赤根洋子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【228冊目】2000年代以降での西太平洋における米中海軍の衝突を並べ、熱戦でも冷戦でもない「温かい戦争」が現在進行形で発生しているということを示唆する本。購入時の期待よりは面白かった。きっと軽く読むべき本。
先に読んだ本「中国はなぜ軍拡を続けるのか」が、その軍拡路線にもかかわらず中国人民解放軍の装備資機材や兵士の練度を比較的小さめに認識したのとは対照的に、本書は人民解放軍海軍の振る舞いを脅威ととらえるべきというのが基本主張であるから、その対比として読んでも興味深かった。
本書で紹介されている最低限覚えておくべき事件は、
・2001年「海南島事件」
・2013年「カウペンス号事件」
・2014年「北極星号事件」(217ページ)
人民解放軍海軍が西太平洋地域においてかなり強気の姿勢に出ている一方、オバマ政権の対中融和路線(あるいは筆者が及び腰と呼ぶもの)が中国を増長させたのではないかとの印象が読後に強い印象として残った。
本書を読むと中国のことが嫌いになるのは間違いないと思うが(笑)、「一読すれば分かる通り、本書はもっぱらアメリカ側の視点から書かれている。簡単に言えば、アメリカ軍人は正義のヒーロー、中国の政治指導者や軍高官は悪役もしくは準悪役である」と筆者が冒頭で宣言していることから、読む前から頭の中で補正をかけることはできる。ただ、そうであっても、読後の中国に対する印象は最悪(笑)アメリカが常に正しいとも思わないけど。 -
Posted by ブクログ
ノーベル賞物理学者スティーブン・ワインバーグ氏による科学史。現代の最先端科学の知識を用い、歴史上の科学者たちの間違いを容赦なく指摘するという、まさに不遜で理詰めの後出しジャンケン的な作品。内容は主に天動説から地動説への転換を軸に、まるで十字軍の隊列にナパーム弾を投下するような勢いで、過去の物理学や天文学の矛盾点について講じている。
昔の科学者たちが天動説に固執した大きな理由のひとつが、「真上に放り投げた物は元の位置に落ちる」、という命題だった。沢山のファインチューニングを加えなければならない天動説に比べ、地動説のほうがシンプルでスマートだったのに、随分と長い間この命題がネックになってしまったようだ。現代人にとっては落語のような話だが、もしかすると自分もその時代に生きていたらならば、天動説を支持していたのかもしれない。
そしてもうひとつの大きな理由としては、キリスト教の存在が大きかったのだと思う。当時は神学が絶対的だったのに対し、科学の方は空想やフィクションのように格下扱いだったのだ。偉大なる神が創造した大地が、宇宙の端っこにあるなんて想像もできなかったのだろう。それにしても、1000年後の人類はこの作品をどのように評価するのだろうか?不遜だが大変興味深い命題である。 -
Posted by ブクログ
本書が扱っているドローンとは、昨今我が国のマスコミをにぎわしているクワッドコプター等のドローンのことではなく、広くUAVといわれているもののこと。
その着想から開発、実用化、そして、偵察用から攻撃用にと拡げられてきた開発史。
開発者の自由な発想を、形にしていく苦労。そして、航空宇宙産業、さらに軍産複合体のなかで開発費用を獲得し、開発実用化に進めていく経緯。さらに、その中で開発、運用にかかわる軍人、民間技術者の姿。
冷戦構造が崩れ、地域の民族紛争、そしてテロリストとの戦いと戦争の形が変化していくなかで、ドローンがどのように生まれ、そして武装されていくか、まさに現在を描いた記録である。本書は、ドローン創世記のいま、書かれるべきものなのだと思う。
ただし、本書の視点は、当然ながら開発者側の視点でのみ書かれているので、ドローンを使用することのメリットのみが抽出されて書かれていることにも留意すべきだと思う。
ただ、本書の日本語タイトル「無人暗殺機 ドローンの誕生」というのも編集者の偏向した暴走だと思う。原初のタイトルは ”PREDATOR THE SECRET ORIGINS OF THE DRONE REVOLUTION"このタイトルのほうがよっぽどフェアに本書を著していると思う。