高樹のぶ子のレビュー一覧

  • 甘苦上海(がんくうしゃんはい)

    Posted by ブクログ

    主人公の紅子は情事をお金で買い、その買った男が一回りも年下で、しかもワケありなのに、のめり込んでしまう。本気になって傷つくのが怖いからという理由で、二番目の男を作る心理はわからなくもないかな(二番目の男は駐在員で妻子もちとくれば後腐れもないし)。
    失うことや、傷つくことを恐れた末の選択が、最悪というか……後味が悪い。
    恋愛小説の割には現実的な描写があるせいなのか、個人的には色気とか艶みたいなものが感じられなかったのも残念。

    0
    2015年11月24日
  • 甘苦上海(がんくうしゃんはい)

    Posted by ブクログ

    日経新聞に連載されてたようだが、
    表現する場所を間違えたというか(苦笑)、
    果たして日経を読むような人たちからニーズがあるとは思えない作品。
    あ、私は好きですよ。日経読むような人じゃないし。(笑)
    賛否両論ある書評もたくさん見ましたが、
    主人公が同年代というだけで、私はそれなりに面白かった。
    51歳の女と39歳の男の恋愛沙汰は、
    若い人たちからすれば滑稽かもしれないけど。

    0
    2015年10月19日
  • 透光の樹

    Posted by ブクログ

    ずいぶん昔に芥川賞受賞作を読んで以来の高樹のぶ子.

    石川県鶴来町を舞台にした中年恋愛小説.私はもうこういう小説を読んでも熱くなったりはできないが,この作家はとてもうまいと思う.
    設定はあまり自然ではないが,主人公の二人にリアリティーを感じるし,男と女の心のすれ違いや,駆け引きや,共感をうまく描いていて感心してしまった.

    0
    2014年08月11日
  • 香夜

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1話目の空気が良かった。静かな金魚のいる池のようでもあり、台風が来る前の不穏さも含む空気でもあり。

    澄人も金魚も不思議で、惹かれた。

    好きな人に踏みつけられる事に悦びを覚える歪な悦楽ってあるもんなと勝手に納得してしまった。

    一話目が濃すぎて、後の話が実際に起こったことなのか主人公のあるかもしれなかった未来なのか曖昧な夢のようだった。

    0
    2014年07月16日
  • 光抱く友よ

    Posted by ブクログ

    1983年下半期芥川賞受賞作。小説に描かれている時期はいつ頃だろうか。筆者自身の体験がもとになっているとすれば、1960年代半ばの山口県防府市ということになろうか。今でこそ普通の共学になったようだが、かつて山口県内の公立高校は長らく男女別学(校内に男子棟と女子棟がある)だった。そこでの相馬涼子と松尾勝美との交友とすれ違いとを描くが、それは結局のところ交点を結ばない。涼子は、理解しようとしたはずのクラスメート(いわゆる不良であり、特異な環境にいる)を最後までファーストネームではなく、「松尾」と呼ぶのだから。
     芥川賞としてはややインパクトには欠けるか。この時の候補作では、むしろ干刈あがた「ウホッ

    0
    2014年03月08日
  • 飛水

    Posted by ブクログ

    読み初めてあの飛騨川バス転落事故の話が絡んでいると分かって、私の中の
    古い記憶が浮かんできました。
    あの事故を覚えています。
    住んでいた近所のお母さんがあのバスに乗っていて亡くなったのです。
    当時、私も子どもで そのお母さんの子どもを知っていたのです。
    只々、その子がかわいそうで 心の中にずっと引っかかっていました。
    本当に残された家族のその後が少しでも心穏やかなものであって欲しいと祈るばかりです。

    0
    2013年12月02日
  • 透光の樹

    Posted by ブクログ

    石川県白山の山裾にある鶴来町が舞台となった40代男女の恋愛物語。内に秘めた欲望と駆け引きが物語を濃厚にしてゆく。小説の題名の樹は物語のポイントとなる古い杉の大木であり、透光の樹は次のように語られている。「透けた枝を通って落ちてくる西陽が、丹色のモザイク模様を二人の顔に投げかけ、二人は眩しさのあまり一瞬立ち往生した」

    0
    2013年11月10日
  • トモスイ

    Posted by ブクログ

    エスニックな異国情緒が漂う耽美な世界。現実と架空が微妙に交差するおどろおどろしく淫糜な緊張感にグイグイ牽引された。激しい衝迫に胸苦しささえおぼえた。怪しい空気にどっぷり浸り不思議な世界を心ゆくまで満喫できた。魂を射抜くような上質なセンテンスには何度も唸らせられた。

    0
    2013年04月29日
  • 光抱く友よ

    Posted by ブクログ

    うーん結局の所、何が言いたかったのか私にはとらえ切る事が出来ませんでした…。

    表題作を含め三作品で成り立っています。

    表題作の、光抱く友よのアル中の母、何とも生々しくて
    かなりの嫌悪感を抱いてしまいました。
    ドラマ化もされているみたいなので、映像で見たら又違った捉え方が出来るかも!

