橋本努のレビュー一覧
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既存調査では表れなかった、社会投資型国家を志向する「新しいリベラル」について論じた一冊。
新書ながら300ページを超える骨太の一冊で、読み応え抜群であった。
内容を要約すると
「日本政治でリベラルの衰退が叫ばれて著しいが、実は従来型のリベラルと異なる、新しいリベラルの思想を持つ層が現れている。新しいリベラルは社会投資型国家を志向する。それは所得再分配に留まらない、各人の潜在能力の開花のため、「人的資本としての個人」に投資するという面を持つ。この層が積極的に支持する政党は、未だ存在していない。しかし、新しいリベラルの思想は他の保守やリベラルと連帯する可能性を秘めている。新しいリベラルは、日本 -
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ネタバレ人生の選択は、選択肢を十分に吟味せずに行わなければならない。選択肢をあまり吟味しないほうが、何かを選ぶときに積極的になれる。人生とは見切り発車の電車のようなものである。選択肢が多くなりすぎると、かえって選ぶのが難しくなる。
GRROWWモデル
現状認識・分析⇒資源⇒障害⇒オプション⇒計画⇒意思⇒目標⇒現状認識・分析⇒…
私達が生きていく上で、主体的に選択することは大切だけれども、すべての事柄を主体的に選べるわけではない。ある面では主体的に選ぶとして、別の面では、主体的な選択を信頼するしかない。
人生のチグハグした経験を、心理学用語では「認知的不協和」という。exタバコと健康。認知的不協和 -
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ここ10年くらいミニマリストのインフルエンサーを見かけることが多くなったことから、気になって読んでみた。本書はミニマリズムが脱資本主義の突破口になり得る可能性を論じている。
周知の通り資本主義にはあらゆる側面から限界が近づいており、さらにその代替となるパラダイムは未だに存在しない。共産主義も、明治以前の封建主義も、自給自足の原始的な生活も今さら受け入れられないので、我々は甘んじて今日も汗水流して働くのである。(※私はニートですごめんなさい)
そんな現代において、消費欲望を抑え最小限のモノ・サービスを利用するミニマリストたちは、資本主義の苦しみから逃れ、自分らしく生きている。
脱資本主義を実 -
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[脱資本主義の精神]=資本主義を活性化させないための消費
・ミニマリズム的な生活だけではだめ
・勤労倫理と快楽消費をやめる
・稼いだお金を「資本の支配力」を削ぐ方向へ
・資本が一部の人へ集まらないようにする消費
[具体的行動]
・余暇の時間を地域的なコミュニケーションに使う
・経済的自由主義(メルカリなどの資本が少ないビジネス)
・リベラルな福祉国家
・ディープエコロジーの立場(自然の恵みだけで生活する)
[ミニマリストの目的のひとつ] =自己実現
・身の回りの不要なものを捨て、自分にとって本当に価値があるものを見つけ、それに時間と情熱を投資すること。
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ウェーバーには非常に興味がありましたが、「プロ倫」そのものを読んでもピンとこないところが多くあり、わかりやすい解説書が欲しいなぁと思っていたところで本書の上梓のツイートを発見し、発売日買いをしてしまいました。
本書では「プロテスタンティズムの倫理」と「プロテスタンティズムの天職倫理」が断絶しているという前提のもとで、明確にその論旨の違いを図解してくれる「優しい」解説書であり、「プロ倫」を読むためのコンパスになること間違いなしといった読後感でした。
ウェーバーに興味を持ったきっかけが、何か現代社会の鬱屈とした状況を読み解くために役立ちそう!という期待を感じたことでしたが、本書を読んでその期待 -
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ウェーバーは「プロ倫」の最初のほうで、次のように問題を立てた。すなわち、プロテスタンティズムにおける「禁欲的な信仰の生活」と、「資本主義的な営利の生活」は、親和的関係にあるのではないか、と。その答えはここにある。すなわち、禁欲的プロテスタンティズムにおける「倫理」と「天職倫理」のあいだには、定義において断絶があり、「天職倫理」に注目するなら、その内容は「資本主義の精神」とほぼ同じである、ということである。
これが「プロ倫」テーゼのタネ明かしである。「親和関係」とは、「日常生活の方法的合理化」の観点からみれば、「禁欲的プロテスタンティズムの倫理」と「禁欲的プロテスタンティズムの天職倫理」と「資本 -
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小室直樹先生の本に幾度となく出てくるマックス・ウェーバーと「プロ倫」。
以前から読んでみたいと思っていたのですが、原本は難解で読破する勇気もないので解説書から読んでみる。
プロ倫の急所は、「プロテスタンティズムの世俗内禁欲は…消費を、とりわけぜいたくな消費を抑制したのであった。他方で、その心理上の効果としては、伝統主義的な倫理の制約を破って、財の獲得を解き放つことになった。すなわち、利潤の追求を合法化するだけでなく、それが神の意志にかなうこととみなすことによって、利潤追求に対する伝統主義の桎梏を破壊したのである。」という部分だと思います。
禁欲的行動が資本主義の発展につながった、ということ -
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本書はマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を解読(解説ではない)しようという試み。第1章から第2章まではその前提を確認する作業となっている。
著者は第2章の終わりで「資本主義の精神」の狭義の定義と広義の定義をおこない、「私たちは「広義の資本主義の精神(「勤労ー反消費」の生活スタイルで「子孫の幸福」「自身の繁栄」「社会の繁栄」を追求するもの。対して狭義のそれは目指すところが「倫理的義務の遂行」となる)を含めて、さまざまな立場を検討してみる価値があるだろう」(p.101)とし、そして、第3章以下ではルター派、禁欲的プロテスタンティズムの各派における「倫理」の分析、 -
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現在支配的な思想をカテゴライズして解説、アンケートなどもあるのでそれを通して自分が何に分類されるかテストすることもできる経済倫理の入門書。
下部構造によって規定される自身の思想を相対化するマルクスのイデオロギー批判の考えを人類共存に必要なものとして紹介している。
またおれのオリジナルと思っていたハイエクとマルクスの思想を融合するとゆう試みがすでに行われて自生化主義なるものがあるってことでそれはちょっと悔しかった。
最後にシュバルツとイングルハートの研究成果。おもしろいのは文化価値に関する人々の評価を国ごとに平均化してマッピングしたこと。国や文化ごとでクラスターができること、そしてポスト産業化社