高樹のぶ子のレビュー一覧

  • トモスイ

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    アジアを題材にした短編集。
    これはかなり好みが分かれる様だ。私は結構好きだった。特に「トモスイ」は初っ端からかなり癖の強い (文体はかなりあっさりなのだが) 作品なので、ここで分かれそう。こちらは第三の性に寛容なタイからインスピレーションされた作品。トモスイの描写はちょっと気持ち悪い感じはある、なんだか第三の性というかもう融合性ですよね。トモスイというのは筆者の作り上げた空想の生き物だが、明らかに性的。
    他作品も非常に個性的。前半は常に「水」がキーになっている。また刹那を思わせる作品のように感じた。後半は「存在のしない者」と幻想・夢のような世界観。なんとなく仮想の世界観が宮沢賢治っぽいとも思っ

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    2023年03月15日
  • 私が愛したトマト

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    こんな生活してみたいなっていう憧れの雰囲気と、不穏な幻想が入り混じったような感じ。ずっと意識下に死がうっすらと漂っている。

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    2022年12月26日
  • マルセル

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    ドロっとした実在の未解決事件をもとに、個性豊かな架空の登場人物たちが片や迫り、片や追い詰められる。期待以上の作品だった。

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    2014年03月02日
  • 透光の樹

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    めっちゃ苦しくて切なくて恐ろしかった。
    勝手に話にのめりこんでしまって本当に辛かった(/_;)
    中年男女の大恋愛は本当に恐ろしい
    こんなにも人を狂わせるものなのかと
    話を読み進めるにつれて、表紙の意味が分かってくるげんけど、
    これがまた切ない(/_;)胸が締め付けられる(/_;)

    鶴来の話で近所やから親近感わいた!
    話の内容には親近感いっこもわかんけども
    金沢とか能登も出てくる!

    千桐の「素敵になる」っていう表現のしかたがすごい好きw

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    2014年01月21日
  • 光抱く友よ

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    ネタバレ

    【美しさと緊張感が漂う女性同士の関係を描く名作】

    大学教授を父に持つ、ごく普通の家庭で育った優等生の相馬涼子。一方、アル中で障害を抱える母親を持つ、不良少女の松尾勝美。二人の女子高生が微妙な距離を保ち、緊張感を持ちながら淡い友情を重ねていく過程を美しい文体で描いた『光抱く友よ』。美しい文体ながらも、学校でも、家庭でも緊張した空気を感じる。

    淡くも儚い友情に終わる2人の関係だが、涼子の心境の変化がひしひしと伝わる。また、松尾と母とのやり取りにも緊張感が漂うが、母親に対する松尾の優しさも垣間見え、女性とは不思議なものだと考えさせられる。高樹のぶ子が芥川賞を受賞した作品ということで読んだが、彼女

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    2013年06月12日
  • マルセル

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    新聞記者の千晶は、同じく新聞記者だった亡き父が残した、マルセル盗難事件に関する資料を見つける。それを追う中で出会った恋、様々な人物、そして謎。とにかく最後まで止まらない。面白かった。

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    2013年03月13日
  • マルセル

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    1968年12月といえば 何といっても府中の3億円事件。 個人的には地元だったので、もうその話題ばかりで このマルセル盗難事件が起きたなんて少しも知らなかった。毎日新聞連載中は 1-2回読んでみたことがあったけど 途中だったので良く分からなかった。やはりこの事件が1968年の 同じ窃盗事件で未解決で事項を迎えたという事を知った時に、無性に読みたくなった本。この著者の書物は初めてだったが、すんなりある懐かしさを持って入ることが出来た。
    最後までミステリアスで あのダビンチココードを思わせるような係累探しも
    興味深い。またロートレック展で マルセルに日本に来てほしいな....

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    2013年01月07日
  • マルセル

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    実際にあった絵画盗難事件の知られざる一面、そして真相は・・・という壮大なミステリー。ストーリー展開の早さ、意外さにページを繰る手が止まらなかった。

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    2012年06月10日
  • 光抱く友よ

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    芥川賞受賞作。少しでも不純なものを見つけたら、たちまち全てが嫌になってしまう、その時期にある葛藤を思い出した。人間の根底にある1つのドラマを見ているようだった。

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    2012年03月22日
  • 光抱く友よ

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    私はあんまり作家によって作風が女性的だとか男性的だとか思わないんですけど、この本に限っては本当に女性でないと描けない世界だなと思いました。
    本当に繊細で心の裏側まで透け出るような奇妙な透明感があります。

    個人的に好きだったのは二篇目の「揺れる髪」です。
    すべてが砂糖の砦の上でのできごとかのように、
    ゆらゆらとしていて。
    繊細な強さのある作品たちです。
    とてもオススメです。
    心の底から湧いて出るきれいな涙を流せる気がします。

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    2010年05月20日
  • 満水子 下

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    主人公”満水子”の結末がそうなるであろうと、
    読み進めていくうちに予測することはできるのだ。
    しかし、その予測の正誤にかかわらず、
    彼女にまつわる出身地の秘密や、背負ってきた柵の謎を、
    サスペンスタッチで解き明かされていく過程が圧巻。
    大人の男女の性愛の深さも、
    高樹氏ならではのタッチで表現されていて、
    脳髄まで届くような性欲を憶える。

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    2009年10月04日
  • 透光の樹

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    高樹氏の作品の中で、一番好き!