    0
    2012年12月06日
  • マルセル

    Posted by ブクログ

    新聞記者の千晶は父が遺した取材ノートから知った、ロートレックの名画『マルセル』盗難事件。1968年、嵐吹き荒れた時代の不可解な事件を、父はなぜ追い続けたのか。謎に導かれるまま、新聞記者・千晶は、東京から神戸、京都、パリへ…。実在の未解決事件をテーマに恋愛小説の名手が贈る芳醇な「絵画」ミステリ。

    いつも推理小説を読んでいるのでミステリーとしては薄い、その割に分厚い本で長かったなーという印象が残ってしまった。千昌とオリオさんの恋は微笑ましくて良かった。ラストもハッピーエンドなのかどうかよくわからないけど…ミステリー部分も私には謎が多いままだった。それが未解決の事件を引き立たせているのかも?

    0
    2012年11月05日
  • トモスイ

    Posted by ブクログ

    第一話「トモスイ」と第二話まで。御伽噺のような世界。独特の感性を感じた。
    短編ならではの作品である。第一話「トモスイ」はなかなかの傑作だと思う。

    0
    2012年06月07日
  • マルセル

    Posted by ブクログ

    作者初のミステリー。テレビで「このミス」をとりたいとおっしゃるほど、作者の思いが入った力作だったと思います。
    実際の未解決事件をベースにしたことは読後知りましたが、特に違和感なく話の運びはスムーズでした。主人公の恋愛面は何となくふわふわした感じでしたが、ミステリーとしては最後まで読ませる作品になっていると思います。

    0
    2012年06月05日
  • マルセル

    Posted by ブクログ

    1968年(昭和43年)に、京都国立近代美術館でロートレックの「マルセル」が盗難事件に遭う。数日後、額縁だけが見つかる。時効成立後、「マルセル」は発見されるが、犯人は見つからず事件は迷宮入り。

    本作は、この実際に起こった事件をベースに作られた小説。

    主人公の千晶が、私と同い年なのに親近感が湧く。
    また、額縁が見つかったとされる疎水沿いの小径も、おそらくあそこのことだろうと想像がつく。
    そして最後に、千晶とお母さんが背中合わせで対面するオランジュリー美術館。太陽の優しい光が差し込むモネの睡蓮の部屋。私が大好きな美術館の一つ。

    ストーリーも確かに面白かったけれど、私は何やら懐かしいものに再会

    0
    2012年06月02日
  • マルセル

    Posted by ブクログ

    実際にあった絵画盗難事件をもとにしたミステリー。
    高樹のぶ子特有の、どこかフワフワしてとらえどころのない文体が、更なる謎の深みに連れていってくれます。
    最後のどんでん返しの応酬には、かなりパニック。あれもこれも繋がっていたなんて…!
    かなり分厚い本ですが、東京、京都、パリをまたいだ大がかりな物語に一気に引き込まれました。

    0
    2012年05月30日
  • マルセル

    Posted by ブクログ

    ちょ~っと長すぎるかなぁ。
    ミステリの割にハラハラドキドキ感もあまりなく
    あまり入り込めなかった。

    出だしの実家の整理のところなんかは
    いい感じだったんだけど惜しいなぁ。

    0
    2012年05月02日
  • トモスイ

    Posted by ブクログ

    遠い遠い昔に、高樹嬢の小説を読んで
    感銘を受けたときのことを思い出した。

    その余韻を充分引きずりながら、
    題目の 摩訶不思議な意味合いや語音に引かれて
    手に取った単行本は、
    中途半端な浮遊感を伴う短編集であった。

    文章は流れるように綺麗であったが、
    何処か 居心地悪い感じで、
    ゾワゾワっと心が揺れた

    0
    2011年08月04日
  • トモスイ

    Posted by ブクログ

    アジアに係わる10編の短編。
    共通するのは少し日常から隔たった世界。不思議な皮膚感覚の小説。
    作品の中では「トモスイ」が一番良かった。

    0
    2011年04月03日
  • トモスイ

    Posted by ブクログ

    アジア各地を舞台にした読み切りの短編小説10編を収録。まさに自在なまでの書きっぷり。著者は、九州大学アジア総合政策センター主宰で行われた「SIA」(Soaked in Asia=アジアに浸る)というプロジェクトに参加する形で、この作品を仕上げていった。五年に渡りアジア十ヶ国を訪ね、その国の文学作品を日本に紹介しがてら、その作品の背景をメディアに発信しながらの創作だったという。いかにもこのプロジェクトらしい作品は、モンゴルを舞台とした「モンゴリアン飛行」だろうか。草原に昇る満月の描写が美しい。南の島の夜の海が舞台となった表題作の「トモスイ」は、官能的でなんとも怪しい気配に満ちている。視覚だけでな

    0
    2011年07月16日
  • 透光の樹

    Posted by ブクログ

    地の文がすごい。主人公かと思うと、どちらでもない情景(眼に見えるものや過去)の描写になり、想い人に。逆もあり。この3つの配分が主人公を二人だと思わせる。カットバックではないけど、それの複雑バージョン。このさりげなさに読者は気がつくだろうか?すごい、と思った。(2007.12.6)

    0
    2009年10月04日
  • 光抱く友よ

    Posted by ブクログ

    『光抱く友よ』は、優等生の主人公と不良少女との関係という、青春小説によくあるようなテーマである。それに、味気ない、淡々とした文章で始まるため、読み始めはとっつきにくい感じがする。
    しかし、最後まで読むと、この味気ない文章とテーマが、ものすごく良く見えてくる作品になる。
    この変化には驚いてしまう。

    特に面白いという作品ではないし、テーマもありきたり。
    だが、作品名の『光抱く友よ』にピッタリのストーリーとクライマックスであった。

    0
    2009年10月04日