柳瀬尚紀のレビュー一覧
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ネタバレ著者は、翻訳不可能と言われた20世紀最大の小説『フィガネンズ・
ウェイク』の翻訳で有名ですが、最近は、ロアルド・ダールの子ど
も向けの一連の小説の翻訳に注力していたのだそうです。
このロアルド・ダールの翻訳が縁になって呼ばれたのが島根県の過
疎の村にある邑智(おおち)小学校でした。そこで16名の小学六年
生を相手に二回の特別授業と、一回の空想授業(手紙の形式をとっ
た紙上授業)を行うことになります。
子供を持ったことがなく、学校で教えたこともなく、子供と関わる
ことのなかった著者が初めて引き受けた小学校の授業ですが、この
授業における著者と子供達との交流の様子がとにかく素晴らしい。
生 -
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ホルヘ・ルイヒ・ボルヘスとアドルフォ・ビオイ=ハサーレスが、古今東西の書物からが収集した幻想的な物語。
河出文庫さんが斉藤壮馬さん(※読書家で有名な声優)とコラボフェアをやっていた際に購入した1冊。タイトルにボルヘスの名が入っていますが、ボルヘスの作品集というわけではなく、彼が様々な物語から収集した掌編・あるいは断片を収めたアンソロジーのようなものです。
有名な作品の欠片や、古今東西の神話や故事、伝説。出典ジャンルは様々で、実はしれっとボルヘスかハサーレスの自身の創作物も混じっているそう。
日本人的に比較的なじみ深い収録物語で言うと、例えば荘子の『胡蝶の夢』。授業などで漢文で見たことがあり -
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「書淫」ことボルヘスらが選ぶ、珠玉の超短篇92!
どれだけ長くなっても、見開き3ページほどしかありません。しかし、短いからとてすぐに読みおわるわけではないのだなぁ…。ひとつの超短編に5分以上費して考えこともざらにあります。いい意味では深奥な趣がありますが、不親切な部分があるといえなくもないです(まぁ、それが真骨頂なのですけれど)。と言うのも、抜き取りの脈絡性があまりに薄いので、パッと呼んだだけでは「ン!?」となるような場合が多い。何作か知っている作品からの抜粋もありましたが、いかんせん全然違うニュアンスの話にも見えてきて、これがまた不思議で面白い。バロウズ『裸のランチ』を思い出しました。
『 -
Posted by ブクログ
ネタバレ表紙とタイトルが可愛らしかったので、手に取ってみた。
リスくんとアリさんだけではなく、森にいるたくさんの生き物たちが、誰かにお手紙を書くショートストーリーで構成された作品。
象さんはカタツムリさんの殻の上でダンスしたいと書いてみたり、リスくんもテーブルさんにお手紙を書いてみたり。
書かれた手紙は、風にのって相手の元へ届くことになっていて、なんだかちょっぴり不思議な雰囲気の世界観。
ほとんどの手紙には相手がいて、すごく些細なことでも、誰かを想ってお手紙を書くのって素敵だな、いいなと思わせてくれる本でした。
リスくんとアリさんの関係性がなんだか愛おしい。 -
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Posted by ブクログ
ボルヘスとビオイ=カサーレスが選りすぐった
古今東西の奇妙な断章、92編。
表題に「怪奇譚」とあるが、読んでみると怪奇色は薄い。
むしろ小さく笑ってしまうシュールで滑稽な情景が並ぶ。
次々にページを繰って短い物語に触れ続けると、
まるで夢の入れ子に囚われたような感覚に陥る。
以前どこかで読んだはずの断章もあるのだが、
詳細を思い出せずモヤモヤしながら、
敢えて確認せずに「心地いい居心地の悪さ」を愉しんで
ムズムズするのも一興かと。
英語版からの重訳で、日本語訳は柳瀬尚紀先生。
ちなみに、解説によると、
世界中から掻き集めたお話の中に、
ちゃっかり偽書=ボルヘスの創作が紛れ込んでいるとか。