    死を目前に控えた男は、これほど性に貪欲になれるのだ。
    貪るという言葉が似合う大人の恋愛。
    性は生とシンクロしているのだと思う。
    切なくて切なくて。。

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    2011年07月13日
  • ほとほと 歳時記ものがたり

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    歳時記仕立の短篇集。人間味溢れるホラー(ばかりじゃないが)が心に沁みる。文章に深みがある。
    夜の梅、小町忌はとくに好き。
    うちの古い戸も「ほとほと」と鳴ります。

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    2025年12月14日
  • マルセル

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    「私が一番知りたいのは、なぜ、何のために、山田花子はマルセルの贋作を描いてこの盗難事件に加担したかなんです。彼女つまり千晶さんを産んだ女性は、足が不自由でしたよね。それが動機でしょうか」

    「山田花子が描いたマルセルの贋作、その習作をパリから持ち帰って来たのよ。本物の贋作を描くために随分修業してたみたい。ところで事件の概要って、茉莉さんはどこまでご存じなの?」

    は山田花子を組織から連れ戻そうと説得をしたが失敗して、かっとなって傷害事件を起こした。そして阿久根か阿久根が属する組織にもみ消されて、すごすごと帰国した。

    マルセルの絵葉書は阿久根賢三が書いたものに間違いない。父親の行動としては理解

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    2025年12月18日
  • 光抱く友よ

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    道徳的な問題が善悪の判断とすれば、表題作含む三作はどれも決定不能なものに対する主体的な判断があり、倫理的次元における少女の葛藤が、若者の青春という親しみやすさ、または俗っぽさとは一線を引いて語られ、そのエモーショナルな雰囲気に誘惑されていると、どっちつかずのような問題ではない、その判断で幸か不幸が待ち受けているのではないような、その判断を自らの手で引き受けるしかないような状況が訪れるため、
    インフルかコロナか分からないが体調悪いため手っ取り早く読めるものをと思って開くようなものではなかった。こう書くと堅苦しい話かと思われるかもしれないが、特に二作目の「揺れる髪」にあるような母娘の可愛らしいすれ

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    2025年10月20日
  • 光抱く友よ

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    昔の人の貞操感はかなり古臭いという感じがしなくもないけど、今の時代も人との繋がりが難しいという中、実は今の時代の若者にもこれくらいの意識を持つ人が一杯いるんかもしれない。いやもちろん全く同じじゃないだろうけど、経験がないまま年を取れば一緒だろうし。
    何が言いたいんだと聞かれれば昭和の本だけど令和になっても十分に現役かもと思えるような部分も多くあって、青い春の中にあるダークサイドというかモヤッとした部分に触れるのもまた年寄りの嗜みじゃろうか。

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    2025年09月15日
  • 歳時記夢幻舞台 24の旅

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    興味がある編だけ読んだけど、満足感あるしすごく面白かった。蛍が出てくる話とか絵葉書の話とか。
    冷めた目で世の中を見てる感じ?
    変な高揚感のようなものがなくて読んでて楽。

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    2024年12月15日
  • 光抱く友よ

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    初・高樹のぶ子。読んでもいないのに私の中で「女性向けの作家」という思い込みがあって手を出していませんでした。
    芥川賞作品を受賞した表題作の他に「揺れる髪」「春まだ浅く」の2編。
    「光抱く友よ」は良いですね。
    大学教授のひとり娘である主人公・涼子とアルコール依存症の母親を抱え、水商売のかたわらに高校に通う松尾の友情物語。二人のキャラも、物語の流れも良くて、芥川賞らしい凝った見事な文体がむしろ邪魔になるほど。特に松尾は魅力的で、映画化すれば良いように思いますが(かつてTVドラマ化された様です)が、40年前の作品だからもうネタとしては古いかな。
    母と小学生の娘を描いた「揺れる髪」も良い短編でしたが「

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    2024年05月23日
  • 透光の樹

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    女性作家の恋愛小説は、とかく女性はエゴイスト、男性は作品の部品として軽薄に描かれる傾向が強くめったに真面目に読めないが、この作品における謙虚で内省的な男女はスッと自分の中に入った。
    所々説教臭く不倫も関わる点を抜きに、物語の流れも良く、中年男女であるからこその瑞々しさ、過不足のないボリュームで久々に完成度の高い恋愛作品だった。

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    2023年10月14日
  • 明日香さんの霊異記

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    奈良の飛鳥寺にお参りに行く前にと読み始めました。

    奈良を舞台に、薬師寺に勤める主人公、明日香が日常に起こる怪異を『日本霊異記(平安時代初期に書かれた善悪の応報を説いた仏教説話集)』をもとに紐解いていく謎解き短編集。
    地名の由来や方位などが事件と絡み合い、奈良の地図を片手に読みたい本です。
    文中で「まるでオカルトみたいな話が100以上も入っていて、竹崎真美の漫画を見ている気分だ。一つ一つが短いだけでなく、それぞれに事件が起きた地名や場所が最初に記されているのが面白い。」と書かれる『日本霊異記』そのものも読みたくなります‼️

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    2023年01月03日