立石泰則のレビュー一覧
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1990年に刊行され、95年に文庫化された著作。詩人・辻井喬でもあった堤清二の経営理念を称賛する著作が多いなか、本書は、セゾングループの企業統治を堤の独裁かつ無責任体制として、批判的に検証しているのが特色。
また、セゾンのイメージを作ったともいえるパルコについては、社長を務めた増田通二の貢献が大きく、グループの「独立王国」であったこと、堤はパルコ文化に違和感を抱いていたことが強調される。たしかに、同じ出版部門でも、人文・社会科学系の図書を多く手掛けたリブロポートとパルコの『ビックリハウス』では、大きく異なる。
本書はその刊行時期のため、無印良品、ファミリーマート、ロフトなどは登場せず、セゾ -
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経済を専門とする職業ライターが書いたので読みやすく、さっと読めた。ただ書き手としての技術の高さ故か、読み物として面白くするような技術を散りばめられているような気がして、専門家の著した本よりは重厚さには欠ける。しかし、著者もそれは意図しているだろうし、結果、引き込まれるような読書体験をすることができた。
戦地に赴いた経営者は、その体験から得た教訓や使命感を経営に活かし、独特の経営観を構築した。戦争の体験は言語にあらわすことにできないほど悲惨で、当時、若輩の一庶民に過ぎなかった後の名経営者達も、多くの帰還者と同じように、生かされていることの申し訳無さを感じたという。
その精神的なダメージは、帰 -
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チェック項目7箇所。「創業者」は創業者であることだけで求心力を持つ、と言われる、その創業者を失った松下電器の最大の課題は、どのようにして新たな求心力を生みだし、いかにして維持・発展させていくか、にあった、ある意味、それは創業者を超えて進まなければならないというもっともハードルの高い挑戦でもある。松下幸之助の創業者精神と経営理念を堅持した企業としての再建を目指すなら、少なくとも松下電器に与えられた「使命」をいま一度改めて考えるべきである、創業者精神を忘れた企業に復活などあり得ないからだ、そのための手がかりのひとつとして、松下幸之助の評伝を通じて彼の経営哲学の成り立ちを振り返ったのが本書である。た
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三原脩の一生とプロ野球の歴史を表したノンフィクション・ライティングの前編。上巻は,三原の生誕に始まり,野球との出会い,高松中学への進学,早大野球部入部と早慶戦のエピソード,プロ野球契約選手第一号としての巨人入り,徴兵,巨人軍監督としての手腕,水原復員に伴う左遷,巨人との訣別,そして九州の地に降り立ち,西鉄ライオンズ監督としてチームを育成し,リーグ初優勝を遂げる1954(昭和29)年までの半生を描いている。
中等学校,大学,プロと,野球との縁が切れては,また繋がる運命が印象的。また,関門海峡を越えながら,新たな闘志を湧かす姿には,私も思わず首肯してしまった。
さて,高松中時代の1927(昭 -
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三原脩の一生とプロ野球の歴史を表したノンフィクション・ライティングの後編。下巻は,1955(昭和30)年から始まる。前年に西鉄ライオンズはパリーグ初優勝を遂げたものの,絶対的なエースに不足していた。そこに登場したのが,鉄腕・稲尾和久投手である。稲尾の活躍によって三原の「野武士野球」は完成し,日本シリーズ3連覇という偉業を達成した。宿敵・巨人を,水原を倒すという当初の夢は叶えられたものの,三原の球界に対する挑戦は,これで幕を下ろしたわけではない。彼が西鉄を退団し,大洋・近鉄・ヤクルトと相次いで監督を引き受けては退任し,新生球団・日本ハムファイターズにおいて球界出身者として初めて球団代表に就任す
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文春新書「さよなら!僕のソニー」を読んだのは8年前…ソニーファンである著者の愛したソニーへの決別宣言として読みました。しかし、マイクはまだ置かれていませんでした。本書はソニー版「さよならの向こう側」物語です。製品の差異は意味がなくなるという考えを持つ総帥ストリンガー時代に「愉快なる理想工場」が生み出したトランジスタラジオ、テープレコーダー、トリニトロン、ウォークマンの歴史は「さよなら」を迎えたという前著、しかし著者は井深大のモノづくりDNAと表裏一体を成す盛田昭夫のマーケティングもソニーのDNAであるとし、SMOJ(ソニーマーケティング.inc)に「さよならの向こう側」を見出そうと模索するのが
