羽生生純のレビュー一覧
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ネタバレ漫画の後に収録されている未完の小説を読んでみたら、漫画以上に漫画っぽいところが多々あり、漫画の方はずっといろいろと漫画的なところを削ぎ落としていることが分かった。しかし、小説のコミカライズではなく、あくまで小説は原案であり、小説を元に作った現代を舞台にしたフィクションであるので、別に小説の通りにする必要は全くない。力強い絵で持っていく感じは小説にはない漫画ならではの文学性みたいなものがあったように思った。
小説は未完の遺作とのことで、大長編かと思っていたら短かった。この後大長編になる感じもしなかった。遺作と言うには気楽な楽しい雰囲気の漫画みたいな小説だった。
このように感じることもこ -
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ネタバレ石の漫画家と同人作家。それぞれ違った形の表現者であり途方もないナルシスト。
ふたりが離れ離れになった理由を作ったのは強すぎる自己愛だ。そして、再びくっつくきっかけとなった恋人の惨状と架空の救いを描いた漫画も、差し出す側と受け取る側、それぞれが自己愛に満ちている。
ふたりは最初から最後までナルシストで、根本的な精神は何も変わっていない…と、自分は感じている。話が終わって1か月後に別れたとしても意外ではまったくない。
しかし、最初に比べてほんの少しだけ視界が広がったような気がして、その慎ましやかな変化がなんだかよかった。
あと石の漫画っていう設定がすごく好き。奇抜さを狙った芸術として実際にありそ -
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古典文学作品のコミックス化の企画はたまに見かけますが、本単行本は太宰治。執筆陣の多様な解釈で、時代ものあり、現代もの(YoutubeやTwitterやスマホも出てくる)ありの面白いアンソロジーになっています。
それにしても「太宰にはツイッターがよく似合う。」
作家さんそれぞれの個性が出ていてどれも面白いのですが、出色だったのは、羽生生純さんの現代版「親友交歓」!まさに羽生生純さんの作品なのですが、まぎれもなく太宰治の「親友交歓」。
マキヒロチさんの作品「恥」もとてもよかったです。漫画家宛に上から目線のウザいリプを送り続ける男。原作と性別が逆転していて、舞台も現代に移っているのですがこの違和感 -
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ネタバレ作中、主人公である浮浪者の一人が、ウィリアム・バロウズで知られるイスラムの暗殺集団の始祖の言葉を引用して子供たち相手に曰く、
「ハサン・イ・サッバーは言っている
“真実などない すべては許されている”」
「じゃあさじゃあさ
それってなにしてもいいってこと?」
「子供の陥る罠がそれだ
“ゆるされる”と“可能”は違うということを知らねばならない」
これって、何年か前に流行った
「なぜ人を殺してはいけないのか」
っていう議論の最良の答えのような気がする
やはり作中、別の主人公の浮浪者が姥捨てジジイと仲良くなるが、
目の前で、嫉妬に狂った老婆にジジイが刺されて発する言葉、
「わがらんなー」
は、聖