柳瀬尚紀のレビュー一覧
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空想上の生き物が好きな変人にはもってこいの本。しかもボルヘスの選んだとっておきの幻獣、とくれば面白くないわけがない。
変な言い方だけど幻獣選びにもセンスを感じる笑
中国はもちろん、日本の言い伝えや文献からも何種類か、日本産幻獣が出てきて嬉しい!ヤマタノオロチ、数多ある世界の幻獣たちにも負けてへんくらい、強そうやし、日本ていう国を文字通り背中に背負ってるやん。
それにしてもずっと子供の頃から私、思ってましたけども。ギリシャ神話ってなんでこんな罪深い肉欲話が好きなの笑 この教訓からいろいろ歪んだ宗教観が産まれたり、人間への変な戒めとかの元になってんちゃうん?と思った笑 -
Posted by ブクログ
人間の想像力ってすげー!
古今東西のめくるめく幻想の世界へどっぷりと浸れる沼のような一冊、《1957年版序》に曰く「神話伝説の動物園」(p14)。捲るたびに次から次へと『幻獣』、得体の知れない生物や霊的なものの類が飛び出してくるので、読者の我々は絶えず脳を回転させてその姿や挙動をつかみ取り続けないとあっという間に沈没してしまいます。
創作に携わる方にとっても一読の価値はあるんじゃないでしょうか。
120項目を収録。
以下、気になったものを。
《スクォンク(溶ける涙体)》…挿絵がせつなくてかわいい。ペンシルヴァニア州の栂の森にいるらしい。「スクォンクは非常に引込みがちな性質があって、ふつう -
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真っ黒だったぼくの心が洗われ、汚れがかなり落ちました。
動物たちが書く手紙の、何と温かで愉快なこと。
たとえば。
◇◇◇
カタツムリ君へ
ぼくにダンスをさせてくれませんか。
場所はどこでもいいな、きみの小さなお家でもいいです。
ちょっとステップをふむだけでいいんだ。
ぜひぜひお願いします。
そっとそっと踊るから。
お家の屋根を突きぬけたりしません。
約束します。
でも、そんなことは約束するまでもないよね。
象より
◇◇◇
とうが立ったぼくみたいなおじさんが読むと、たしかに気恥ずかしいところもあります。
でも、寓話などと侮ることなかれ。
どこぞの政治家 -
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Posted by ブクログ
20世紀ラテンアメリカの作家ボルヘス(1899-1986)が編んだ、古今東西の書物から引かれた幻想的な掌編のアンソロジー。
「文学が与える数多い楽しみのひとつは、物語の楽しみである。・・・。物語の精髄は本書の小品のうちにある、とわれわれは自負する」
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解説によると、ボルヘスの編むアンソロジーに収められた小品の中には、その典拠の存在が確認できないものもあり、実はボルヘスが創作したものを紛れ込ませている可能性があるらしい。何とも愉快なことだと思う。別の作品の中でこんなことを言っている。
「書物に署名するのはおかしなこと。剽窃の観念は存在しない。すなわち、あらゆる作品が非時間で無名の唯一の -
Posted by ブクログ
ボルヘスが世界中から集めた92の掌編・短編が収録されている。怪奇というより幻想小説っぽいのが多いが、どれもとても面白い。とくに「汽車」か物語としても構成・文体としてもすごくよかった。
ちなみに、各話に典拠となる書名とその作者が明記されているが、それらがすべて本当かどうかは疑わしいらしい。どんなに調べても書名や作者名がここ以外で見つからないものがるそうで、もしかしたらボルヘス自身が書いたオリジナルかもしれないと。世界中から掌編・短編をあつめた、というそのこと自体がフィクションかもしれないわけで、いかにもボルヘスらしい感じがする。
なお、北村薫の短編「水に眠る」の元ネタと思しき短編をこの本で見つ