本の官僚制度には良い点もあり、著者は、「少なくとも国家公務員採用試験に合格し、官僚になった当初は、ほとんどの人間が「国のために働く」という志を胸に抱いていたはずなのだ。・・・若手官僚のなかには、まだまだやる気にあふれた優秀な人材がいるのは事実である」とも述べており、国の舵取りに極めて重要な役割を果たす官僚制度が、既得権やしがらみを越えたレベルで適切に改革され、充分に機能していくことを願ってやまない。
(2011年8月了)