高樹のぶ子のレビュー一覧

  • マイマイ新子

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    ネタバレ

    昭和30年の山口県防府市国衙~小三の新子の家は大地主だったが、祖父の小太郎が数学教師で土地を離れていたため不在地主となり農地解放で多くの田を失った。父は大学に勤務して不在のことが多い。直角に曲がる小川に藤と葛の蔓を編んでハンモックを作ったのは、萱で目を傷つけ義眼を入れている祖父の小太郎だ。新子は額にある旋毛のせいで興奮すると前髪が立つ。紡績会社の嘱託医の娘として転校してきた子が香水を付けて登校したのは母親の形見だった。お土産に持ってきたウイスキーボンボンを食べて酔っ払い・防空壕に決死隊を結成して探検して義足の小父さんに会い・原爆資料館ができて初めて出掛け・映画館の子に10円払ってジェームス…デ

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    2017年11月11日
  • マルセル

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    この本、単行本なのだけどBookOFFで360円で売っていた。調べてみた感じ、まだ文庫化されていないのに。高樹のぶ子の小説は一筋縄ではいかない面白さがあるのだけど、簡単に読みこなすつもりだと少しとっつきにくいのか。
    このマルセルはロートレックの秀作で、京都国立近代美術館で盗まれ、8年後にみつかた事件。これを背景にして自分の出目を探ることになる主人公。京都、そしてフランへと何かに惹きつけられるようにロートレックと出生の事実にせまっていく。360円なんてとても思えないこの世界に乾杯したくなった。

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    2015年03月16日
  • 透光の樹

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    桜木紫乃さんが雑誌で名前を出していたので読んでみました。印象に残る本でした。表現がよかった。甘かったり、ひやっとしたり、重みがあったり…その緩急が気持ちよくていつまでも読んでいられそうでした。

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    2014年03月03日
  • 飛水

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    とても綺麗な小説でした。
    そしてとても哀しくて、とても幸せな小説でもありました。
    「川」が描かれていない場面でも常に水の音が聴こえて、飛沫のにおいがするようで、時々無性に鼻の奥がつんとなりました。

    ラストシーンの程近くで時系列の全てが繋がって、主人公の視点の位置が分かったとき、ここまで読んできてよかったと本当に思った。ここまで辿り着けて、もう一度巡り会うことができて本当によかった。
    奥深い高山の古民家を見下ろす景色と、「ここから上が雲」というその家の静かな佇まいは本当に穏やかで、綺麗で、鮮やかで、
    この小説のラストシーンにはこれ以外ないというくらい、美しい景色だった。

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    2013年11月22日
  • トモスイ

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    アジアの様々なところを舞台にした短篇集。日常半分、非日常半分。「トモスイ」「唐辛子姉妹」「芳香日記」が好き。

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    2012年12月11日
  • マルセル

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    ネタバレ

    面白かったけど、ミステリーとしては???な部分が多い。
    絵は誰が盗んだの?葉子さんは事故死?自殺?なぜ復讐されなければならないの?
    最後の方ミステリーらしく盛り上がるけどあまり必然性が感じられない。危険ならパリに呼ばなければいいのに。葬儀の時に来日しているならその時に顔は見れるはず。
    長い分ミステリーとしては謎がすっきりしない。

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    2012年08月27日
  • マルセル

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    分厚い本ですが、読み始めると止まらなくて一気読みしてしまいました。

    ラストは実に感動的です。
    日々、仕事や諸々に頑張っているヒロインが幸せを掴んでいくお話はいいですね。

    幸せな読書時間でした。

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    2012年07月29日
  • マルセル

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    今年読んだ本のなかでベスト3に入る作品。毎日新聞の連載小説だったとのことだが、実に緻密に書き上げられている。新聞記者だった一人身で自分を育ててくれた父なきあと、その父が残した昔の名画盗難事件にまつわる謎に偶然取り組むことになる娘。その事件がおきた京都で出会ったひとたちが何らかのかたちで事件にかかわっているのは感じるがだれも真相は話してくれない。関係者のひとりがなくなってその葬儀にパリから参列した人からのメールから絡まった謎の糸が解け始める。緻密な物語構築がなされているので、筋が少し読めても最後のページまで緊張感をもって読むことができた。秀作です。高城のぶ子って恋愛小説家だとおもっていましたが、

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    2012年07月09日
  • マルセル

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    期待しないで読み始めて、予想外の面白さでした。
    昨年の毎日新聞連載小説。実に読み応えのある作品でした。
    作者の今までの作品と、少し雰囲気が変わったかも。一種の推理小説の要素もあり、作者お得意の男女の機微もあり、ラストのどんでん返しは驚きでした。もう一つの舞台として登場するパリ、作品のテーマであるロートレックの絵、など、さすがの表現力、描写力。満足。

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    2012年05月16日
  • マルセル

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    京都とフランスを舞台とする華麗な感じのミステリーだった。
    有名絵画の裏にはこんな話もあるかもしれない。
    新聞記者の父親の仕事に向き合い、同じ新聞記者の娘が段々ひも解いていく様が面白かった。
    ちょっと中途半端な恋愛storyが話の流れを中断する用にも感じた。
    母親との再会という最後はちょっと意外な展開だった。

