亜樹直のレビュー一覧
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偶然入った画廊で一枚の絵画を目にした雫は、そこに描かれている光景が、神咲豊多香の遺言にあった第一の使徒にぴったり当てはまることを発見します。ところが、その絵を描いた水澤カオリという女性は記憶喪失であることが分かります。雫とみやびはカオリの記憶の中にあるワインを知ろうとしますが、カオリの夫は彼女が記憶を取り戻すことで自分のもとを去ってしまうのではないかと怖れて、雫たちの申し出を拒みます。それでもカオリは、夫との未来のために過去の自分自身を知ろうと雫たちのもとを訪れます。
カオリから第一の使徒に関する大きな手掛かりを得た雫は、さらにロベール師匠からヴィンテージの神髄を学び、第一の使徒が何であった -
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太陽ビールのワイン事業部でおこなわれる伊仏ワイン対決に向けて、雫とみやびはワインの選定に奔走します。順也・健也の凸凹兄弟の店では、2人の父親が店の将来を彼らに託すために仕入れたレシュノーを手に入れ、遠峰のパトロンでワイン輸入業を手がける西園寺マキの試飲会のためにボイド・カントナックを選び出し、本間との対決に挑みます。
こうして伊仏ワイン対決がおこなわれ、1000円台の「サン・コム」では一歩及ばなかったものの、見事に勝利を収めた雫は、本間との間のわだかまりも解くことに成功し、いよいよワイン事業部の船出にこぎつけることになります。
後半は、雫が自宅を訪れ、遠峰とともに神咲豊多香の遺言を開封し、 -
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1年前に遠峰によって酷評されたために売り上げが激減したフランス料理店「マ・ファミーユ」の店主の綿貫と偶然知り合った雫は、店の評価を覆して遠峰の鼻を明かすため、彼に協力することになります。その中で、綿貫と娘の鈴香の関係が修復されることになります。
一方ワイン事業部では、イタリア・ワインしか認めないと主張する本間長介(ほんま・ちょうすけ)に雫が反旗を翻し、フランス・ワインとイタリア・ワインの3本勝負がおこなわれることになります。そんな中、雫はある店で偶然知り合ったワイン好きの中年女性からヒントを与えられます。
ストーリー自体はありがちですが、ワインに関する蘊蓄を巧みに織り込んでいます。 -
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ある日、紫野原(しのはら)みやびがソムリエの修業をしているレストランに現われた一人の青年が、神業のようなデキャンタージュで彼女の危機を救うところから、物語は始まります。
彼は、有名ワイン評論家である神咲豊多香(かんざき・ゆたか)の息子である神咲雫(かんざき・しずく)です。幼少時からワインに関する英才教育を施された彼は、父親に反抗してワインを飲むことなく、ビール会社に就職します。ところが、彼の勤める「大洋ビール」に新設されたワイン事業部に異動が決まります。
そんな折、豊多香が死去したという報せが雫のもとへ届けられ、しかも1週間前に若手ワイン評論家の遠峰一青(とおみね・いっせい)という男が、豊 -
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借りたもの。
みやびちゃんを悩ませたワイン事件完結編。
ワインがネーム・バリューではないこと、5大シャトーでも枯れたものがあり、安価で手に入る、3級以下のシャトーでも素晴らしいものがあることを表現する。
料理との”マリアージュ”も、今までの高級感あふれるコース料理や日本人にとって海外料理ではなく、日本人に庶民的な、焼き鳥など居酒屋料理とワインの組み合わせを描写。
「ル・パン」のおばちゃん、バーのマスター、ロベール爺さん……年長者組が若者組をバックアップしていく様が格好いい。
ネームバリューに気を取られた御曹司に灸を据えるために送り込まされたり、ワイングラス洗い場での無料試飲で探しているワイ -
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借りたもの。
『第一の使徒』の正体には驚かされる。
完璧(完結)さを求めるのではなく、不完全であるが故の魅力だった。
それは、今までのワインがネームバリューではないこと、「天・地・人」によって左右されることの総集編――というよりその組み合わせによって、多様な魅力が生まれること、その1つの形だった。
本間やみやびちゃんの淡い恋に纏わるワイン事件。
前巻まで憎まれ役だった本間が丸くなって(性格が)ちょっと不器用な男の側面を垣間見る。
ワインに込められた物語や思いが、手紙の様に相手に伝わる描写が魅力的。
みやびちゃんを悩ませる、初恋の人に絡んだ難問は、日本人に根強い?ワインのネームバリュー主義 -
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借りたもの。
伊仏ワイン対決――のためのワイン探索から決着編まで。
ワインがネームバリューや格付けだけに左右されるものでは無い事を強く訴える巻。
3級以下のシャトーでも美味しいものは美味しいし、瓶の中で味わい深くなるものもある――それがワインの魅力である、と。
今回の物語はワインの造り手の物語、消費者の感覚(安くて美味しいものを!)という対比があって面白い。
伊仏ワイン対決は、産地の違い優劣対決ではなく、ワインの活かし方の勝負だった。
それは前巻の、本間が考えるイタリア料理の魅力、『ル・パン』のおばちゃんのヒント、神咲雫が気づいたフランス料理の魅力が答えだった。
庶民的で安価で楽しめる同じよ