立石泰則のレビュー一覧
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ソニーがいかにしてエクセレント・カンパニーから普通のパッとしない企業に没落していったかを、経営人事視点で追った本。ノンフィクションライターとして定評のある著者だけに、章立てが上手く読みやすかった。
通読しての全体的な印象は、ノスタルジー。乱暴にまとめると「昔のソニーはよかったな」だが、もちろんこれで終わると駄作。本書では歴代の社長や役員へのインタビューをベースに、歴代社長がソニーをどうしようと考え行動したか、あるいは行動しなかったかを綴る。時々「それは穿ちすぎでは」と思われるような著者の推測も入るが、おおむね間違ってはいないだろう。
本書では「ソニーは技術を捨ててしまった」というフレーズが -
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ネタバレトランジスタラジオ、ウォークマン、CDなど、世の中を変える魅力的な製品を生み出してきたソニーが、なぜ凋落していったかを問う本。
ソニーは90年代半ばから、目先の売り上げに固執してしまい、強みだった商品開発能力に影を落とすようになったという。確かに当時以前ほどソニー製品に魅力を感じなくなっていたし、ソニー神話の神通力が徐々に失われていったのだろう。ソニーのトップは、大賀、出井、そしてストリンガーへ変わっていくが、エレキ軽視、ネット偏重へと会社の方針は傾いていった。
出井氏がネット社会に対応した製品を打ち出せなかった理由の一つに、当時ソニーが抱えていた借金の返済に追われていたことがある。大賀社長時 -
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立石さんという琵琶法師を得て、ソニー物語が平家物語として語られています。今や誰もが「モノからコトへ」を唱えますが、その流れに表層的にマネジメントが乗ると、こういうストーリーになるのでしょう。設立趣意書の「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場」というソニーから、盛田・大賀時代の「ソフトとハードは、ソニーグループの両輪」を経て出井時代の「ソフトとハードの融合」、そして「デジタル時代では製品の差異化は難しい」と考えるストリンガー時代へ。ただ、生き残る、ということは変わり続けるということも真実だと思います。「日本から」「エレクトロニクス事業から」見たソニーが「
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ネタバレ日本を代表するメーカー、ソニー衰退の裏事情。
かつてのソニーは、高品質な製品を作る代表的な企業として有名だったが、創業者亡き後、徐々にその評判が低下し現在では普通の電機メーカーになってしまった。長年ソニーを取材し続けてきた著者は、経営の度重なる方針転換が現在の状況を招いたと考える。時代をリードする技術を持ちながら、それを製品に生かせなかったこと。時代の流れを読み切れず、ユーザーの志向の変化についていけなかったこと。創業時の指針に反し、メーカーでありながら、コンテンツビジネスを重視したことで、核となる収益手段を失ったことが要因と指摘する。経営者が会社を纏めきれないことも原因としている。
著者は、 -
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ハイビジョンを越えるテレビに注目が集まり、近藤さんのICC研究所とシャープの関係が去年話題になりました。
本書は、ソニーの近藤さんのソニーに入社するところやDRCを製品化する事業について述べられています。また、ソニーのテレビの歴史についても述べられていました。
とても個性的で寡黙な近藤さんが周囲と違い浮いていたが、偉い方々に一目置かれており、DRCの製品化を進める様子が、紆余曲折しており、興味が持ちました。
本書を読んで感じたのは、目先の利益や売上にこだわらず、本書の特命や徒弟制度のような長期的スパンで技術者を育てることが今の日本で必要だと感じました。
また、近藤さんのいう「自己否定」 -
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今は無き三和銀行が香港/中国市場に対しどのようにアプローチしていったかという企業戦略を時系列にまとめたもの。立石さん、読み物として面白くまとめよう、というサービス精神が旺盛な方らしくどの本を読んでも面白いが(特にホンダの話は秀逸だった。)これもなかなか良くできてる。取材を真面目にやってないとこういう本は出来ない。ただ中国市場に関しては、日本の銀行が不良債権処理でもたついているうちにどんどん変わっていき、ここに書かれていることが既に過去のものとなってしまっているわけで、いや、改めて時代の移り変りを感じ。どちらかというと政府主導で合併してメガバンクになったわけだけど、この先どうなるんでしょうね。