大野舞のレビュー一覧
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エマニュエル・トッドの日本限定の本で、彼の思考プロセスについての本。
エマニュエル・トッドは、日本では有名(?)だけど、どうもフランスではあまり評価されていない、あるいは批判の対象になってしまうような存在のようです。
日本では、ソ連の崩壊を始め、さまざまな予言のヒット率で評価されているようだけど、フランスでなにかと騒ぎを起こしてしまうのは、彼の思考のプロセスによるものが多いようだ。
この本によると彼の思考は、イギリス経験主義的な方法で具体的な事実、数字を丹念にもていくことを通じて浮かび上がる直感的な仮説をまた丁寧に実証していくというもの。ある意味、当たり前といえば、当たり前の方法論。
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人口学者であり家族人類学者によるウクライナ戦争論 ウクライナはすでにNATOに加盟していたようなものだった。それに危機感を覚えたロシアがウクライナに侵攻したというのが筆者の言いたいことだ。アメリカのミアシャイマーと同じ主張だ。
母国フランスでは、集団ヒステリー状態になっていて、冷静な議論ができない状況らしい。だから日本の文藝春秋でインタビューを受けたというのだ。
「この戦争は父権制システムと核家族の双系制システムの対立だ」という筆者。何と歴史的には、ロシアの「父権制システム」の方が、アメリカ、イギリスの「双系的な核家族」より新しいらしい。地図なども使用しわかりやすく説明してくれている -
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著者の本は、いくつか読んできて、視点の鋭さと深さに感銘を受けてきました。
昨年は大分断を読み、次に読もうと思っていた本。
読者が本書を読んで、再現するのは難しいが、著者の考え方がよく分かる内容。
一般のビジネスパーソンにも必要な考え方が盛り込まれており、大局観や長期視点を得るために必要な要素が散りばめられている。
参考になった内容は下記の通り。
・直感やアイデアが浮かばない理由
①自分の中に無意識でランダムな考え方がない
②ある考えが許されない・出来ない社会となっている可能性がある
・グループシンク
小さなアトム化した信条を、拠り所にする人々が溢れている
・現実を直視する条件として「 -
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久しぶりの社会観や文明論といった大きな枠組みを論じた本。Globalization は不可逆な流れであり自由貿易は促進するべきである、保護主義は内向きな排斥主義であり移民の流入制限は排斥運動だ、という世の中の流れに対し、
過剰な自由化によりGlobalization fatigue(グローバリゼーション疲れ)が起きている、globalizationを抑制しても世界化(mondalisation)は消えないし、適切な保護主義は有用、移民の一定程度の抑制は国家という単位に帰属意識を持つ上で必要、等カウンターの意見を次々と提示する。
「フリードリヒ・リストの保護主義の定義によると、それは自由主義の一 -
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先入観や偏見を避けるために、事実やデータから入ることが大切である。「データを十分に時間をかけて痛めつければ、希望する情報が得られる」と言うけれど、使う人が善良であれば、善良な人には届くと思う。
どれだけデータと情報が正しくても、先入観や偏見の強い人には届かない。そこをどう対処しているのかが気になった。読み取れていないだけかもしれない。
さらに、論理だけでなく熱い心も持っている。それゆえに軋轢を生み、大勢の敵を作ることもあるが、心がしっかりしているので揺るがない。本当に強いなあと思う。挙げられていた著作も読もうと思う。
著者はとにかくよく読む。まずはそこから真似したい。
若い頃はつぶすほどの -
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著名な歴史人口学者の思考の仕方を整理した本。
本国では、(本人いわく)敵が多いせいか、日本人向けオリジナルというのがよい。
下記の項目を一つひとつ自分や他者の作品にふれながら語る。
入力
対象
創造
視点
分析
出力
倫理
未来
入力から出力までのところは、大量のデータを仕入れて、創造的知性によってモデルをつくって、検証する、という流れが、自分にはしっくりくる。
以下、重要と思ったところ。
・歴史とデータが重要という見解は共感する
・彼の分析の仕方では、数字の裏に人がいることを読み取る。「統計的想像力」というのは面白い
・著者にとって書くことのイメージが変化してきたこと。肉付けしながら書 -
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文中で色々な学者、政治家に対する批判や、自身に対する批判も出てくる。学者の考え方、学説の違いは、そこに至る基本的な考え方、社会に対するスタンスの差による事が分かる。作者の「思想ではなく事実から始めよ」「思想やイデオロギーが出発点にあると…それに合致した事実ばかりに注目し、前提にそぐわない事実を排除してしまい…結果として自分の考えに合わせて現実を歪めてしまう…まともな研究と言えない」「ひたすらにデータを収集し事実の積み重ねの中からやがてモデルを生み出していく」というスタンスから、ソ連崩壊、リーマンショック、英国EU離脱が予見出来たと。学者はかくあって欲しい。
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フランス人学者エマニエル・ドット氏が、自らの思考の仕方を述べたもの。普段は独特の視点から、鋭く現代や将来の情勢を分析、予測している著者であるが、この本は日本人に対して、自らがどのように状況をつかみ、分析し、発信しているのかの過程を詳しく述べている。正確なデータや事実を重視し情報を収集、蓄積していくことを何より大切にしていることが、よく理解できた。古典的哲学書や小説からも学んでいることも興味深い。勉強になった。
「私は社会から集団的な枠組み(思想や信仰など)が消滅すると、経済活動や社会活動といった集合的活動がより困難になると考えています。これまで集団的枠組みというのは一種の制約であって、それが -
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教育の高度化が進み、高度教育を受ける層が増えなくなってから、教育は同じ層を再生産することになっており、分断を作り出している。そのことにより、エリートと大衆は分断され、民主主義は崩壊している。民主主義といっても、家族制度が違うアングロサクソン、日本とドイツ、ロシアといったところでは違うルートをゆく。格差を生み出すのは行き過ぎたグローバル化であり、保護主義とは自由主義の一種であり、全体主義とは全く違う。
EUはドイツに支配されており、ドイツや中国の推し進めるグローバル化によって世界的な分断を生み出しているのだと思った。分断とは、それぞれがポジショントークに終始し、それぞれの層が固定化することで -
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フランスの知識人による一味違う社会のものの味方を教えてくれる一冊。この本はエッセイ集のような感じなんだけど,主な論考は,表紙にも書かれている教育による格差,そこから引き出されるエリートの問題についての話と,著者の専門の人口についての話がメイン。背景が読みきれないところはちょっと読みにくい部分もある。正しいかどうかはさておきとしても、日本だと安倍か反安倍か,トランプか反トランプかで凝り固まった論調しかないけれど、0か1かの話ではなく,そこから距離を取った論考なので面白い。著者の立ち位置を確認しながら読むとそのユニークさがわかる。まぁ,ドイツへの論考とかは,フランス人ならではの視点のような気がして