大野舞のレビュー一覧
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ネタバレ諸国家は同じではない。
ウクライナは戦争以前から、人口流出と出生率の低下で1100万人の減少だった。汚職は桁外れで、代理出産の国だった。
アメリカの軍事産業は弱体化している。=西洋の敗北。
ロシアが困難な状況になると、もっと戦争に力を入れることになる。ロシアには生存がかかっている。
国民国家であるためには、領土が最低限自立できなければならない。
2014年のミンクス合意は、ウクライナに軍備化の猶予を与えるためだった。ロシアにも同じ猶予があって、Swiftからの追放の準備を整えることができた。
制裁により、ロシアは輸入代替え品のために国内の再編成が必要だったが、その結果、経済は強くなった。
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ウクライナ戦争は「狂人プーチンの暴挙」ではなく、「リベラル社会の西側諸国(西欧と米)の自家中毒」により起こり、悪化した。あるいはその象徴的現れだ、という研究書。
自家中毒とは、
リベラリズムの勢いが制御不能の速さで強くなった結果、非自由主義国にアレルギーを起こさせ、悪化させていった。相手(他国)に理解を示したり、猶予を与えないまま強いリベラルな要求を突きつけ続けた。結果、非自由主義国にとってアレルギーは深刻な致死病と理解され、大掛かりな大手術を決意させた。つまりロシアに自分の命(国家の存亡)をかけた決断をさせた。これが「ウクライナ侵攻」である。一方、この反応に西側諸国は理解を示すどころか、国内 -
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「第三次世界大戦はすでに始まっている」は、面白くはあるものの、やや決めつけが強い感じがして、どうかと思った。この本は、その延長線上の議論で、もう少し丁寧な議論を進めているので、説得力はました感じかな?少なくとも彼が言っていることのロジックは理解できた気がする。
彼の主張のベースには、家族関係や宗教が国の文化・社会・政治に大きな影響を与えていること、そして各国で宗教のゾンビ化が進みニヒリズム化しているという考えがある。
ある意味、これは伝統的な社会学的な視点、例えばマックス・ウェーバーの考えを現在まで引っ張ってきた議論と言える。そして、その論証もなかなか説得力があるように思える。脱宗教化、脱 -
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ロシアとウクライナの関係について書かれている本。著者の思想強めなので注意。端的で分かりやすい内容ではあるので、現状を少しでも知りたい人がたくさんの情報に触れるために選ぶ中の1冊という感じ。
最近、第一次世界大戦について少し学んだ後だったので手に取りました。1番印象的だったのは、第一次のときも今も結局戦争をしたかった国は1つもなかったのではないかということです。そりゃあ、莫大にお金も人も失うわけですから当たり前ですよね。
第一次のときは、今みたいに国家同士のコミュニケーションはスムーズではなかっただろうし(技術的な意味で)、名の通り一次なので学べる過去もなかった(もちろん戦争はたくさんありました -
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一年前の本。
ウクライナ戦争の終結時期については、第一次・第二次世界大戦と同様戦期を4〜5年と予想しているので、2026〜27年。
著者のことは良識ある良質のフランス知識人と思っていたが、フランス国営放送からは出禁を喰らっているそう。
なので、日本の出版会から評価されていることは本人にとってはありがたいそう。
内容に関しては、人口統計学と家族制度を軸にした客観的な分析、という本人のオハコ。
ロシアへの経済制裁がいまいち効かない理由として、グローバル・サウス諸国が殆ど制裁に参加しておらず、西洋的価値観よりも、ロシア的・伝統的価値観の方が実は共感されやすい、という点をあげている。
この点 -
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毎回トッド氏の分析には舌を巻く。過去にもソ連崩壊やアラブの春、そしてトランプ大統領の勝利など数々の未来予想を人口学から的中させてきた人物ではあるが、本書はさらにそれを高学歴教育の普及の観点から鋭く分析する一冊である。
高学歴と言えば戦後日本経済の爆発的な成長を支えてきた私の父の世代などは、大学進学者は未だ稀な時代であった。ほんの一握りの大学出身者が日本の経済と社会、政治を作り上げ敗戦日本のどん底の状態からGDPで世界の頂点に届くほどの「奇跡の復興」を作り上げた。因みに私の父は農家出身で兄弟も二桁いる。産めば産むほど生産力が増えていく世界を作り上げてきた様な大家族だった。あれから60年、70年そ -
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私はトッドさんが好きである。
だからこそ盲信したくないし、崇め奉りたくない。
読んでて違和感あるな、ってところは違和感のまま残したいし、素人ながらも自分で調べて考えたい、と思っている。
以下、書きかけ
ロシアを擁護する気は無いけれど、ロシアにも言い分があるし、反ロシアの国って意外に少ないんだね…という現実を直視できた。
そしてウクライナにもネオナチな側面がたしかにあったんだな、とも思った。
ホロドモールの悲劇についてちろっと記述があったので、ネット検索してみた。
スターリンが外貨を得るために、ウクライナ(ソ連時代)から農作物を過剰に収めさせて輸出したことで、また天候不良も相まって、国 -
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ここにある思考地図はよくある分析アナリストの基本のようなものだ。トッド氏の重要視している点は、事実に基づく統計数値データを如何に先入観なくして分析・出力すること、さらに、史実に基づく歴史観比較が付加されることにある。歴史は繰り返すの如く事件事故、災害も過去の史実が参考になる場合も多く、特に政治家の政策などは「前例」を重視する人間が多いのはそこに理由がある。だが、悪い事に過去20〜30年の歴史でも政府の政策で最新技術を駆逐した対処にはなっていないのが残念だ。今回のコロナ対策で、多くの国々が「マスク・対処機器」がほとんど自国以外であったことの誤りが浮かび上がったことは今後の政策にも参考になったと思
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Posted by ブクログ
社会を把握するための数字の見方が参考になる。
著者のエマニュエル・トッドは、歴史人口学者であるが、ソ連崩壊やトランプ当選などの予言で知られる。
多くの社会学が、人の主義や価値観について仮説・推論を展開するのに対し、著者のアプローチは各国の人口動態、家族構成などの統計から、人々の感情を思い浮かべる、経験主義的なものなのが特徴的である。
特に興味深かったのは、統計データの信頼性について、死亡率は嘘がつけないというものだ。著者に言わせれば、物価、GDPなどはサービス経済になってからは何を表すのか分からない。訴訟が増え弁護士の手数料が膨大になることが生産なのだろうか?と言われると確かにその通りと思 -
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人類学者の著者による、ウクライナ問題について。
全然世界情勢など知らないマンなので「ロシアによる一方的な侵略戦争」と思っていた節がありますが、その背景に「ウクライナのNATO加盟」、「NATOのロシアの意に反する東方勢力拡大」、「旧ソ連崩壊後の国境問題」などいろいろ複雑な問題があることを認識しました。
面白いと思った点は、人類学的視点からの見解でした。ロシアは「共同体家族」、ウクライナは「核家族」。この違いにより「共産主義的思想」、「民主主義的思想」の違いに繋がるのは興味深かったです。
日本のメディアを通して得られる情報とは別の視点でいろいろ語られていたので、新鮮でした。
こんな情報化社会で