【感想・ネタバレ】トモスイのレビュー

あらすじ

タイ訪問を機に執筆され、選考委員に絶賛された川端賞受賞作「トモスイ」ほか、アジア十カ国との交流から生まれた十篇を収める。台湾の小さな島から上海の路地裏へ、そしてモンゴルの荒野、インドネシアの密林まで。それぞれの土地に息づく瑞々しい匂いとやるせない思いを吸い込み、記憶の中の熱をはこぶ、アジアの物語たち。

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Posted by ブクログ

アジアを題材にした短編集。
これはかなり好みが分かれる様だ。私は結構好きだった。特に「トモスイ」は初っ端からかなり癖の強い (文体はかなりあっさりなのだが) 作品なので、ここで分かれそう。こちらは第三の性に寛容なタイからインスピレーションされた作品。トモスイの描写はちょっと気持ち悪い感じはある、なんだか第三の性というかもう融合性ですよね。トモスイというのは筆者の作り上げた空想の生き物だが、明らかに性的。
他作品も非常に個性的。前半は常に「水」がキーになっている。また刹那を思わせる作品のように感じた。後半は「存在のしない者」と幻想・夢のような世界観。なんとなく仮想の世界観が宮沢賢治っぽいとも思った。

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2023年03月15日

Posted by ブクログ

短編小説集。どれもほんの数日、数時間の出来事を切り取った話ではあるが、薫るような死の匂いと生命力を感じるような、、、
文学などわからない無学な私ではありますが、まるで手触りの良い布触れているような心地の良い文章だと感じるました。

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2021年07月12日

Posted by ブクログ

アジアの様々なところを舞台にした短篇集。日常半分、非日常半分。「トモスイ」「唐辛子姉妹」「芳香日記」が好き。

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2012年12月11日

Posted by ブクログ

トモスイってなんだー??
手に取ったきっかけは、週刊ブックレビューを見ていて高樹さんご本人がこの本について、語られているのを見たからです。
思えばその時は、亡くなられた児玉さんが出ていらっしゃいましたね。
アジアを旅して書かれた短編集だからか、どの作品も湿度が感じられました。
トモスイってSFに出てきそうですね、、私も吸いたい!

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2011年10月11日

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『作家、髙樹のぶ子が九州大学アジア総合政策センターの特認教授として、五年の歳月をかけアジアの十カ国を訪ね歩いて各国の作家や市井の人々と交流し、その成果を様々なメディアを通じて発信するというプロジェクトSIA(Soaked in Asia)の記録』、『アジアに浸る』からできた短編集、『トモスイ』。
アジアに浸る』はどうも中途半端な印象をうけて、あまり好きではなかったのだけれど、SIA(Soaked in Asia)の活動からうまれたこの作品は、まったく違うものとなっている。


全体的に、死のイメージがつきまとう。

現実と虚構。
現在と過去。
死者と生者。
相対立するふたつの存在が1つの短編の中で融合する。

作者が感じたアジアとは、そういうものなのだろうか。

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2011年08月19日

Posted by ブクログ

年間で10カ国を訪ねるたびに書かれた短編集。 どの短篇も予想通りアジアンな熱気や湿度を醸し出す。 喪失感や孤独感を書いているものもあるけど、どれも前向きな力があって暗くはない。女性の持つたくましさ、しぶとさが見え隠れする。 とはいえ、お話のテイストはさまざまだ。 予想通り、短篇「トモスイ」は川上弘美に近い。 とらえどころのない漂うおかしみって好きだ。 旅情や思慕が立ち込める「ジャスミンホテル」、「芳香日記」は円熟した女性の書き手らしい話だ。 静から動への意外な結末の「投」もいい。 土砂降りの台風の映像が浮かんで印象的なのが「天の穴」。この本の中での私のベスト。福岡の話だしね。 あ、今気づいたけど、これ、九大のプロジェクトから生まれた企画だから、サービスで大学界隈を書いてくださったのかしら。

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2011年08月06日

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「トモスイ」って何?と思って手に取った1冊。冒頭に据えられているが、不思議で官能的な作品。川端康成文学賞受賞というのも頷ける。
アジア10か国を訪ねた際に書かれた10編の作品集。あとがきにも書いてあるが、重いどろどろしたものと突き抜けた境地の作風とが半々。命の狭間でのできごとが綴ってある。

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2011年05月09日

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いろんなものが在りすぎて、何も知らないままでもいられるインド。あらゆるものが諦めを迫ってくる国。
(P.155)

「思い出すためには、忘れる必要があるけれど、忘れたことがないので、思い出すことが出来ない」
(P.172)

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2019年09月05日

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ネタバレ

アジア10ヶ国訪問をきっかけとした短編。

タイ、小舟でトモスイを吸いながら交じり合う。
台湾の離島、海の中、時計。
フィリピン、台風の目を見たとき。
マレーシア、写真と娘との記憶。
韓国、日本との歴史と唐辛子の思い。

上海、そっと盗み見てしまう老人と金魚。
モンゴル、高原な大地、子供だけの村。
ベトナム、かつて起きていた戦争。
インド、亡くなった同級生、ニーム。
バリ島、弟を思って、香りに包まれる。

不思議な世界で、今はもういない人たちを思ったり
その土地の雰囲気)^o^(

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2016年09月18日

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エスニックな異国情緒が漂う耽美な世界。現実と架空が微妙に交差するおどろおどろしく淫糜な緊張感にグイグイ牽引された。激しい衝迫に胸苦しささえおぼえた。怪しい空気にどっぷり浸り不思議な世界を心ゆくまで満喫できた。魂を射抜くような上質なセンテンスには何度も唸らせられた。

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2013年04月29日

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第一話「トモスイ」と第二話まで。御伽噺のような世界。独特の感性を感じた。
短編ならではの作品である。第一話「トモスイ」はなかなかの傑作だと思う。

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2012年06月07日

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遠い遠い昔に、高樹嬢の小説を読んで
感銘を受けたときのことを思い出した。

その余韻を充分引きずりながら、
題目の 摩訶不思議な意味合いや語音に引かれて
手に取った単行本は、
中途半端な浮遊感を伴う短編集であった。

文章は流れるように綺麗であったが、
何処か 居心地悪い感じで、
ゾワゾワっと心が揺れた

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2011年08月04日

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アジアに係わる10編の短編。
共通するのは少し日常から隔たった世界。不思議な皮膚感覚の小説。
作品の中では「トモスイ」が一番良かった。

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2011年04月03日

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アジア各地を舞台にした読み切りの短編小説10編を収録。まさに自在なまでの書きっぷり。著者は、九州大学アジア総合政策センター主宰で行われた「SIA」(Soaked in Asia=アジアに浸る)というプロジェクトに参加する形で、この作品を仕上げていった。五年に渡りアジア十ヶ国を訪ね、その国の文学作品を日本に紹介しがてら、その作品の背景をメディアに発信しながらの創作だったという。いかにもこのプロジェクトらしい作品は、モンゴルを舞台とした「モンゴリアン飛行」だろうか。草原に昇る満月の描写が美しい。南の島の夜の海が舞台となった表題作の「トモスイ」は、官能的でなんとも怪しい気配に満ちている。視覚だけでなく、聴覚、触覚そして舌で味わう味覚までを駆使して、身が震えるようなエロスを表現する。

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2011年07月16日

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