あらすじ
セイレーン、八岐大蛇、一角獣、古今東西の竜といった想像上の生き物や、カフカ、C・S・ルイス、スウェーデンボリーらの著作に登場する不思議な存在をめぐる博覧強記のエッセイ一二〇篇。
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河出文庫とヒグチユウコさんがコラボされていて、
ヒグチユウコさん直々に選定されたベストオブベストの中からこちらを読んでみました。
幻獣である「ユニコ―ン」や「ゴーレム」、「スフィンクス」などの概要が載っていてすごく面白いです。
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空想上の生き物が好きな変人にはもってこいの本。しかもボルヘスの選んだとっておきの幻獣、とくれば面白くないわけがない。
変な言い方だけど幻獣選びにもセンスを感じる笑
中国はもちろん、日本の言い伝えや文献からも何種類か、日本産幻獣が出てきて嬉しい!ヤマタノオロチ、数多ある世界の幻獣たちにも負けてへんくらい、強そうやし、日本ていう国を文字通り背中に背負ってるやん。
それにしてもずっと子供の頃から私、思ってましたけども。ギリシャ神話ってなんでこんな罪深い肉欲話が好きなの笑 この教訓からいろいろ歪んだ宗教観が産まれたり、人間への変な戒めとかの元になってんちゃうん?と思った笑
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人間の想像力ってすげー!
古今東西のめくるめく幻想の世界へどっぷりと浸れる沼のような一冊、《1957年版序》に曰く「神話伝説の動物園」(p14)。捲るたびに次から次へと『幻獣』、得体の知れない生物や霊的なものの類が飛び出してくるので、読者の我々は絶えず脳を回転させてその姿や挙動をつかみ取り続けないとあっという間に沈没してしまいます。
創作に携わる方にとっても一読の価値はあるんじゃないでしょうか。
120項目を収録。
以下、気になったものを。
《スクォンク(溶ける涙体)》…挿絵がせつなくてかわいい。ペンシルヴァニア州の栂の森にいるらしい。「スクォンクは非常に引込みがちな性質があって、ふつう明け方や夕暮れに徘徊する。疣と痣におおわれたしっくりしない皮のために、これはいつも不幸せでいる。(中略)獣のなかでもっとも病的である。」「追い詰められて逃げられなくなると、あるいは驚いたり怯えたりすると、涙に全身が溶けてしまうことすらある。」(p139)。ざんねんないきもの図鑑みたいな紹介文。
《バルトアンデルス》…グリンメルスハウゼンの幻想小説『阿呆物語』に登場。「主人公は石の像に出会う。(中略)彼がそれに触れると、像はバルトアンデルスと名乗り、そしてすぐさま人間、樫の木、牝豚、太いソーセージ、クローバーの畑、糞、一本の花、花をつけた枝、桑の茂み、絹のつづれ織り、そのほかたくさんのものや存在に変幻し、それからもう一度人間の姿になる。」(p213)。どうです、わけわからんでしょう。『怪物くん』の百面相みたいな感じでシャカシャカシャカ…と切り替わるのだろうか。けどいきなり糞が現れたらびっくりどころじゃないかもしれん。「こらーっ」ってツッコんじゃいそう。『阿呆物語』という作品もなにやら気になりますな。岩波文庫とかで読めるのだろうか。
《墨猴》…収録されている幻獣のなかで一番かわいいかも。「人が座って書き物をしようとすると、この猿はそのそばに胡座をかき、手を重ね合わせてうずくまり、書き終るのを待つ。それから墨汁の残りを舐めつくすと、満足して静かに尻をついて座る。」(p274)。めっちゃかわいくないですか?!なんならこの設定そのまんまでサンリオキャラに居そうだし。この猿を考えついた人は、もしかしたら「墨片付けるの面倒だな…全部舐めてきれいにしてくれる、なんかかわいいやつがいたらいいのにな…」みたいなことを思ったりしたのかも知れない。
《ミルメコレオ》…「体の前半分は獅子、後ろ半分は蟻で、生殖器が逆向きについている」(p285)という、奇妙すぎる生命体。生殖器の説明要る?獅子の部分は肉を食べたいけど蟻の部分が肉を食べられず、蟻の部分は穀類を食べたいけど獅子の部分が穀類を食べられず、最終的に栄養が足りなくなって死んでしまう。あんまりにも儚すぎる謎の生き物。
ほかにも《ア・バオ・ア・クゥー》や《スキュラ》など、どこかで聞き馴染みのある幻獣が盛りだくさん。
ファンタジー脳を鍛えることで日々の暮らしが豊かになる…かもしれない。
入門にぜひ。
1刷
2025.5.17
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辞典というよりエッセイの趣が強い。メジャーどころの『幻獣』はもちろん、そもそも名前がないようなのも沢山紹介されていて楽しくはあるけれど、如何せん情報が多くて脳みそが置いてけぼりになりがちだった。