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    2012年05月07日
  • マルセル

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    ミステリーであり恋愛物でもある。新聞記者である千晶が持ち前の探索能力を生かして、父の残したノートをもとに死んだ母の謎に迫る。ありえないようで、あるかもしれない父母の愛の形に納得できるかどうかが、この物語の好き嫌いを分けると思う。

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    2012年05月04日
  • マルセル

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    高樹のぶ子さんの作品は初めて。文章は丁寧に書かれているが、読みやすかった。所々、人生についての教訓めいたフレーズも挿入されている。それがストーリーと見事にマッチし、何とも言えぬ絶妙の味を出している。
    登場人物の性格が明確でわかりやすい。オリオさんの存在は大きく、主人公の揺れ動く気持ちが、巧みに表現されている。
    全体の構想もしっかりしているし、意外な展開を最後まで楽しめた。

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    2012年05月04日
  • マルセル

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    新聞記者の娘が父の遺したノートから自分のルーツを辿っていく。
    ロートレックのマルセルにまつわる物語。
    ミステリー仕立てで謎めいているので私には読みにくかったが、力作であることはまちがいない。
    絵画の真贋をめぐる話としては原田マハの『楽園のカンバス』もおもしろかったが、この作品もテーマは同じだ。

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    2012年05月04日
  • トモスイ

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    トモスイってなんだー??
    手に取ったきっかけは、週刊ブックレビューを見ていて高樹さんご本人がこの本について、語られているのを見たからです。
    思えばその時は、亡くなられた児玉さんが出ていらっしゃいましたね。
    アジアを旅して書かれた短編集だからか、どの作品も湿度が感じられました。
    トモスイってSFに出てきそうですね、、私も吸いたい!

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    2011年10月11日
  • トモスイ

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    『作家、髙樹のぶ子が九州大学アジア総合政策センターの特認教授として、五年の歳月をかけアジアの十カ国を訪ね歩いて各国の作家や市井の人々と交流し、その成果を様々なメディアを通じて発信するというプロジェクトSIA(Soaked in Asia)の記録』、『アジアに浸る』からできた短編集、『トモスイ』。
    『アジアに浸る』はどうも中途半端な印象をうけて、あまり好きではなかったのだけれど、SIA(Soaked in Asia)の活動からうまれたこの作品は、まったく違うものとなっている。


    全体的に、死のイメージがつきまとう。

    現実と虚構。
    現在と過去。
    死者と生者。
    相対立するふたつの存在が1つの短編

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    2011年08月19日
  • トモスイ

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    年間で10カ国を訪ねるたびに書かれた短編集。 どの短篇も予想通りアジアンな熱気や湿度を醸し出す。 喪失感や孤独感を書いているものもあるけど、どれも前向きな力があって暗くはない。女性の持つたくましさ、しぶとさが見え隠れする。 とはいえ、お話のテイストはさまざまだ。 予想通り、短篇「トモスイ」は川上弘美に近い。 とらえどころのない漂うおかしみって好きだ。 旅情や思慕が立ち込める「ジャスミンホテル」、「芳香日記」は円熟した女性の書き手らしい話だ。 静から動への意外な結末の「投」もいい。 土砂降りの台風の映像が浮かんで印象的なのが「天の穴」。この本の中での私のベスト。福岡の話だしね。 あ、今気づいたけ

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    2011年08月06日
  • トモスイ

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    「トモスイ」って何?と思って手に取った1冊。冒頭に据えられているが、不思議で官能的な作品。川端康成文学賞受賞というのも頷ける。
    アジア10か国を訪ねた際に書かれた10編の作品集。あとがきにも書いてあるが、重いどろどろしたものと突き抜けた境地の作風とが半々。命の狭間でのできごとが綴ってある。

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    2011年05月09日
  • 私が愛したトマト

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    不思議なお話。世にも奇妙な物語。
    現実から、いつの間にか妄想、非現実の世界へ足を踏み入れている。
    ゾッとする内容なのに、澄んでいてきれいな文章。
    全てにおいて不思議な感覚。

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    2022年09月23日
  • 明日香さんの霊異記

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    奈良、薬師寺に勤める女性が主人公で、不可解な出来事の謎解きをしていくという歴史ミステリー好きとしてはわくわくする設定。日本霊異記に謎解きの鍵があるというのも面白いのだが、主人公のバックグラウンドに物語性が強いためか、短編形式で話の移り変わりが早いからか、あまり読んでいても埋没できなかった。情報が多すぎて感情移入しにくかったので、一冊かけて一つの謎を解く、という感じだったら面白かったのかなとも思う。

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    2022年05月16日
  • 私が愛したトマト

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    ネタバレ

    11の短編。

    家族写真に昔から写っている火鉢。
    火鉢はどこからやって来たのか、記憶と心の冒険。

    老人の妻と老人を殺して崖に落としたこと。

    アラスカの自然と厳しい土地で、
    かつて冒険の途中で死んだ英雄たちの姿を見るとき。

    散歩で出会った蝉の幼虫にこめられた怨念。

    ポンペイの発展した街と火山灰で消えた闇。
    あの赤に染まった椅子と儀式。

    思い出にはトマトがそばにいた人生。
    一つ一つそれらを思い出しながらトマトを育てる老女。

    彼との別れで行ったベネチアリド島で買った蜜蜂とバッタの置物。
    30年を経て2つの置物の再会。

    病気で入院している少女に渡された蚕。
    繭に包まれた温かな世界とこの世

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    2020年12月27日