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西武グループは、もともと不動産事業を中心に手がける企業集団であり
多角経営は、あくまでその支援を目的に展開されたものだったという
鉄道が通り、百貨店が立ち、観光施設が整備されれば
土地の人気と価格はおのずと上がってゆくわけだ
すると結果的にそれらは
ひとつの街をデザインしてゆく仕事となった
創業者である堤康次郎の興味は、とりあえずその儲けにしかなかったが
息子である清二は
クリエイティブな情熱を街づくりに注ぎ込んでいった
堤清二…西武から独立を果たした流通グループ・セゾンの総帥にして
「辻井喬」の筆名を用い、多くの著作を残す詩人でもあった
堤清二の情熱は、父の剛腕主義に対する反発
ひいては資 -
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先日「血族の王~松下幸之助とナショナルの世紀」を読み、経営者ではなく、人間「松下幸之助」に興味をもった勢いで手にする。
20代で親兄弟をすべて亡くし、松下家の後継として期待した長男は生後1年を持たずに病死。天涯孤独の身である幸之助にとって、血を守ることは執念であり、松下家消滅の恐怖を忘れさせてくれるのが仕事であった。
そんな幸之助の血族と仕事を重視する姿勢は時々、矛盾することもあった。経営幹部に肉親を採用するが、彼らが仕事の結果を出さなければ、その批判は倍増された怒りとなって幸之助に蓄積される。
その結果が、義弟井植歳男の松下電器からの追放であり、社長職を継がせたはずの松下正治からの社長 -
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成功し成長を続けたベンチャー企業において、やがて創業者が第一線から離れ、普通の大企業に脱皮するということがいかに難しいか。本書はソニーの内情を題材にしているが、その意味で多くの企業にとっても非常に示唆に富んだ一冊である。
本書では、技術にこだわり革新的なモノづくりを進めてきたソニーが、創業者の引退とともに、製品へのこだわりをなくし、米国流の経営手法に基づいた短期的な数字を目標にした会社に変わったことが現在の凋落の一因であると指摘し、出井氏、ストリンガー氏の経営を批判している。たしかに豊富な内部取材に基づく具体的なエピソードの数々は説得力がある。
しかし、創業者というビジネスオーナーが明確で -
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【目次】
1. 僕らのソニー
2. ソニー神話の崩壊
3. 「ソニーらしい」商品
4. 「技術のソニー」とテレビ凋落
5. ホワッツ・ソニー
6. 黒船来襲
7. ストリンガー独裁
8. さよなら!僕らのソニー
【概要】
高い技術力で独自の製品を生み出すことで夢を与えてきたソニーが、技術を失うことでそのブランド価値を失っていく。
ソニー神話に心を躍らせた一人である著者が、経営人事を軸に、ソニーの栄枯盛衰を語る。
【感想】
以前読んだ「The Laxuary」に、ブランドビジネスにとって最も大切なことは、その製品に対する「あこがれ」を生み出すことだ、と書かれていた。
そういう意味で、ソニー製 -
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私にとって、ソニーといえばPlayStationとWalkmanを生み出した世界的に有名な日本の企業であり、企業体質についてあれこれ言われたとしても、それは有名な企業だからこそのやっかみだと思っていた。PSNの流出事件後の対応と、「宣伝戦略」の事を知るまでは。
一体どうして今のような社風になってしまったのかを知るために、この本を手に取った。
第一章「僕らのソニー」は、私達が一般的に抱いているソニーのイメージを改めて見つめ直し、かつ筆者の体験談・耳にした話を綴っている。
筆者はソニー製のテープレコーダー、FMラジオ、ラジカセを例え値段が他社製品よりも高くとも「高性能・高機能・高品質」で -
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反日抗議活動が起こった2005年までの間を、人間が成長するような物語として描き切る。小説というより、ノンフィクションの形式とも言える。
国交回復以前に、中国をターゲットとした先見性は、評価できる。
そして、そこに関わった人々を物語とする。
何故、香港であり、何故、中国なのか?
銀行業務は、預金と貸付という単純なものではない。
同時に、香港や中国では、貸し付ける先が、信用調査をきちんと
することも不可能で、信用調査はその経営者を見抜くしかないのである。
決済を元ですると言っても、評価がしにくい。
周恩来は、円元決済を打診してきた。その時に、三和銀行は、必死となって取り組むことになるが、その手柄は