何種類か出てきたカフカの想像上の生き物がどれも悲哀と滑稽と愛らしさが同居していて好き。
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本書の初邦訳は1974年。さる新聞のコラムで存在を知って購入。
日本を含む世界の空想上の動物たちが有名どころ(ガルーダ、バハムート等)から良く分からないもの(ある雑種、球体の動物等)まで幅広く紹介されている。絵はあまりなく、自分で想像を膨らませることが好きな方向け。
読むというより、永く本棚において時々ページを繰る、という楽しみをするのが良いと思う。
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神話から小説まで、世界中の幻獣たちを120項目取上げて一冊にまとめた有名な辞典。一気に読むというよりも、時々開いてぱらぱら読むのがちょうど良い。例えばトロールが時代と共に、また地域によってどう変わったかといった例を語り、イプセンが「ペールギュント」で描いた愛国主義者のトロールは都合の悪いものを見せないためにペールの目をくり抜こうとするといった話も付け加わる。ボルヘスの仕事ぶりには恐れ入る
Posted by ブクログ
小説家、詩人であるボルヘスが、様々な本を渉猟して集めた想像上の生き物をまとめた本。現在ではゲーム、特にファンタジー関連で登場するモンスターなどが、そもそもどのような歴史と原形を持っていたのか、知ることができる。自分の知識に深みを持たせたいなら。
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「ちんばのウーフニック」が「足萎えのウーフニック」になってゐる他は、別に前の奴と一応同じ。スズキコージ大先生のチェシャ猫とか商羊、アルゼンチンの怪物はなんか来るのでそれもよかったのだが、スクォンクの絵他、増補改訂版な図像が入ってるので買ってしまった。
フランツ・カフカの書く生き物が結構あるのがなんか気になる。
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ボルヘスが古今東西の、架空の生物に関する話をまとめた本。
とぼけた・・・というのとも少し違うか、解説で再現もされている独特の筆致が小気味いい。
もちろん書かれている幻獣たちも興味深いけど。ありライオンとか。こういうのなのかミュルメコレオン。そんで誕生の逸話も。
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・世界各国、古今東西の幻獣を紹介する無駄で豊かな事典。
・一編がかなり短くて、ぶつ切りで終わることが多い。謎を残して置いてきぼりにされるみたいで魅力的。
・日本からは地震の鯰と八岐大蛇が選ばれてる。妖怪も入れたらすごい数になりそうだ。
・幻獣を学ぶためというよりは、幻獣についての記述の断片を読むための本だったな。
・巻末の解説がボルヘス愛に満ちていてとても素敵。
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絶版のを読んだことはあったけど、新しい表紙が好みで買ってしまった。
物語の種であるボルヘスの、さらにその種という感じ。彼の編む怪奇譚集系に共通する、あの感じです。
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再読。
国内のこの手の本だと、ゲームに出てきそうなキャラクターしか載っていないことが多いのですが、さすがに古典というか、世界中から幅広くキャラクターを集めてきています。
名前のない幻獣も載っているのが特徴的。
事典としては収録数が少ないため役に立つかどうかはわかりませんが、愉しめる本でした。
Posted by ブクログ
ボルヘス入門に手に取ってみた。
辞典と言えど体系的な解説がある訳ではなく、古今の文献からの引用で構成されるのでよくわからないものもしばしば。それでもゲームや小説でお馴染みの空想上の生物の由来がわかって面白く読めた。
かなりの頻度で引かれる、名前だけは知っていたプリニウスの科学的に誤謬だらけの説明には失笑。
Posted by ブクログ
名前は知ってたけど何となく手を出してなかった。文庫化ってちょうどいいタイミング。
これだけ簡単にネットで何でも調べられるようになると、博識とか売りになりにくい。そうなると後は取捨選択に力量が問われるわけで、そう思って読むと、世の中不条理というか、神話とか伝説って因果応報とか倫理的にはできてないんだなぁ、としみじみと。だからおもろい、ってところももちろんあるんだけれども。